労働省設置法案
衆議院 労働委員会
参議院 決算・労働連合委員会
昭和22年法律第97号
審議経過
右の数字は会議の発言数衆議院労働委員会決算委員会連合審査会・労働委員会
- S22.7.28趣旨説明・質疑労働委員会決算委員会連合審査会 163
- S22.7.29質疑労働委員会決算委員会連合審査会 222
- S22.7.30質疑労働委員会決算委員会連合審査会 347
- S22.7.31質疑労働委員会決算委員会連合審査会 444
- S22.8.1質疑労働委員会 437
- S22.8.2質疑労働委員会 548
- S22.8.5質疑労働委員会 650
- S22.8.7討論・附帯決議・採決労働委員会 718
- S22.8.7委員長報告・討論・採決本会議 2228
- S22.8.28参議院回付案同意・参議院回付案本会議 3021
提案理由
米窪滿亮 国務大臣 昭和22年7月28日勞働省設置法案の御審議をお願いするにあたりまして、同法案の提案理由を御説明申し上げたいと思います。
勞働省の設置につきましては、諸外國にはすでに相當以前から勞働省の設置がございましたので、わが國においても、當然これはもつと早く設置されておらなければならなかつたのでございまするが、今日に至つたのでございまして、吉田内閣當時においても設置の考えはあつたのでございまするが、ついにその實現を見ずして、この片山内閣において初めてここにいよいよ設置することにきまりまして、この法案の提出をみるに至つたのでございます。
この法案を皆さんに御審議を願ふ前に、内閣といたしましては、勞働省設置準備委員會というものを設けまして、關係官廳の官吏竝びに事業者側、勞働者側、その他の民間側の代表者から構成される委員によつて、愼重に勞働省の機構及びその目的等について審議をしたのでございます。この準備委員會の審議の結果を参考として、ここに提出したのが本法案でございます。
勞働省設置の目的はこの法案第一條に明記いたしてある通り、勞働者の福祉と職業の確保とをはかつて、もつて經濟の與隆と國民生活の安定に寄與したいというのでございます。今日の日本の經濟状態は、私がくどくどここで皆さんに申し上げるまでもなく、資金の面において拘束著しいものがあり、また資材の面においてもようやく底をつくという状態でございまして、今日の日本の經濟の復興、生産の増強ということは、一にかかつて勞働の面からみた生産性の高揚ということが十分に達成されて、勤勞階級のもつておる勞働能率が百パーセントに發揮されなければ、とうてい今日の經濟界の危機は救われないということは、私が申し上げるまでもないと思うのでございます。しかしながらこういうぐあいに生産性の高揚と、勞働能力の發揮をわれわれが期待するためには、ここに強力なる勞働政策を實施しなければならないのでありまして、それがためには、勞働者の福祉と、職業の確保とをはかつて、勞働問題を圓滑に解決處理し、勞働者の生活を確保していくことが必要となつてくるのでございます。
わが國の今日の勞働政策として、あるいは勞働界の現状をみますると、御承知の通り、勞働組合法、勞働關係調整法、勞働基準法等、各種の立法がすでに行われまして、勞働組合運動の方もこれに對應して活發に發展はいたしておりまするが、經濟復興に關する積極的かつ自主的な勞働者の協力を促進すべきである。また勞働關係の健全な調整をしなければならぬ。あるいは勞働者の生活權の保障をもつと強化しなければならぬ。あるいは勞働者の失業對策等もしなければならぬというふうで、問題は山積しておる状態にあるのでございます。政府は、この際こういう現状に即しまして、獨立した勞働省と稱する省をつくることによつて、これらの重要かつ困難なる諸問題を、積極的に取上げてこれを解決していきたいと考えておるのでございます。
こういう意味におきまして、勞働省をつくることにしたのでございまするが、しからば勞働大臣の所管する事務の範囲はどういうものであるかというと、お手もとに差上げた法案の第二條に書いてある通りでございまして、すなわち勞働組合、勞働關係の調整、勞働に關する啓蒙宣傳、勞働條件、あるいは勞働者災害補償、勞働者災害補償保險及び勞働者の「補護に關する事務、職業の」紹介、指導、補導、その他勞働需給の調整に關する事務、失業對策に關する事務、失業保險に關する事務、勞働統計調査に關する事務、その他、勞働に關する事務を一元的に所掌してまいるのであります。
この際御参考に申し上げたいことは、船員勞働につきましては、あるいは理論的に言いますと、勞働者へこれを入れて、總括的にやつていくべきではないかという意見もあつたのでございますが、船員勞働の特種性に鑑みまして、また船員勞働は現在運輸省の海運總局でやつてきておる歴史的な事情等を考えまして、これを運輸省に設置することといたしました。但し一般勞働行政と船員勞働との調整統一連絡をはかる必要があるために、勞働省に船員勞働連絡會議——これは假稱でございますが、そういうものを置くことといたしたのでございます。
勞働省に設置される部局につきましては、第三條、第四條にきめておりますが、大臣官房のほか、勞政局、勞働基準局、婦人少年局、職業安定局、勞働統計調査局の五局を設けたいと思つております。勞政局は、勞働組合法及び勞働關係調整法の施行に關する事務のほかに、勞働運動の健全なる發展のため勞働教育に關する事務等を掌るものでございます。勞働基準局におきましては、勞働基準法の施行事務のほかに、勞働者の災害補償保險、勞働者の福利厚生その他勞働條件及び勞働者の保護に關する事務を掌ることにいたしておるのでございます。婦人少年局、これは新たにできる局でございますが、この局の任務は婦人及び年少勞働者の特殊な勞働問題を所管するのほか、勞働者の家族問題に關する事項竝びに婦人の地位の向上、その他婦人問題の調査及び連絡調整に關する事務を所管することにいたしたいと思います。ただし勞働者の家族問題及び一般婦人問題については、他の各省において、たとえば厚生省、内務省、文部省、そういつた省がそれぞれその主管に屬しておる事務を現在行つておるのでありますが、これらの省に屬しない一般婦人問題もありますので、この勞働省の婦人少年局が中心になつて、これらの省との間の連絡をはかり、かつこれらの省で現在やつておらない問題については、これを勞働省の婦人少年局で處理していきたいと考えております。職業安定局につきましては、勞務の需給の調整、失業對策、失業保健、失業手當、その他職業安定に關する事務を所管することになつております。最後に勞働行政の合理的、科學的運營をはかるために、勞働統計調査局を設けまして、勞働統計調査に關する事務を一元的に所管せしめたいと思つております。これらの五局のほかに、さらに將來情勢の變化に伴つて部局の所掌事務の一部を變更し、または新しい部局を増置する必要が起ることが考えられますので、第三條の第二項において、その點を規定してあるのでございます。その場合においては、政令の定むるところによつて新部局を設けて、省内において部局の所掌事務の一部を變更することができるようにしたいと思つております。なお今まで申し上げた官房、五局のほかに、研究機關といたしまして、從來厚生省に所屬しておりましたところの産業安全研究所を勞働省に移官して、災害豫防に關する調査の研究、竝びにそれに關連のある技術者の養成訓練を行わしめたいと思つております。以上のほか勞働省の部局機關及び職員について必要なる事項は、政令でこれを定めることにいたしたいと思います。
最後に本法律案の制定に伴いまして、當然起つてくる厚生省の官制竝びに勞働基準法の一部を改正する必要がありまするので、これを附則において改正する規定を設けたのであります。
以上勞働省設立法案の大要を御説明申し上げたのでございますが、現下の勞働問題の重要性に鑑みまして、何とぞ慎重に御審議くださることは當然でございまするが、こういう事情のもとにございまするから、一日も早く審議を終えさせられんことを特にお願い申し上げる次第であります。はなはだ簡單でございますが、提案の理由を御説明申し上げました。
第1回国会衆議院労働委員会決算委員会連合審査会議録第1号2頁(昭和22年7月28日)〔米窪滿亮国務大臣発言・発言番号2〕 会議録 国会会議録検索システム
出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=100101015)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。