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国会審議›第1回国会›閣法第114号
閣法第1回国会 第114号成立

家事審判法施行法案

昭和22年法律第153号 家事審判法施行法
提出昭和22年11月19日 内閣
付託衆議院 司法委員会
参議院 司法委員会
成立
昭和22年法律第153号
審議会議 5回・発言 80(政府答弁等 8)

審議経過

右の数字は会議の発言数

衆議院司法委員会

  1. S22.11.21趣旨説明司法委員会 584
  2. S22.11.23質疑・討論・採決司法委員会 6050
  3. S22.11.27委員長報告・採決本会議 6753

参議院司法委員会

  1. S22.11.25趣旨説明司法委員会 4243
  2. S22.11.29採決司法委員会 4419
  3. S22.12.1委員長報告・採決本会議 6025

提案理由

奧野健一 政府委員(司法事務官(民事局長)) 昭和22年11月25日

只今上程されました家事審判法施行法案につきまして、提案理由を申上げます。

 民法の改正に伴いまして、家庭事件を適切に處理いたしますために、先に家事審判法案を提出いたし、すでに御審議を經て成立いたしたのでありますが、この家事審判法の施行等に伴いまして、現行人事調停法を廢止し、現行人事訴訟手續法及び非訴事件手續法を改正する等の必要がありますので、ここに本法案を提出いたした次第であります。

 次に本法案の概要を御説明いたします。第一は、人事調停法の廢止であります。現行人事調停法によつて處理いたしております調停事件は、すべて家事審判所において取扱うこととなりましたので、人事調停法を廢止いたしました。

 第二は、人事訴訟手續法の改正であります。現行人事訴訟手續法によつて處理いたしております事件の中、夫婦の同居に關する事件、親權及び財産管理權の喪失の宣告に關する事件、禁治産及び準禁治産の宣告に關する事件、失踪宣告に關する事件等は、家事審判所において取扱うことになりましたし、推定家督相續人の廢除に關する事件、隱居の無效及び取消事件等は、改正民法の施行によつてなくなりますので、これらの事件に關する規定を削除いたしました。又、改正民法は協議離婚及び協議離縁の取消等について新たに規定を設けておりますので、これに伴い所要の改正を加えました。

 第三は、非訴事件手續法の改正であります。現行非訴事件手續法によつて處理いたしております不在者等の財産管理に關する事件、子の懲戒に關する事件、相續の承認及び放棄に關する事件、遺言の確認及び執行に關する事件等は、家事審判所において取扱うこととなりましたし、離籍、隱居、廢家等の許可事件、親族會に關する事件等は、改正民法の施行によつてなくなりますので、これらの事件に關する規定を削除いたしました。又改正民法は、妻の能力の制限等を撤廢し、繼親子關係、嫡母庶子關係等を廢止いたしておりますので、これに伴い所要の改正を加えました。

 第四は以上の人事調停法の廢止、人事訴訟手續法及び非訟事件手續法等の改正に伴いまして、必要な經過規定を設けました。只今申上げたのが本法案の概要であります。何率愼重御審議の上速やかに御可決あらんことをお願いいたします。

 次に民法の改正に伴う關係法律の整理に關する法律案の提案理由を説明いたします。

 民法におきましては、日本國憲法の基本原則に適合させるために、戸主、家族その他家に關する規定及び、家督相續に關する規定の削除、兩性の本質的平等に反する規定の改正、親族會の廢止、口語化、書きおろしにするための條文の整理等が行われたのであります。然るに他の法律中には、從前の民法を前提として幾多の規定がありますので、これを改正された民法に適合させるように整理する必要があるのであります。

 又民法の改正と竝行して、他の法律中の家族制度に關する規定も亦これを憲法の基本原則に適合するように整理する必要があるのであります。これらの整理をしなければならない法律の數は、すでに他の法律の改正等に關連して整理したものを除いても、尚實に六十七の多きに上るのであります。これをそれぞれの法律で改正することは非常に煩雜になると思いますので、ここに一括して整理をすることにいたしたのであります。以下この法律案の内容について概略を御説明申上げます。

 第一に例えば銃砲火藥類取締法第二十一條の營業者に對する罰則においては、營業者の戸主、家族が同法に違反したときには、自己の指揮に出でないという理由で處罰を免れることができないことになつておるのであります。民法から戸主、家族の規定を削除しました結果、銃砲火藥類取締法の右の規定からも、戸主、家族を削り、事質上同居しておる親族に反則行為がありました時は、同條中の同居者に包含されるものとして扱うことにいたしました。同樣に他の法律についても、戸主、家族その他家又は家督相續の存在を前提とする規定をそれぞれの法律の内容に照らし、或いは削り、或いは他のものに改めたのであります。

 第二に、例えば信託法第五條第二項の、妻が信託の引受をするには夫の許可を受ける必要があるという規定のように、妻の能力を制限する規定、その他兩性の本質的平等に反する規定は、それぞれの法律の内容に即應して、或いは削り、或いは改めて、兩性の本質的平等を徹底させるための措置を講じたのであります。

 第三に、例えば精神病者監護法第一條第二項においては、精神病者に對する最終順位の監護義務者は、四親等内の親族の中から、親族會が選任することになつておるのでありますが、親族會廢止の結果、これを家事審判所が選任することに改めました。同樣に從來親族會の決議又は裁判所の裁判で取扱つていたもので、改正された民法の精神に照らし、家事審判所で扱うのが適當と思われるものを家事審判所の審判事項といたしたものであります。

 第四に、國民優生法第四條におきましては、父母等の同意を要しないで優生手術を受けることのできる年齢は三十歳となつておりますが、これを原則として二十歳まで引き下げたのであります。これは單なる整理ではなく實質的な改正を含んでおるのでありますが、從來の民法においては、男が父母等の同意なくして婚姻できる年齢が三十歳であつたから、單獨で優生手術を受けることのできる年齢を三十歳にしていたのであります。ところが改正された民法におきましては、父母等の同意なくして婚姻できる年齢を、原則として二十歳に引き下げましたから、これに歩調を合わせるのが適當であると考え、單獨で優生手術を受けることのできる年齢を原則として二十歳と改めたのであります。

 第五に改正された民法の條文の整理に伴い、他の法律で引用した民法の條文を整理し、その他所要の整理、改正を加えたのであります。

 最後に信託法外二法律については、その法律の改正に伴い、それぞれ所要の經過規定を設けたのであります。

 以上がこの法律案の大要であります。何率愼重御審議の上、速やかに御可決せられんことを御願いいたす次第であります。

 最後に訴訟費用等臨時措置法の一部を改正する法律案の提案理由を御説明いたします。

 民事、刑事の訴訟費用及び執行吏手數料等は、御承知の通りそれぞれ民事訴訟費用法、刑事訴訟法及び執達吏手數料規則の三法律に規定されておるのでありますが、戰時中の諸物價の高騰に應じて、訴訟費用等臨時措置法が制定されまして、更に昨年九月右措置法の改正によりまして、終戰後の經濟情勢に應ずるため訴訟費用や執行吏手數料等を臨時的に増額する途が拓かれ、同時に右手數料等の額も相當程度の増額をみたのであります。

 然るにその後一年間の經濟情勢の變遷は眞に甚しく、例を總理廳統計局發表の東京における消費者物價指數表にとつてみましても、本年九月の物價は、昨年右手數料を増額いたしました當時の物價に比して約三倍の高騰を示し、現行手數料等の額は全く實情に副わんものとなりました。このため民事、刑事の訴訟關係者は非常に重い負擔を強いられるに至り、又執行吏は現在の収入を以てはその生計を維持することが極めて困難な状態にありまして、延いては民事、刑事の訴訟や強制執行制度の圓滑な運行にも支障を來たす恐れがある状態に立ち至つたのであります。よつて政府はこの際更に暫定的に右手數料等の額を増額して現状を打開するために、この法律案を提出した次第であります。以下改正の要點を申上げますと、

 第一は民事、刑事の訴訟費用及び執行吏の手數料等を現状に即するように増額いたした點でありまして、今囘の改正の眼目とするところであります。増額の程度は大體物價指數によりまして、現行の二倍半乃三倍程度にいたしたのでありますが、旅費、宿泊料等右の標準によつては實情に副い得ないものにつきましては、例外を設けてあります。第二條乃至第四號の改正規定が即ちそれであります。

 第二は、執行吏の差押及び競買手數料の計算方法を改めた點であります。この手數料は、債權額又は競買金額の多寡に應じて定まるものでありまして、現行法の下では、手數料計算の標準となる債權額又は競買金額を一萬圓以下六段階に分けてありますが、現在ではこの分け方はすでに細かきに過ぎ、且一萬圓を超える場合に適當な段階が設けてないため、手數料の算定に適正を缺く憾みがありますので、今囘の改正に依り、五萬圓以下を六段階に分けて各段階毎に適當な手數料額を規定することにいたしました。第四條第二項及び第三項の改正規定がそれであります。

 第三は、新憲法及び裁判所法の施行に伴う條文の整理をした點であります。裁判所法の施行に伴い、「執達吏」は「執行吏」と變更されましたので、この點の整理をいたすことにいたしました。又執行吏が一年間に収入した手數料が一定の額に満たないときは、國庫からその不足額を支給することになつておりまして、この一定額は勅令で定めることになつておりますが、新憲法の施行に伴い、「勅令」を「政令」と改めることにいたしました。第一條及び第五條の改正規定がそれであります。尚第四條の改正規定も若干條文の整理をいたしております。

 以上がこの法律案提案の理由であります。何率愼重御審議の上、速やかに可決せられんことをお願いいたす次第であります。

第1回国会参議院司法委員会会議録第42号1頁(昭和22年11月25日)〔奧野健一政府委員発言・発言番号2〕 会議録 国会会議録検索システム

出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=100101114)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。