地方財政法案
参議院 治安及び地方制度委員会
昭和23年法律第109号
審議経過
右の数字は会議の発言数衆議院治安及び地方制度委員会
- S23.6.22趣旨説明・質疑治安及び地方制度委員会 4129
- S23.6.23質疑・逐条説明治安及び地方制度委員会 4252
- S23.6.24質疑治安及び地方制度委員会 43121
- S23.6.25質疑治安及び地方制度委員会 4472
- S23.6.26質疑治安及び地方制度委員会 45124
- S23.6.28質疑治安及び地方制度委員会 4665
- S23.7.1小委員長報告・質疑治安及び地方制度委員会 4935
- S23.7.3修正案趣旨説明治安及び地方制度委員会 5111
- S23.7.4修正案趣旨説明・討論・採決(修正)治安及び地方制度委員会 52173
- S23.7.5委員長報告・採決(修正)本会議 79194
参議院治安及び地方制度委員会
- S23.6.25証人喚問治安及び地方制度委員会 2739
- S23.7.5討論・採決治安及び地方制度委員会 3177
- S23.7.5委員長報告・討論・採決本会議 60262
提案理由
野溝勝 地方財政委員会委員長 昭和23年6月22日ただいま議題となりました地方財政法案につきまして、その提案の理由及び内容の大略を御説明申し上げることにいたします。さきに地方自治法の制定施行によりまして、地方公共團体の自治権は、劃期的な伸張をみたのでありますが、その基盤をなすべき財政自治権は、未だその確立をみるに至らず、しかも他面激変する経済変動の影響を受けまして、地方財政は非常な危局に直面するに至り、この危機を打開して、眞に地方自治の確立に即應する自治的地方財政制度を確立するということが、緊急の課題となりました結果、政府は本年初頭これが企画立案の機関として、総理廳の外局として地方財政委員会を設置し、自主的地方税財政制度確立の方途につきまして、鋭意検討せしめてまいつたのでありますが、ようやく結論に到達するに至り、これら改革案の一環として、ここに地方財政法案を提案いたすの運びとなつた次第でございます。
申すまでもなく地方財政は、國家財政とともに國民経済にきわめて重要な連関をもつておるのでありまして、その健全性を確保しなければならないことはもちろんであります。しかるに現実の地方財政は、地方公共團体が行う事務の性質上、國家財政から諸種の負担金の支出を受け、また國の事務の遂行について各種の経費負担を命ぜられておるのでありまして、この國費、地方費の負担区分に関する規律がきわめて明確を欠いている結果、とかく國の負担を轉嫁され、たび重なる地方税制度改革の効果を常に減殺するに至り、その健全性の堅持を困難ならしめてきたのであります。從つて自主的地方税財政制度の確立を期するためには、その独立財源の拡充強化をはかるとともに、それみずからの健全財政堅持の方途を講じつつ、國家財政と地方財政相互の関係に対し合理的規律を與え、地方財政運営の合理化をはかる必要があるのであります。こうした目的を達成するため、いわば健全地方財政運営法とも申すべき本法案を作成し、地方財政の運営、國家財政と地方財政との関係等に関する基本規定を設け、もつて自主的健全地方財政の確立をはからんとしたのであります。
本法案はこれを大別いたしますならば、その内容は大体四点から成立つております。
まず第一点は地方財政運営の基本に関する問題であります。その一は、地方財政の実質的收支の均衡をはかるため、赤字財政の根源である地方債の発行については、相当の規正を加えんとしていることであります。しかしながらもとより公営企業の財源については、その本質上当然地方債によつて差支えないものと考えております。その二は、公営企業の経営について独立採算制を採用し、その経営の合理化をはからんとしていることであります。その三は、地方財政についても減債基金制度を採用し、・その運営全体を通じて健全財政堅持の精神を具現しようとすることであります。
第二点は、地方財政と国家財政との関係に関する問題でありまして、その一は、事務の性質によつて國費、地方費の負担関係を明瞭にせんとしていることであります。從來の地方財政がとかく國費、地方費の負担区分の撹乱によつて混乱せしめられてきた状況に鑑みまして、いやしくも共同負担の形式をとるものについては、その負担割合・経費の範囲等を法律または政令に明記することによつて、從來のような、國家財政の恣意による地方財政の負担加重を緩和し、國家事務の増加による地方財政への圧迫を除去せんとしているのであります。
その二は、いわゆる補助職員制度の合理化であります。地方團体が行つております機能に省みまするときは、職員が行う事務の種類に應じ、國庫がある程度の経費を負担することもまた必要なことであります。しかし、從來のごとく國庫財政の一方的な都合によつて補助額の増減せられることは、地方財政を常に不安定にし、かたがた補助を通ずる無用の干渉は、地方公共團体の首長の権限に要らざる掣肘を加えるものであつたのであります。よつて今回從来の補助職員制度を廃し、國庫負担職員の制度を設け、その定員、負担経費の範囲及び負担割合を法定することによつて、この方面における地方財政の困難を取除くことにいたしたのであります。その三は、國庫負担金、国庫補助金等の支出を合理化せんとすることでありまして、これらの負担金、補助金等の金額算定の基礎及びその支出時期等について基本的な規定を設け、國庫の支出金が、実情を無視した低い單償で定められたり、著しく遅れて支出されたりする現状を防止しようと考えております。
第三点は、地方公共團体相互の間において生じつつあるような財政上の障害は、地方公共團体の相互の間、特に複合地方公共團体である都道府縣と、その区域丙の市町村との間においてもまた存在しておりますので、その間の問題につきましても國と地方公共團体相互の間における財政調整の方法に準じ、経費の負担関係その他について合理的な規正を加えることとしたのであります。
第四点は地方公共團体の財政運営に関する規律、國庫財政と地方財政との関係に関する規律に違反した場合の措置に関する問題であります。國も地方公共團体もその健全財政を堅持し、その濫費を戒め、経費の経済的効果に着目して、その財政を運営していくべきは当然のことではありますが、現状においては、必ずしもすべてが、こうした線に沿つて動いているとは言えないのでありまして、そのことはやがて、國や他の地方公共團体に多大の迷惑を及ぼすことになつているのであります。從いまして、自治権の濫用または侵害を戒め、その財政の健全性を確保するためには、規律違反に対する措置を規定する必要があるわけであります。その一は、國または地方公共團体が法令の規定に違反して國の補助金、負担金または地方公共團体の負担金等を濫費したときは、國はその負担金、補助金等の返還を命じ、地方公共團体はこれが返還を請求し得ることとしようとすることであります。その二は、地方公共團体が法令の規定に違背して多大の濫費を行つた場合等においては、それだけ財源調整の意味で交付される配付税の額は不要であると考えられますので、その額を減額し得ることとしようとすることであります。
以上地方財政法の提案の理由及びその内容の大要につきまして御説明申し上げたのでありますが、なおこの際、この法律案の提出が遅延いたしました事情について、一言御説明申し上げておきたいと存じます。
地方財政委員会法は、地方財政制度改革に関する法律案を、同法公布の日から三箇月以内に國会に提出することを命じてあるのでありまして、政府はこの義務を果すため鋭意努力を続けてまいつたのでありますが、事が國家財政地方財政を通ずる重要問題である上に、関係方面との折衝に意外の日時を費さざるを得ない事情に立ち至り・不本意ながら逐に今日まで延引するに至つたのでありまして、何とぞその間の事情について各位の御了承をお願いいたしたいのであります。
何とぞ愼重御審議の上速やかに御賛同あらんことを希望してやまない次第であります。
〔小暮委員長代理退席、委員長着席〕
第2回国会衆議院治安及び地方制度委員会議録第41号4頁(昭和23年6月22日)〔野溝勝地方財政委員会委員長発言・発言番号2〕 会議録 国会会議録検索システム
出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=100201164)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。