消費生活協同組合法案
参議院 厚生委員会
参議院 厚生・労働・商業連合委員会
昭和23年法律第200号
審議経過
右の数字は会議の発言数衆議院厚生委員会
- S23.7.4趣旨説明・質疑厚生委員会 23166
- S23.7.5質疑・討論・採決(修正)厚生委員会 24289
- S23.7.5委員長報告・採決(修正)本会議 79194
提案理由
喜多楢治郎 政府委員(厚生政務次官) 昭和23年7月4日消費生活協同組合法案の提案理由を説明申し上げます。
日本再建のため歴史上曽つてないこの経済危機を乘り切り、國民生活の安定をはかるとともに、文化を日常生活に浸透せしめ、教養ゆたかな文化國家を築くことが要請せられております。このときにあたり、近時國民の自主的、自発的な運動によつて、消費者の協同組織として消費生活協同組合が各方面に結成せられつつあります。消費生活協同組合は一方において國民経済における流通秩序の確立に資するとともに、個人の消費経済を合理化して民生の安定をはかり、他方において各種の協同施設を設けるとともに、常に協同的な生活を行うことによつて國民の教養を高め、日常生活の文化的向上をはかることを目的としているものであります。
もとより消費生活協同組合の運動のみをもつてして今日の経済危機に処し、または文化の進展を期することは望み得ないのでありますが、その組織と運営のよろしきを得るならば、消費生活協同組合は國民の安定向上に資するところ少からぬものがあるばかりでなく、またわが國の民主化という点においても多大の貢献を來すものと存ずるのでありまして、政府といたしましては消費生活協同組合の健全な発達をはかる必要があると考える次第であります。
しかるに現在消費生活協同組合についてはその特質に應じた根拠がなく、便宜産業組合法に準拠せしめているのでありますが、産業組合法は元來産業または経済の発達を企図する目的をもつて主として生産者特に農業者を対象として立法せられたものであり、これに反し、消費生活協同組合は一般消費者、主として都市生活者の立場から日常生活を協同化しようとするものでありますので、これを産業組合法に準拠せしめることは、本來無理であり、特にまた産業組合法は新しい意義を持つた現在の消費生活協同組合を律する法律としては古きに失するのであります。戰後の事態に則して中小商工業者に関する商工協同組合法、農業者のための農業協同組合法が制定せられている今日、消費者の協同組織のための新しい民主的規準として、消費生活協同組合法を制定することは法の体系の上から見ても望ましいところであります。これが本案を提出した理由であります。
以下消費生活協同組合法案の内容についてその要点を概略説明申し上げます。
第一にこの法律制定の目的は、國民の自発的な生活協同組織の発達をはかり、もつて國民生活の安定と生活文化の向上を期することにあります。
第二に消費生活協同組合の要件といたしまして、各國共通の原則に基く組合基準を掲げその本質を明らかにしたのであります。
第三は組合及び連合会の区域は原則として都道府縣の区域を越えないものとし、職域による組合で特別の事情ある場合に指導連絡調整のみを行う連合会については、例外的に都道府縣の区域を越え設立できることといたしたのであります。
第四に組合及び連合会の事業は、組合員の生活のために必要な購買事業、利用事業、文化事業、共済事業、組合教育事業等であり、さらに連合会については組合に対する指導連絡調整の事業を演い得ることといたしたのであります。組合及び連絡会に信用事業を行わしめるか否かは議論のあるところでありますが、この法案においては認めないことといたしております。
第五は組合員となる資格を有する者は、原則として一定の地域に住所を有する者か、または一定の職域に勤務する者であります。組合員については、加入脱退の自由を確保し、議決権及び選挙権を平等にするとともに、家族もまた組合員の代理人として議決または選挙に加わることができることにいたしました。連合会の会員となり得るものは組合、連合会及びこの消費生活協同組合と同じような目的性格を有する協同組織体であります。
第六組合の管理につきましては、役員として理事監事を置くこととし、その選任及び事務の運営を民主的ならしめるとともに、総会の運用についてもでき得る限り組合員の総意に基いて運営せられるよう規定いたしたのであります。
第七組合の剩余金を組合員に割りもどすときは組合の本質に鑑み、組合員の事業利用分量に應じて割りもどすことを本則とし、出資額に應ずる割りもどしは年八分を超えてはならないことといたしたのであります。
第八に組合の設立につきましては組合員になろうとする者の総意に基いてなされるような創立総会等の手続を定め、また行政應の自由裁量によつて不当に設立を妨げられることのないように規定いたしたのであります。
第九組合の監督につきましても行政應の監督権を最小限度に止めることとし、方令等に違反した場合にはまず組合に対し必要の措置を命じ、これに從わない場合において事業の停止または解散等の措置をとり得ることといたしたのであります。
第十この法律施行により、産業組合法はほとんどその在立の意義が失われましたので、これを廃止することとし、現在の産業組合についてのみなお二年間は存続し得ることとし、その間における他の協同組合への移行、財産の承継等について経過的措置を現在いたしたのであります。
第十一組合に対する課税については法人税、地方税等について産業組合、農業協同組合等と同等程度の課税をいたすよう規定いたしたのであります。
以上法案の要点について御説明申し上げましたが、何とぞ愼重審議の上、速やかに可決あらんことを御願いいたします。
第2回国会衆議院厚生委員会議録第23号21頁(昭和23年7月4日)〔喜多楢治郎政府委員発言・発言番号156〕 会議録 国会会議録検索システム
出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=100201224)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。