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国会審議›第4回国会›閣法第6号
閣法第4回国会 第6号成立修正あり

公共企業体労働関係法案

昭和23年法律第257号 行政執行法人の労働関係に関する法律
提出昭和23年12月3日 内閣
付託参議院 労働委員会
衆議院 労働委員会
成立昭和23年12月12日
昭和23年法律第257号
審議会議 10回・発言 432(政府答弁等 106)

審議経過

右の数字は会議の発言数

参議院労働委員会

  1. S23.12.6趣旨説明労働委員会 111
  2. S23.12.7質疑労働委員会 276
  3. S23.12.8質疑労働委員会 384
  4. S23.12.10質疑労働委員会 421
  5. S23.12.12修正案趣旨説明・討論・採決労働委員会 521
  6. S23.12.12委員長報告・少数意見報告・討論・採決本会議 1065
  7. S23.12.23少数意見報告書本会議 201

衆議院労働委員会

  1. S23.12.8趣旨説明・質疑・修正案労働委員会 152
  2. S23.12.9質疑労働委員会 244
  3. S23.12.10討論・討論要旨・採決労働委員会 318
  4. S23.12.11委員長報告・討論・採決本会議 9107

提案理由

竹下豐次 政府委員(労働政務次官) 昭和23年12月6日

只今議題になりました公共企業体労働関係法案につきまして、その提案理由と大体の構成について御説明申上げます。

 先ず提案理由の第一といたしましては、七月二十二日附を以てマッカーサー元帥より当時の芦田内閣総理大臣に対して、國家公務員法の改正に関する書簡の参りましたことはすでに御承知の通りでありまするが、この書簡におきまして、現在特別会計によつて行われている鉄通事業及び專賣事業については公共企業体への組織替えが示唆され、第三臨時國会におきまして、日本國有鉄道法及び日本專賣公社法が成立いたしたのであります。この二つの法律によりますと、これら公共企業体の職員には國家公務員法が適用されないことになるのであります。このため公共企業体の職員には労働組合法及び労働関係調整法が適用されることになります。併しながら公共企業体は一つの企業体ではありますが、その特異性に鑑み、完全國有の法人として國家の嚴重な管理と監督の下に運営されることになつておりまして、一般民間の企業又は或る程度の國家の管理を受けている企業とはその性格を異にするのでありまして、マッカーサー元帥の書簡にありますように、職員の責任の遂行を怠ることによつて、公共企業体の業務運営に支障を起すことのなきように、公共の利益を擁護する方法が確立されなければなりません。このため公共企業体の職員の労働組合及び労働関係については、労働組合法及び労働関係調整法の規定いたしまするもののみにては不十分と考えられますので、これに対処する必要な措置を講ずるため、この法案を提出いたした次第であります。

 第二の理由といたしましては、公共企業体の労働関係は、第一に述べましたような公共企業体の性格から共通の特異性を持つものでありますので、日本國有鉄道と日本專賣公社とに、別個の労働関係に関する法制的措置を講じますことは適当でなく、且つ又、公共企業体の労働関係を統一的に把握する見地よりしまして、不適当であると考えられますので、この法案によりますように、統一的取扱をいたすようにいたしました。

 第三の理由といたしましては、公共企業体の職員には團体交渉権は労働組合法の定めるところにより、完全に保有するのでありますが、これが行使の方法につきまして、從來一般組合においてはややもすれば混乱を生じ、無用に労働紛爭議を生ぜしめている傾向があります。併しながら、かかる混乱は努めて排除されることは望ましいことでありまするが、特に公共企業体においてこれら無用な紛爭議を極力排除することにより、正常な團体交渉を保障し、これによつて職員の地位の維持向上を図り、以て公共企業体の能率発揮と正常な運営を確保しようとする法制的措置を必要としたことであります。

 第四の理由といたしましては、公共企業体の職員には、國業公務員に認められるその地位に関する特別の保障がありませんから、これに代えて完全な團体交渉と、適正迅速な調停と、嚴正なる仲裁との制度を確立することにより、職員の生活の安定を保障する必要があるのでありまして、これに関する法制最措置を講ずるを必要といたことであります。尚この点に関しましては御承知のように、先程申しましたマッカーサー元帥の書簡におきましても、かかる仲裁、調停の制度が設けられると示唆されております。

 以上はこの法案を提出いたしました理由でありまするが、續いて法案の大体の構成について御説明申上げます。

 第一章の冒頭におきまして、この法案の目的が、公共企業体の職員の苦情と紛爭とを友好的且つ平和的に調整するため、團体交渉の慣行と手續とを確立いたしますことにより、公共企業体の正常な運営を最大限に確保し、以て公共の福祉を増進することにあることを規定いたしまして、立法の趣旨を明らかにいたし、更に関係者が公共企業体の重要性に鑑み、紛爭をできるだけ防止し、主張の不一致を友好的に調整するために最大限の努力を盡すべきことを義務付けている次第であります。

 第二章におきましては、職員の組合の民主性、自主性を保障するための規定を設けますと共に、公共企業体の廣く國民に開放されるべき性質より、オープン・ショップ制を規定し、更に公共企業体の運営を正常に確保する必要上、職員の組合に加入し得ない者の範囲を明らかにしておるのであります。併しながら一方においては職員の組合が健全に発達いたしますことは、民主主義の発達に極めて望ましいことでありますから、職員が組合員であること、組合の正常な行爲をしたことを理由にして、如何なる差別待遇も受けないこととし、万一かかる差別待遇がなされましたときは、仲裁委員会の命令によりかかる行爲の取消を命ぜられることにいたしまして、労働組合法第十一條違反処理に伴う欠点を是正いたし、職員の組合の健全なる自主的発達に法上の保護を與えております。

 第三章は、團体交渉の手續に関しますものでありまして、この法案におきまして甚だ重要な部門であります。

 先ず第八條において團体交渉の範囲を明確にいたし、團体交渉の対象から公共企業体の管理及び運営に関する事項を除き、更に同條第二項において、その範囲を明示して、労働條件或いは密接に関連あるものに限り團体交渉が行い得ることとして、この交渉範囲をめぐつて生ずる無用の混乱を避けております。第九條より第十四條におきましては、團体交渉が、公共企業体を代表する交渉委員と職員を代表する交渉委員によつてのみ行われ、而も交渉委員は團体交渉を行うに適当な、予め定められた單位ごとに設けられることを規定いたし、團体交渉の統制ある慣行を確立しようとしております。これらの單位又は交渉委員は、公共企業体又は職員の自主的決定に待つのでありますが、これがいろいろな事情によりまして、企業体又は職員がみずからでは決定し得ないときは、労働省において当時者の意向、特に職員の意向を十分に尊重して、單位については労働大臣みずからが、職員の交渉委員については、労働大臣の定めた手續に從つて職員自身によつて決定されるよう措置いたして努めて自主的に決定されることを建前としております。

 併し以上の点につきましては、労働組合運動の発達において日の浅い我が國におきまして、未だ慣行的に確立されたものはないのでありますから、多少実施上困難があるかと思います。併しながら組合が一つの企業体に二つ以上存在しまする場合は、往々にして組合相互におきまして、團体交渉について爭いを生じ、このため職員に無用の紛糾を引き起すこともアメリカ等におきましては從來経驗されておるところであり、我が國におきましても、最近においてはこの虞れもあるわけでありまして、この第三章で規定しますような手續により、これらの無用の混乱を防ぎ、よき慣行を確立することにより團体交渉の円滑、正常なる発達を願い、この点からの労働関係の不安を除きたいと存ずる次第であります。團体交渉に関しましては、これが公共企業体の職員に対する重要性に鑑み、特に第十五條において、毎年一回は基礎的労働條件に確定にため團体交渉が行われ、これにより労働協約を締結することを特に法律上の必要事といたしております。併しながら公共動業体の予算経理については、國会及び政府の嚴重な監督下にあることが予定れさますので、これに関連して國会の所要の措置が取られるまで、労働協約の効力の発生を停止するの規定を第十六條に規定しております。

 第四章におきまして、職員の爭議行爲を禁止いたすことにいたしておりますが、これは公共企業体が完全國有法人でありますので、これに対して爭議行爲を行いますことは、延いては國家に対し脅威を及ぼすことになり、更に公共企業体が再建途上の國家経済と國民の福祉に占める重要性に鑑みまして、これが業務の運営の停滯は寸時といえども許されません。かかる事情よりして止むを得ず爭議行爲禁止の措置を講ぜざるを得なかつたのでありますが、併し、この半面におきましては、完全なる團体交渉権の行使と公正なる調停及び仲裁機関の迅速適確なる活動により、職員の地位の向上については十分なる保障がなされることになつております。

 第五章におきましては、苦情及び紛爭の調整と、調停の方法と、その機関を設け、苦情処理の適正なる解決のため、苦情処理共同調整会議を公共企業体の交渉單位に設けしめ、職員の日常の不平を迅速に解決して行くことにし、これによつて尚解決しないものは、調停委員会の調停に待つことといたしております。調停委員会は、日本國有鉄道及び日本專賣公社ごとに別個に設け、中央及び所要の地域に設けることにいたしておりますのは、この二つの企業体の業種の相違に鑑みて別個にいたしておる次第であります。この調停委員会は三名で構成され、その中の二名は企業体と職員との推薦する者から選び、他の一名はこの二名の選ぶ者を当てることにいたしておりますが、これは調停に当る委員に関係当事者の意向をよく理解し得る者を得ることにより苦情及び紛爭の解決を迅速にするためであります。調停の開始のうち、強制調停が労働、運輸、大藏の各大臣によりなされることになつておりますが、これは労働関係に関する統一的行政運営の上からは誠に異例でありますが、公共企業体の特に密接なる監督大臣との関係から、かかる方法を止むを得ず取り、これにより公共企業体の紛爭を迅速に解決する必要があると考えられたためであります。

 第六章におきまして、仲裁に関する方法機関を設けておりますが、労働紛爭議に占める仲裁の制度は誠に重大でありまして、これが運用は特に愼重且つ適確でなければならないものと信ずるのであります。特に本章におきましては、強制仲裁の制度が設けられているのでありまして、事は更に重大であろうと考えております。このため公共企業体の仲裁委員会には、事務に練達にして且つ公正な人を得なくてはならんと存じますので、これが人選は特に労働関係について経驗が深く、且つ中正なる立場にある中央労働委員会と船員中央労働委員会の会長の選択する人人を委員の候補者とすることにいたし、以上の必要に應じ得るものと考えております。而も仲裁も調停のごとくこれを実行して行く上に、関係当時者の意向を酌み得る人であることが又必要でありますので、関係当時者に中労委と船員中労委の会長の選んだ委員候補者の中から相互に協議して三名の委員候補者を決定して、内閣総理大臣に届け出しめることにいたしております。併いこの関係当時者の協議が三十日以内に調いませんときは、仲裁委員の調停委員会の委員とは異なる性格から見て、中労委及び船員中労委の会長がみずから三名の委員候補者を選び、内閣総理大臣に届け出て、これに基いて委員に委嘱がなされることになつております。かくのごとくして選ばれた仲裁委員会の委員はどこまでも嚴正中立でなければなりませんので、一方に遍することのないよう一定の欠格條件を定め、更に事務遂行に支障なからしめるため一定の罷免條件を附しております。

 次に仲裁の開始のうち、特に重要なるものは三点であります。その第一点は、調停にかかりまして、調停委員会が事案を審査いたしまして、調停にては解決困難と認められるもの、又はその他の理由で至急仲裁を要すると判断される事案は、その調停委員会の決議により仲裁することといたしたこと。第二点は、調停が開始されてから二ケ月経過しても尚解決し得ない事案は、自動的に仲裁の附されることにいたしたこと。第三点は、労働、運輸、大藏の各大臣から仲裁の請求がなされたとき仲裁が始まることであります。

 以上三点は関係当時者の意思に拘わらずして事案が仲裁にかかるいわゆる強制仲裁であります。労働関係の調整は、自主的になされることの望ましいことは労働関係法規の基本的精神でありまして、強制仲裁のごときことはこの精神からはやや離れております。併しながら爭議行爲の実行を禁ぜられた労働者の地位をよく保全し、向上せしめますには、事案の解決が迅速になされなければならんのであります。又一方には労働関係の不安をいつまでも残しますことは、公共企業体の正常な運営と能率の発揮の上から見まして重要でありますので、かかる強制仲裁の制度を設けざるを得ないのであります。併しながら強制仲裁の制度の運用は余程適正に行わなければ重大な結果さえ惹起されることが予想されます。かかる理由よりいたしまして、この章に定められます仲裁に関する諸規定の運用は誠に重大と言わざるを得ません。

 以上この法案を提出するに至りました理由と、法案の構成の概略について説明いたした次第でありますが、この法案につきまして、十分御審議の上、各位の御賛意を得て、その成立の得られますことをお願いいたす次第でございます。

第4回国会参議院労働委員会会議録第1号1頁(昭和23年12月6日)〔竹下豐次政府委員発言・発言番号6〕 会議録 国会会議録検索システム

出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=100401006)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。