教育公務員特例法案
参議院 文部委員会
昭和24年法律第1号
審議経過
右の数字は会議の発言数衆議院文部委員会
- S23.12.9趣旨説明・補足説明・質疑文部委員会 246
- S23.12.10質疑文部委員会 3106
- S23.12.11質疑文部委員会 446
- S23.12.12修正案趣旨説明・討論・採決(修正)文部委員会 560
- S23.12.12採決(修正)・委員長報告本会議 10129
参議院文部委員会
- S23.12.9趣旨説明文部委員会 16
- S23.12.11質疑文部委員会 2112
- S23.12.13質疑・討論・採決文部委員会 3117
- S23.12.14委員長報告・討論・採決本会議 1247
提案理由
下條康麿 文部大臣 昭和23年12月9日本委員会に付託されました教育公務員特例法案について、その提案の理由を御説明いたします。
六、三の義務教育制を根幹とする新学校制度は、今や着々実施を見つつあるのでありますが、直接新教育実施の任に当る学校の校長、教員等の選任を公正かつ適切ならしめるとともに、教員の地位を確立し、もつて教員をしてその職務に專念させることは、教育刷新、教育振興の基礎條件であり、現下における喫緊の要務と存ずる次第であります。國家公務員たる者については、國家公務員法の規定がありますが、これを全面的にそのまま学校教員に対して適用することにつきましては、その職務と責任の特殊性にかんがみるとき、必ずしも適当ではなく、かつ、不十分と思われる点も存するのであります。これについては國家公務員法自体におきましても、かかるものについて特例を設け得べきことを規定しているのであります。
ここにおいて政府は、さきに第二回國会に國家公務員法の特例法として、教育公務員の任免等に関する法律案を提出いたしました。しかし同案は、國会の会期の関係上成立を見るに至らなかつたのでありますが、國会においては同案の重要性を認めて閉会中も審議を続行する旨議決され、從つて第三回國会に継続案件となつた次第であります。しかるところ、第三回國会において同案に対する一般法たる國家公務員法の改正が行われましたので、これに伴つて同案にも所要の修正を施す必要が生じました。また一方においては、教育の地方分権を目ざす教育委員会法は、去る七月十五日公布施行され、十一月一日から都道府縣及び五大市その他若干の市町村において教育委員会が成立いたしました。公立学校の教員は、現在官吏の身分を有しており、かくてはこれらの者の身分の所轄廳たる教育委員会の性格に適應しないので、この際これらの者の身分を地方公務員に切りかえることが、適当であるとともに、教員の人事に対する教育委員会の関係を具体的に明示する必要があるのであります。
以上の点に基き「教育公務員の任免等に関する法律案」は、先に第三回國会の承諾を得てこれを撤回し、さらに檢討を重ねたのでありますが、成案を得ましたので、ここにあらためて「教育公務員特例法案」として提出いたした次第であります。
以上がこの法律案の提案理由でありますが、次にこの法案の要点を説明いたします。
まず本案の適用範囲でありますが、それは國立及び公立の幼稚園から大学までの学長、校長、教員及び部局長並びに教育委員会の教育長及び專門的教育職員であります。本案ではこれらの者を総称して、教育公務員と称することといたしました。從つて國立学校の校長、教員等は國家公務員たる教育公務員であり、公立学校の校長、教員等並びに教育委員会の教育長等は地方公務員たる教育公務員ということになるわけであります。
次に一般公務員に対する特例として規定いたした主要な事項は、次の三点であります。その第一は、採用及び昇任の方法に関する点であります。國家公務員法によりますと、職員の採用及び昇任は原則として、すべて競爭試驗によることとなつておりますが、一般に教育者たる必要な人格的要素は、競爭試驗によつてはとうてい判定しがたいものと考えられます。しかも高等学校以下の学校の校長、教員並びに教育委員会の教育長等の教育公務員につきましては、嚴正な手続を経て下付される校長もしくは教員または教育長等の免許状をもつていることが、必須の資格要件とされているのでありますから、その上に競爭試驗を行うことは不必要であり、また不適当とも考えられるのであります。特に大学の教育公務員につきましては、その職務の性質上、きわめて專門化された学力、技能を必要とするのでありまして、競爭試驗によることは不適当でもあり、かつ、実施困難の場合が多いとさえ想像されるのであります。以上申し述べました理由により、教育公務員の採用及び昇任は、競爭試驗によらず適正な選考によつて行うべきであり、この点に関する規定を本案に設けたのであります。
第二は、研修に関する点であります。教育公務員は、その職責の遂行上、当然研究と修養に努めなければならないものでありますから、この点について、國家公務員法の教育訓練に関する事項を、積極的に拡充明示して規定いたしました。
第三は、学問の自由の保障と大学の自治の尊重に関する点であります。大学の教員の人事に関しましては、從來、慣例上、大学自治の原則が認められていたのでありまして、今後も大学の自治的運営にまつことを本体とし、その任免、分限等については、大学の自治機関の定める基準により、各大学で自主的に行うのが適当と考えるのであります。從いまして、その採用及び昇任の方法のほかに、分限、懲戒、服務等について相当の特例を設けました。その他、校長、教員等の特殊な職責上、結核性疾患による休職については、その期間を二年とし、その間俸給の全額を支給し得ることとして、被教育者、教育者双方の保健の促進を期し、また校長、教員等が本務以外に教育に関する他の職務に從事することができる規定を設けるなど、一般公務員に対する特例を規定いたしました。
以上簡單ながら、この法律案提出の理由と内容の大要について説明いたしましたが、何とぞ愼重御審議の上、すみやかに議決あらんことをお願いいたします。なお足らない点は政府委員をして説明いたさせます。
第4回国会衆議院文部委員会議録第2号3頁(昭和23年12月9日)〔下條康麿文部大臣発言・発言番号2〕 会議録 国会会議録検索システム
出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=100401012)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。