労働者災害補償保険法の一部を改正する法律案
参議院 労働委員会
昭和24年法律第82号
審議経過
右の数字は会議の発言数衆議院労働委員会
- S24.4.26趣旨説明・補足説明・質疑労働委員会 959
- S24.4.27質疑労働委員会 10137
- S24.4.28討論・採決労働委員会 1117
- S24.4.28委員長報告・討論・採決本会議 2390
提案理由
鈴木正文 労働大臣 昭和24年4月26日ただいま議題となりました、労働者災害補償保險法の一部を改正する法律案の提案理由について御説明申し上げます。
労働者災害補償保險法は、労働基準法の裏づけとして、昭和二十二年九月一日から施行されて以來、業務災害をこうむつた労働者に対して、迅速かつ公正な災害補償を行い、被災労働者の基本的人権を擁護するとともに、他面事業主の経済的負担の分散、軽減をはかり、もつて産業安定のために、所期以上の成績を收めて参つたのであります。
今回この労働者災害補償保險法の運営を一層容易ならしめ、本法の主眼とする迅速かつ公正な災害補償を積極的に行うために、次の諸点について、この法律の一部を改正する必要があると考えられるのであります。
まず第一の点は、適用事業の範囲を拡張することであります。すなわち從來船舶による旅客または貨物の運送の事業は、任意適用事業でありましたが、業務災害の危險率が相当に高いので、これらの事業のうち、船員法の適用から除外されているものを、強制適用事業に含めたのであります。
第二の点は、保險料算定の基礎となる賃金総額というものを、はつきりさせたことであります。すなわち賃金総額については、從來のように除外例を認めないで、名称のいかんを問わず、労働の対償として、使用者が労働者に支拂うすべてのものを、賃金総額に含むことにいたしたのであります。
第三の点は、保險料報告の義務を法律に規定いたしたことであります。
第四の点は、政府が保險料の額を認定して徴收することができる規定を設けたのであります。すなわち從來多数の保險加入者のうちには、概算保險料の額、または確定保險料の額を、所定期限までに報告して來なかつたり、あるいは事実と相違した保險料の額を報告して來る者があつて、そのため本法の運営上支障を來しておりましたので、今回政府が職権で保險科の額を認定し、徴收することができるようにいたしたのであります。しかしその反面、政府の認定、決定に不服のある場合、これを救済する必要があるので、その救済規定を設けることといたしております。
第五の点は、保險料追徴の場合に、その的確を期するため、納期限に関する規定を設けたことであります。
第六の点は、政府が保險料の額を規定した場合に、その徴收すべき保險料に対して、追徴金を賦課することであります。すなわち保險加入者が、なすベき報告をしなかつたり、虚偽の報告をした場合には、政府が勘定して徴收すべき保險料の額の、百分の十に相当する額を、追徴金として徴收することにいたしたのであります。
第七の点は、延滞金及び罰金を引上げたことであります。從來延滞金は、百円につき一日四銭の割合でありましたが、これはきわめて低率でありますから、國税その他社会保險と同様に、百円につき一日二十銭に引上げたのであります。また所定の義務を履行しない保險加入者や、その他の保險関係者に課されている罰金も、きわめて低額でありますから、その罰金の額を五倍または六倍に引上げて適用することとしたのであります。
なお官吏の業務上の祕密漏洩に関する罰則については、國家公務員法に規定されておりますから、これを削除いたしたのであります。その他條文中不必要な字句は削除いたしまして、法文の整理をいたしております。
以上の諸点が、この改正法律案の提案理由であります。何とぞ御審議の上、可決されるようお願いいたします。
第5回国会衆議院労働委員会議録第9号2頁(昭和24年4月26日)〔鈴木正文労働大臣発言・発言番号2〕 会議録 国会会議録検索システム
出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=100501113)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。