簡易郵便局法案
参議院 逓信委員会
昭和24年法律第213号
審議経過
右の数字は会議の発言数衆議院逓信委員会
- S24.5.16趣旨説明・質疑逓信委員会 1495
- S24.5.19質疑・討論・採決逓信委員会 15107
- S24.5.20委員長報告・討論・採決本会議 34103
参議院逓信委員会
- S24.5.16趣旨説明逓信委員会 95
- S24.5.17質疑・討論・採決逓信委員会 1076
- S24.5.18委員長報告・討論・採決本会議 2997
提案理由
小澤佐重喜 逓信大臣 昭和24年5月16日ただいま議題となりました簡易郵便局法案について、提案理由を説明申し上げます。
郵政事業の第一線窓口機関は、現行制度におきましては、御承知の通り、すべて國の直轄でありまして、今日いわゆる普通郵便局で窓口事務を取扱うものは五百九十七局、特定郵便局は一万三千四百十二局、合計一万四千九局であります。しかしながら、今なお窓口機関を持つていない町村は全國に約千八百残されている状況でありまして、昭和二十二年末の統計で見ますと、人口五千六百五十六人に対して一局の割合で配置されている勘定となつております。
試みに、これを諸外國と比較いたしますと、英本國は千九百四十三人、フランスは二千四百五人、アメリカは三千四百四十八人におのおの一局となつていまして、人口密度もあわせて考えなければならないことは当然でありますが、わが國の普及率がいまだ著しく低いことは、ほぼ明らかであろうと思われるのであります。
しかるに、今日の郵政事業財政の実情は、極力支出の抑制をはかり、その経営の合理化に努めているにもかかわらず、きわめて窮迫した状態でありまして、先般御賛成を得ました料金の値上げを実行いたしますほか、郵政事業関係のみにおきましても、今回おおむね二万四千人に上る行政整理を企図して、辛うじて独立採算制を保持しておる次第であります。從つて、現状のままに放置いたしますときは、新規に増員を必要とする直轄郵便局の新設のごときはきわめて困難となり、郵政事業の公共的な使命の遂行に、重大な支障を來すおそれがあるのであります。
現に、郵便局新設の要望は、國会の請願を通しましても、きわめて熾烈なものがあり、しかも現地の実情から見て、まことにごもつともな要望と考えられるものが少くないにもかかわらず、從來とも事業財政の制約を受けて、その一部分しか実行されておらぬ状況でありますので、今後は一層その実行が困難となることは、火を見るよりも明らかなことであります。
かような状況のもとにおきましては、この機会において、現在の特定郵便局制度よりも、さらに一段と簡易にして経済的な新制度を創設いたしまして、より少い経費で一局でも多くの窓口機関を普及させることが、郵政事業の公共性と、郵政事業の独立採算制との要請に沿うゆえんのものであると確信いたしましたので、ここに必要な規定を揚げて、本案を提案した次第であります。以下この法律案の要点たつきまして、若干説明を申し上げます。
第一の要点は、郵便局の窓口のサービス——すなわち、郵便物の取集め、逓送及び配達の事務は含まれません——を公衆に提供する必要がある場合におきまして、事務の量が著しく少いため、國の直轄による郵便局によらないで、この法律が定める地方公共團体または農業協同組合等に委託して行わせた方が経済的であり、かつ郵政事業の運営上にも支障がないと認められるときは、郵政大臣との契約によりまして、これらのものは簡易郵便局として、國の郵政業務の一部を行うことができることといたしたのであります。
なおまた簡易郵便局を設ける必要があると認められる地域に、これらの業務を行いたいというものが二以上ありますときは、第一に地方公共團体、第二に協同組合という順位により、また同順位のものの間では、郵政大臣の適当と認めるものが選定されることとしたのであります。
第二の要点は、この簡易郵便局で取扱う事務の範囲を、郵便、郵便貯金、郵便為替、簡易生命保険及び郵便年金に関する郵政窓口事務のうちで、省令で定めるものと限定いたしまして、窓口事務のうち、きわめて簡易なもので、しかも一般に最も利用度の多いサ—ビスのみに限つたことであります。從つて、
一、郵便関係では書留及び速達扱いにかかる内國通常郵便物並びに普通及び書留扱いにかかる内國小包郵便物の引受けと郵便物の窓口交付
二、為替、貯金関係では、小為替の振出し及び拂渡し、通常貯金及び定額貯金の預け入れ当該簡易郵便局預け入れの貯金及び原簿所管廳で確認済みの通常貯金及び定額金の拂いもどし
三、簡易生命保險及び郵便年金関係では新規契約事務
四、郵便切手類及び印紙の賣さばき事務などの事務が考えられるのであります。
また取扱い時間、取扱い休止日は必ずしも全國画一的とせず、利用者の便益と経済性とを考えて、その地方の事情により、また季節関係等に應じ、弾力性を與えて定めることといたしたいと考えております。
第三の要点は、この事務を委託された地方公共團体等は、その役職員をして事務を行わせますとともに、必要な設備をし、また必要な経費を支弁する責任を負うのでありますが、郵政大臣はこれに対してその取扱い事務量に應じた手数料を支給することとしたことであります。この手数料は月額二万円をもつて限度としたのであります。
その他この委託事務を取扱うことに伴う國庫金の取扱い及び委託された業務の監督関係等につきましては、それぞれ必要な規定を設けて法律関係を明らかにいたしてあります。
以上がこの法律案の主要な点であります。会期の切迫せる今日、取急ぎ提案いたしまして、はなはだ御迷惑をおかけいたしますが、何とぞ本案の趣旨にかんがみられまして、すみやかに可決されるようお願いする次第であります。
第5回国会衆議院逓信委員会議録第14号2頁(昭和24年5月16日)〔小澤佐重喜逓信大臣発言・発言番号4〕 会議録 国会会議録検索システム
出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=100501208)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。