地方税法の一部を改正する法律案
参議院 地方行政委員会
参議院 文部委員会
昭和27年法律第216号
審議経過
右の数字は会議の発言数衆議院地方行政委員会
- S27.3.18趣旨説明・質疑地方行政委員会 1671
- S27.3.20質疑地方行政委員会 1758
- S27.3.25質疑地方行政委員会 18109
- S27.3.28逐条説明・質疑地方行政委員会 2039
- S27.3.29質疑地方行政委員会 2165
- S27.3.31質疑地方行政委員会 22164
- S27.4.1質疑地方行政委員会 2385
- S27.4.2質疑地方行政委員会 2474
- S27.4.3質疑地方行政委員会 2549
- S27.4.16申入地方行政委員会 27113
- S27.5.16小委員長報告・質疑地方行政委員会 4676
- S27.5.17質疑・討論・附帯決議・採決(修正)地方行政委員会 47104
- S27.5.20修正案・委員長報告・討論・採決(修正)本会議 4352
- S27.6.21参議院回付案・参議院回付案同意本会議 599
- S27.7.31附帯決議本会議 701
参議院地方行政委員会・文部委員会
- S27.3.20趣旨説明・質疑・補足説明地方行政委員会 1947
- S27.5.23質疑文部委員会 367
- S27.5.31衆議院修正部分趣旨説明・質疑地方行政委員会 4330
- S27.6.3質疑地方行政委員会 44210
- S27.6.4質疑地方行政委員会 4548
- S27.6.9小委員長報告・質疑地方行政委員会 47128
- S27.6.10質疑・修正案趣旨説明・討論・採決(修正)地方行政委員会 4865
- S27.6.11委員長報告・討論・採決(修正)本会議 5046
提案理由
岡野清豪 地方自治庁長官 昭和27年3月18日ただいま上程されました地方税法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び内容の概略を御説明いたします。
申し上げるまでもなく、地方税制は、都道府県や市町村が、その付託された事務を遂行する上に必要な財源を調達する最も有力な手段であります。従いまして、地方税制の改正を考えます際に、これによつて地方団体は幾ばくの財源を得ることができるかということが、地方財政計画上きわめて大切な問題であります。今日、国民は租税負担の重いことを訴えております。殊に高率課税を行つております税種につきましては、その引下げを求める声が特に強いのであります。飜つて、個々の地方団体の財政状況をながめますとき、若干の例外を除きましては、ひとしく、戰後新たに課せられた諸制度の運営に要する経費や、戰争中放置された諸施設の補修に要する経費の財源捻出に苦慮しているのであります。しこうして、昭和二十五年度の決算においては、形式上も、赤字を出している団体は、四十六都道府県のうちでは四団体、五大市のうちでは三団体、その他の二百六十有余の市のうちでは、約三割に上る八十一団体、一万町村のうちでは約四百の団体に達しているのであります。形式上は赤字決算をいたしませんでも、実質上赤字であつた団体は、おそらくこの数倍に上るものと想像されるのであります。もとより、これが原因につきましては、見る人によつて所見を異にするかもしれませんが、地方団体が財政的に異常の窮迫状態に置かれているという事実については、何人もこれを認めないわけには参らないと考えるのであります。よつて、政府におきましては、一面地方行政の簡素化をはかつて参りますことによつて、地方負担の軽減を期しまするとともに、他面来年度における地方債の発行額の増加をはかるほか、地方税収入の減少を来すような措置は努めてこれを避けようといたした次第であります。
この結果、地方税收入見込額は二千九百二十四億円となるものでありますが、なお、本年度地方歳入見込額の総額七千五億円中に占める割合は四二%弱でありまして、地方財政平衡交付金や各種国庫負担金、補助金を含む国庫支出金は、三九%強の多きに及んでいるのであります。もとより同一に論ずるわけには参らないのでありますが、国の一般会計におきましては、專売益金を含む租税收入が、八九%強を占めていることと比較いたしまして、地方財政の自主性に乏しいことを指摘せざるを得ないのであります。
地方団体において、住民の自覚に基いた地方自治の発展して行くことを期待して参りますためには、地方行政の運営に必要な経費財源は、可及的に多く住民直接の負担に求めて行くよういたさなければなりません。国税であれ、地方税であれ、ひとしく国民の負担に帰することに思いをいたしますならば、国庫支出金を減じても、将来地方財政は地方税を主体として運営されて行くよう改善されて行かなければならないと考えるものであります。
以下、地方税法中改正事項の個々につきまして御説明申し上げます。
改正の第一は、附加価値税の実施をさらに一年間延期するとともに、その間、事業税及び特別所得税を存置することといたしたことであります。御承知の通り、附加価値税は本年一月一日から実施せられることとなつているのでありますが、一面には、いまだ経済界が十分安定するに至つておりませんときに、転嫁を予定するとはいえ負担の激変を来すことは適当でないと認められますのと、他面には、事業税をそのまま実施した場合に比較して相当の減収を来すのみならず、徴税費の増高を招き、窮乏にあえぐ府県財政の運営に支障を来さしめるおそれがありますので、いま一年その実施を延期し、その間事業税及び特別所得税を存置することといたしたのであります。
改正の第二は、市町村民税に関するものであります。その一は、法人税割の税率の調整をはかつたことであります。すなわち、さきに法人税の税率が法人所得の三五%から四二%に引上げられたのでありますが、法人税割の標準税率は、法人所得の五・二五にすえ置くことといたしますために、現行の百分の十五を百分の十二・五に引下げることといたしたのであります。これに伴い、制限税率も現行の百分の十六から百分の十五に引下げることといたしておりますそ。の二は、老年者等でその前年における所得が十万円以下の者でありましても、これらの者がいわゆる家業專従者として壯年者を有している場合においては、当該老年者等に対しても市町村民税を課することができる道を開いたことであります。すなわち、従来特に農村方面におきましては、老年者等がいわゆる家業専従者を有しております場合、名義上の所得者が老年者であるため、市町村民税を課税されず、その結果、他の納税義務者との間に負担の不均衡を生じ、税務行政の運営上種々支障を生じておりましたので、このような場合には、実情に応じ老年者等に対して市町村民税を課税することができることとし、所得者の名義のいかんによつて、他の納税義務者との間に、税負担の不均衡を生ずることを避けることとしたのであります。
改正の第三は、固定資産税に関するものであります。その一は、都市計画法または特別都市計画法による土地区画整理の施行にかかる土地については、課税台帳面において所有者の変更が行われるまでの間は、換地予定地または換地に対応する従前の土地の土地台帳上の所有者を、当該換地予定地または換地にかかる土地台帳上の所有者とみなして、固定資産税を課することができるものとしたことであります。現行法のもとにおいては、都市計画法または特別都市計画法による土地区画整理の施行にかかる土地につきましても、土地台帳または土地補充課税台帳に登録されている所有者に固定資産税が課されることとなつているのであります。しかし、区画整理施行中の土地は、区画整理事業の進行に伴い、将来その土地の所有者となる者が、その土地を現実に使用收益することとなつて参りますため、現在のように実質上の所有関係をまつたく無視して課税することは、負担の公平という見地から適当ではありません。そこでこのような場合においては、これらの者が土地台帳に所有者として登録されるに至りませんでも、その土地に対する固定資産税の納税義務者とすることができるものとしようとするのであります。
その二は、固定資産課税台帳の縦覧期間等に所要の改正を加えたことであります。現在の固定資産課税台帳の十日間の縦覧期間は、やや短きに失するため、これを二十日間に延長し、課税の円滑をはかるとともに、これに伴い、審査委員会の審査のための会議の開会の期間、審査決定期間等をそれぞれ延長いたしまして、徴税の合理化に資することといたしたのであります。
改正の第四は、木材引取税に関するものであります。木材引取税は、素材の引取りに対し、価格を課税標準として、素材生産地の市町村において引取者に課するものでありますが、その課税標準である価格は、時期によつてきわめて変動しやすい上に、その算定が必ずしも容易でありませんので、価格にあわせ、容積をも課税標準とすることができるものとし、徴税の簡易化をはかつたのであります。
改正の第五は、国民健康保険税に関するものであります。
その一は、現行の国民健康保険税は、みづから国民健康保険を行う市町村がこれを課することができるものとしておりますが、一部事務組合を設けて、国民健康保険を行う場合におきましても、これに加入している市町村は、国民健康保険に要する費用の組合分賦金に充てるため、国民健康保険税を課することができるものとしたことであります。
その二は、納税義務者一人当りの最高賦課制限額一万五千円を、その後における物価の変化、受診率の上昇等を考慮して、三万円に引上げることといたしたことであります。
改正の第六は、附加価値税の実施を一年間延期することとしたことに伴い、その間存続することとなつた事業税及び特別所得税に関するものであります。
その一は、個人事業税及び特別所得税について、従来の二万五千円の免税点制度を改め、新たに三万八千円の基礎控除を認めることにしたことであります。これらの税率はかなり重いものでありますので、その所得が免税点をわずかでも越えることとなれば、一躍相当の租税を負担することとなり、所得が免税点以下で租税を負担しない者との間に均衡を欠くこととなる結果、徴税上多くの困難を来していたのであります。そこで各人の所得から一律に三万八千円ずつ控除したものをもつて、課税標準とすることとし、この困難を打開するとともに、あわせて少額所得者の負担の軽減をはかることといたしたのであります。
その二は、青色申告法人に限り、繰越損金の控除を二年間行うことができるものとしたことであります。現行法は一年間に限り繰越損金の控除を認めているのでありますが、法人税の税率の引上げ等をも考慮し、負担の合理化をはかるため、帳簿の記載の信頼できる青色申告法人に限り、特に二年間控除を認めることといたしたのであります。
その三は、二以上の道府県において事業を行う法人の昭和二十五年度分以前の事業税及び同附加税について、仮徴収を行うことができるものとしたことであります。御承知の通り、昭和二十五年度分以前の法人事業税及び同附加税の徴收は、現行法と異なり、賦課処分によるものとされているのでありますが、これがためすでに申告納付制度を採用している法人税に比較するときには、その徴收は相当に遅延せざるを得ない現状にあるのであります。政府におきましても、かねてからその促進に努力いたして参つたのでありますが、府県財政の窮乏は、これ以上放置することを許さない実情にありますため、特に著しく決定の遅延している二以上の道府県において事業を行う法人の昭和二十五年度分以前の事業税及び同附加税に限り、法人税申告額、決定額または更正額に基いて本年十月末日までに事業税の課税標準額または事業税附加税の本税額をかりに定めて、徴収することができるものとし、従来の徴収上の隘路を打開し、徴收の確保をはかり得る措置を講ずることとしたのであります。
改正の第七は、雑税の廃止等に関するものであります。
その一は、漁業権税、広告税及び接客人税は、その税額も少く、かつ、普遍的な税源でもありませんので、法定普通税としては、これを廃止することにしたことであります。
その二は、市町村民税の法人税割及び法人事業税について徴收猶予が行われる場合、徴收猶予を受けた税額について、徴收される延滯金の額を法人税法の改正に準じ、従来の日歩四銭を日歩二銭に減額し、負担の合理化をはかつたことであります。
以上が本改正案の内容の概略であります。何とぞ愼重審議の上、すみやかに議決せられんことを希望する次第であります。
第13回国会衆議院地方行政委員会議録第16号4頁(昭和27年3月18日)〔岡野清豪地方自治庁長官発言・発言番号2〕 会議録 国会会議録検索システム
立法資料のある条文
この法律案の審議で取り上げられた条(政府答弁の件数順)附帯決議
将来地方財政の自主性を確保すると共に行政事務の再配分に対処するため、国税その他国庫の收入を大巾に地方に移譲又は還付することを必要と認める、政府は宜しく其の実現に努力すべきである。特に本年度の国会の修正に当つては補正予算提出の際には地方財政平衡交付金を増額するか或は酒煙草の消費税又は還付税を創設する等地方の減收に対し確実に其の財源を補償し以て今回の改正が地方財政を不当に圧迫することのないよう考慮して居るのであるから政府も此の主旨により善処せられたい。簡單に御説明いたしまするが、決議の前段は、でき得る限り地方財政に自主的の財源を與えるべしという意味でありまして、先ほどの討論にもありましたごとく、法人税割を国税法人税として持つて行かれるということはもつてのほかである。今後国税あるいは国庫收入、たとえば酒税あるいは専売益金のごときものを地方に委譲、あるいは還付税として支出すべきである。これにおいて平衡交付金もできる限り減らす必要があると思うのであります。政府はこの方針に沿つて努力すべきであると思います。今回の税法の提案においても、政府の説明はさよう考えておるようでありますが、実際においてこれに対する力が足らなかつたということは認めざるを得ないのでありまして、強くここに決議としてこの一点を国会の意思として明らかにし、政府の善処を要望しておる次第であります。後段の点につきましては、過般の改正案に対して修正案が提案せられましたが、この修正は十分に財源を考慮しつつ修正を行つたのであります。すなわちこの財源に対しましては前段に申し述べましたごとく、国庫にありまする收入あるいは国税を地方に委譲あるいは還付するという精神のもとに、財源措置をいたしたいというわけでありまして、すなわち補正予算の際におきましては、平衡交付金の増額あるいは酒、タバコの消費税あるいは還付税という形によりまして、大衆の負担増加を来さずして、財源を補充するところの措置を講じていただき、もつて地方財政当局に対しましても、経理上不安の念のないように善処せられたいのであります。国会の意思が、絶対に地方財政を窮迫に陥れない、必ず財源措置をするという企図の上に行われておりますことをよく政府も了承せられ、この際この対策を研究の上、でき得る限りすみやかにその措置を発表せられたいのであります。大体この減税につきましては、われわれは十月より実施いたしますとして、五十億円の財源を必要とすると認めておるのであります。なおこの補充措置につきましては来年度におきましてどうするかという問題もありましようが、これは前段に申し述べましたところの原則によりまして、当然これは国の收入あるいは国税等より地方に委譲せられるのが建前であるというふうに、私ども考えておるのであります。この点ひとつ御了承の上、皆様方の御賛成を得たいと思うのであります。
出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=101301074)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。