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国会審議›第13回国会›閣法第115号
閣法第13回国会 第115号成立修正あり

地方公営企業法案

昭和27年法律第292号 地方公営企業法
提出昭和27年3月26日 内閣
付託衆議院 地方行政委員会
参議院 地方行政委員会
参議院 地方行政・労働連合委員会
成立
昭和27年法律第292号
審議会議 13回・発言 693(政府答弁等 293)

審議経過

右の数字は会議の発言数

衆議院地方行政委員会

  1. S27.3.27趣旨説明地方行政委員会 1915
  2. S27.5.15逐条説明地方行政委員会 456
  3. S27.5.22逐条説明・質疑地方行政委員会 50122
  4. S27.6.11質疑地方行政委員会 6776
  5. S27.6.12質疑地方行政委員会 6877
  6. S27.6.14修正案・委員長報告・討論・採決(修正)本会議 5452
  7. S27.6.14質疑・修正案・修正案趣旨説明・討論・採決(修正)地方行政委員会 6997

参議院地方行政委員会・地方行政・労働連合委員会

  1. S27.3.28趣旨説明地方行政委員会 204
  2. S27.4.2逐条説明地方行政委員会 2249
  3. S27.6.10質疑地方行政・労働連合委員会 1116
  4. S27.6.14質疑地方行政委員会 5284
  5. S27.6.17質疑・採決地方行政委員会 54121
  6. S27.7.25委員長報告・採決本会議 6988

提案理由

岡野清豪 地方自治庁長官 昭和27年3月27日

ただいま本委員会に付託されました地方公営企業法案について、その提案の理由と内容の概略を御説明申し上げます。

 近代国家のもとにおきましては、地方公共団体の処理いたします事務は、権力行政及び非権力行政の両分野にわたり、いよいよ複雑多岐を加えて来ているのでありますが、住民に対しよりよいサービスを提供し、それによつて住民の福祉を増進いたしますことが、地方公共団体の固有の存立目的の一であることは、あえて申すまでもないところであります。水道事業、自動車運送事業等の各種公益事業を公営することにより、低廉、適切なサービスを住民に提供いたしますことが、地方公共団体の重要な事務と考えられて来たゆえんも、ここにあると存ずるのであります。

 現在、地方公共団体が経営しております水道事業、軌道事業、自動車運送事業、地方鉄道事業、電気事業及びガス事業を概観いたしますと、これらを経営する地方公共団体は、数にして約五百以上の多きに及ぶのでありますが、これらの事業は、一方において水道條例、軌道法、道路運送法、地方鉄道法、公共事業令等の適用があり、他方において、地方公共団体自体の組織及び運営に関するものとして、地方自治法、地方財政法等の規制のもとにあるわけであります。水道條例、軌道法等の各種事業法は、原則として私企業、公営企業の別なくおしなべて適用されているもので、これらの法令は、地方公共団体の経営する企業を、いわば外から規制しているのに対し、地方自治法、地方財政法等は、地方公共団体の経営する企業を内部から規制している、ものであります。

 地方公共団体の経営いたします企業は、公共の福祉の増進をはかることを第一義とすることは申すまでもないところでありますが、一方、それが企業として持つ性格にかんがみ、常に企業としての経済性を発揮するように運営されなければならないことはもちろんであり、この点に関する限り、私企業に類似する原則に立脚すべきものであると考えられるのであります。しかるに、前述いたしましたように、地方公共団体の経営いたします企業については、内部的には、原則として地方公共団体の処理しております他の一般行政事務と同様に、地方自治法、地方財政法等が一律に適用になり、遺憾ながら企業経営の特殊性に対応する措置は、何ら講せられていない現状であります。一般の官公庁の行政事務を規制するのと同様な法規のもとにある限り、企業の能率的経営を促進し、その経済性を発揮させるためには遺憾の点少しとしないのでありまして、本公営企業法案を提案いたします理由もここに存するのであります。すなわち、企業経営組織に関しては、地方公共団体内部において特別の経営組織を設け、企業の管理者に対し企業の業務執行について相当広汎な権限を與え、企業の経理に関しては、従来の官庁会計を排して、発生主義の原則に基く企業会計を採用し、企業に従事する職員の身分取扱いについても、国鉄、専売等国の公共企業体の職員に準ずる身分取扱いを認め、企業の能率的経営を図はかり、その経済性を高め、もつて公共の福祉を増進し、地方自治の発達に資せんとするものであります。

 すでに昭和初年以来官民の間に地方公営企業法制定の機運が醸成せられ、政府としても鋭意調査研究を続けて参りましたが、一昨年御審議を願つた地方公務員法の附則においても「……公営企業に従事する職員の身分取扱については、別に公営企業の組織、会計経理及び職員の身分取扱に関して規定する法律が制定実施されるまでの間は、なお、従前の例による。」とされているのであります。以上の見地から、政府においては、調査研究の結果を各方面とも協議折衝をいたし、今日ようやくここに成案を得、今期国会の御審議を煩わすことに相なつた次第であります。

 次に本案の内容につき、その概要を御説明申し上げます。

 まず、本法律案は、地方公共団体の経営する企業の組織、財務及びこれに従事する職員の身分取扱いその他企業の経営の根本基準を定め、地方自治の発達に資することを目的とするものであり、地方公営企業は、常に企業の経済性を発揮するとともに、その本来の目的である公共の福祉を増進するように経営されるべきことを企業経営の基準原則として打立てております。

 第二に、この法律の適用を受ける企業の範囲についてでありますが、本法案が企業に管理者を置くことを原則とし、相当な熟練と知識を要する企業会計を採用し、企業に従事する職員の身分取扱いについても特例を認めている点にかんがみ、一定の職員数を有し、従つて一定の規模を持つ水道事業、軌道事業、自動車運送事業、地方鉄道事業、電気事業及びガス事業に適用されるものとしておりますが、他方、本法案の直接規制対象外の公営企業についても、地方公共団体が自主的にこの法律の規定の全部または一部を適用し得る道を開いているのであります。

 第三に、本法案と、地方自治法、地方財政法及び地方公務員法との関係でありますが、本法案は、これらの法律の特例を定めるものとし、地方公営企業の経営に関し本法案に特別の定めがないものは、すベてこれらの法律によるものとしているのであります。

 次に地方公営企業の経営組織について御説明申し上げます。

 第一に、地方公営企業の業務を執行させるため、地方公共団体の長の指揮監督のもとに、企業の管理者を置くことを原則とし、管理者は、予算の調製権、各種議案の提案権等地方公共団体の長に固有のものを除き、企業職員の任免、事務分掌のための分課の設定、企業管理規程の制定等を通じ、企業の日常の業務を執行する権限と責任とを有するものといたしているのであります。

 第二に、以上のような企業の管理者の地位と責任の特殊性にかんがみ、管理者について就職及び在職に関する禁止條項を設けるとともに、他方その地位の保障についても考慮を拂うごとといたしております。

 第三に、日常の企業の業務の執行は、管理者の専行するところでありますが、企業の経営の基本計画に関すること等、当該地方公共団体の事務処理あるいは当該地方公共団体の住民の福祉等に至大な影響があります事項につきましては、地方公共団体の長が指揮監督権を発動し得ることとしているのであります。

 次に地方公営企業の財務関係について御説明いたします。

 企業の経理については、特別会計を設け、独立採算制を堅持し、企業の能率的な運営をはかるため、一般会計の経理方法に対する特例を相当広汎にわたつて認めることとしているのであります。

 第一に、計理の方法は、一般会計における現金主義に対し、企業会計と同様の発生主義を採用して経営成績及び財政状態を明らかにすることとし、従つて従来の官庁会計と異なり、出納整理期間を設けず、複式簿記の計理を行うこととなるのであります。

 第二に、予算につきましても、一般会計の予算様式を排除して文言形式を採用することといたし、日本国有鉄道の予算等と同じくいわゆる弾力條項を挿入いたすこととしております。

 第三に、企業の建設、改良等に要する資金に充てるための地方債については、償還期限を定めないことができるものとし、利用者である住民の出資に基く地方公営企業の発展を期待することとしております。

 第四に、企業の出納については、出納長、収入役の権限からはずして管理者の権限とするとともに、企業会計方式の採用に伴い、予算より決算に重点を置いて経営成績を検討する必要がありますので、決算は、損益計算書、貸借対照表等をもつてすることといたしております。

 以上のほか、資産の再評価をし、減価償却の計算をする等のことを規定しているのであります。

 次に地方公営企業に従事する職員の身分取扱いについてであります。

 第一に、企業の管理者及び企業職員のうち管理または監督の地位にある者、機密の事務を取扱う者、すなわち労働組合法にいう労働組合を結成し、加入し得ない者に相当する者の身分取扱いについては、原則として、地方公務員法の定めるところによるものといたしております。

 第二に、右以外の一般の企業職員の身分取扱いについては、この法律に特別の定めのあるものを除き、別途提案予定の企業職員の労働関係に関する法律案の定めるところによるものといたしております。すなわち、職階制及び給與についてこれらの基準規定を本法案に設けるとともに、地方公務員法の規定中、任用に関する部分を除く人事機関に関する規定、勤務條件に関する措置の要求及び不利益処分に関する審査の請求の規定、職員団体に関する規定等の適用は、これを排除いたすこととし、従つて、これらの職員のいわゆる狭義の労働関係については、別途今国会に提案の予定にしております地方公営企業労働関係法ともいうべき法律案の定めるところに譲ることといたしているのであります。

 最後に、この法律の施行期日は、この法律公布の日から六月を越えない範囲内で、政令で定めることといたしておりますが、これは、企業資産の再評価等この法律施行のためには、相当な準備期間が必要であろうと考えられたからであります。

 以上地方公営企業法案について、その概要を御説明いたしたのでありますが、何とぞよろしく御審議のほどを御願いいたします。これをもつて提案理由の説明といたします。

第13回国会衆議院地方行政委員会議録第19号7頁(昭和27年3月27日)〔岡野清豪地方自治庁長官発言・発言番号2〕 会議録 国会会議録検索システム

立法資料のある条文

この法律案の審議で取り上げられた条(政府答弁の件数順)

出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=101301115)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。