日本国に駐留するアメリカ合衆国軍隊の行為による特別損失の補償に関する法律案
衆議院 水産委員会
衆議院 農林委員会
参議院 農林委員会
参議院 水産・農林連合委員会
昭和28年法律第246号
審議経過
右の数字は会議の発言数衆議院水産委員会・水産委員会農林委員会連合審査会・農林委員会
提案理由
根道広吉 政府委員(調達庁長官) 昭和28年6月20日ただいま提案になりました、日本国に駐留するアメリカ合衆国軍隊の行為による特別損失の補償に関する法律案の提案理由及びその概要を御説明申し上げます。
本法伊案は、前の特別国会にこれを提案いたしまして、衆議院において可決された後、参議院において審議中のところ、衆議院の解散に伴いまして、審議未了となつたものでありますが、今回も、日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約に基いて日本国内及びその付近に配備されたアメリカ合衆国の陸軍、海軍または空軍によりまして、東京湾口及び佐世保湾口の防潜網、水中聴音器その他の水中工作物の設置または維持、あるいは芦屋の防風林のような防風施設または防砂施設の除去または損壊等が行われたことによりまして、従来適法に農業、林業、漁業その他の事業を営んでおりました者が、その事業の経営上損失をこうむつたときは、国がその損失を適正に補償する必要が現在もなおあるのでありまして、これが再度本法律案を提案する理由であります。
この法律案の内容は前に提案いたしましたものと全く同一でございまして、第一条には前述の趣旨を規定しているのでありますが、補償すべき損失の原因となるアメリカ合衆国の陸軍、海軍、空軍の行為としては、一、防潜網、その他水中工作物の設置または維持、二、防風施設または防砂施設の除去または損壊、そのほかに、三、その他政令で定める行為を掲げ、行為の種類を政令で定めることといたしております。
なお損失の補償を受けるべき事業といたしましては、農業、林業、漁業を規定しているのでありますが、それ以外の事業については、政令で定めることとしております。
この損失の補償は、漁船の操業制限法、民事特別法等の他の法律により国が損害賠償または損失補償の責に任ずべき損失については適用しないこととし、また補償する損失は通常生ずべき損失としております。
次にこの損失の補償の手続については、第二条に規定しておりまして、この損失の補償を受けようとする者は、総理府令の定めるところによつて、自己の住所の所在地を管轄する都道府県知事を経由して損失補償申請書を内閣総理大臣に提出しなければならないことといたしました。都道府県知事は、該申請書を受理したときは、当該事案に関する意見書を添えて、これを内閣総理大臣に送付し、内閣総理大臣は、補償すべき損失の有無と損失を補償すべき場合には補償の額を決定し、遅滞なくこれを都道府県知事を経由して当該申請者に通知しなければならないこととしております。
この内閣総理大臣の補償すべき損失の有無及び補償額の決定に不服のある者は前述の通知を受けた日から三十日以内に内閣総理大臣に対して異議の申立てをすることができることとし、内閣総理大臣はこの申立てのあつた日から三十日以内に、これについて決定の上申立人に通知しなければならないこととしております。
次に補償金の交付については、第四条に規定し、前述の異議の申立てがないときは、異議申立て期間満了の日から三十日以内に補償を受けるべき者に対しまして、当該補償金を交付し、異議の申立があつたときは、異議の申立てに基く決定を通知した日から三十日以内に補償を受けるべき者に対し、当該補償金を交付することとしております。
次に第五条においては、増額請求の訴えについて規定し、この法律により決定された補償金の額に不服がある者は、その決定の通知を受けた日から九十日以内に国を被告とする訴えをもつてその増額を請求することができることとしております。
次に附則第二項におきまして、この補償事務の担当庁を調達庁とするため調達庁設置法の一部を改正して、同庁不動産部の所掌事務を規定している同法第八条に第六号といたしまして、この法律の施行に関することを挿入することといたしました。さらに調達庁の付属機関たる中央調達不動産審議会が調達庁長官の諮問に応じこの法律による損失の補償についても、その基準その他の一般的事項を調査審議することができるようにするとともに、調達局の付属機関たる地方調達不動産審議会において、この法律による損失の補償についても、調達局長の諮問に応じ調査審議できるよう、同庁設置法に所要の改正を加えることとしているのであります。
以上が本法律案の概要でございますが、よろしく御審議をお願いいたします。
第16回国会衆議院水産委員会議録第3号3頁(昭和28年6月20日)〔根道広吉政府委員発言・発言番号5〕 会議録 国会会議録検索システム
附帯決議
国軍隊の行為による特別損失の補償に関する法律案に対する附帯決議右決議案を附帯決議として上程いたしますが、委員長において適当におとりはからい願いたいことを希望いたしまして、本法案に対するわが党の賛成意見を終ります。
一損失補償の申請手続はできるだけ簡素化を図ること。
一本法第一條第三項の補償の算定において「補償する損失は、通常生ずべき損失」となつており、政府の見解によれば、その通常生ずべき損失とは、平年の収入と対象行為の下における収入との差額の八〇%と算定しているが、かかる算定方法は了解しがたいところであつて実損失に対して完全に補償することとすること。
一損失補償に当つては各省間の緊密なる連絡の下にこれが損失の的確なる調査及び補償金の迅速なる交付を期し、いやしくも削減繰延べ等のないよう留意すること。この三項目の附帯決議案を動議といたしまして提出いたします。
出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=101601042)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。