所得税法の一部を改正する法律案
参議院 大蔵委員会
昭和28年法律第173号
審議経過
右の数字は会議の発言数衆議院大蔵委員会
- S28.6.23趣旨説明大蔵委員会 644
- S28.6.24質疑大蔵委員会 784
- S28.6.25質疑大蔵委員会 864
- S28.6.27質疑大蔵委員会 1097
- S28.6.30質疑大蔵委員会 11128
- S28.7.7質疑大蔵委員会 1625
- S28.7.15質疑大蔵委員会 22136
- S28.7.16質疑大蔵委員会 2390
- S28.7.18質疑大蔵委員会 2589
- S28.7.21質疑大蔵委員会 26116
- S28.7.22質疑大蔵委員会 2754
- S28.7.23質疑大蔵委員会 2887
- S28.7.24質疑大蔵委員会 2964
- S28.7.25質疑大蔵委員会 3096
- S28.7.28質疑大蔵委員会 31124
- S28.7.29質疑・修正案趣旨弁明・修正案・討論・附帯決議・採決(修正)大蔵委員会 32113
- S28.7.30修正案・委員長報告本会議 3259
- S28.8.3修正案・修正案趣旨弁明・討論・採決(修正)本会議 3581
- S28.8.10附帯決議本会議 391
参議院大蔵委員会
- S28.6.24趣旨説明・補足説明・内容説明大蔵委員会 647
- S28.6.30内容説明大蔵委員会 980
- S28.7.10公聴会大蔵委員会 1754
- S28.7.21質疑大蔵委員会 22229
- S28.7.23質疑大蔵委員会 24217
- S28.7.28質疑大蔵委員会 27163
- S28.7.30衆議院修正部分趣旨説明・質疑大蔵委員会 29178
- S28.7.31質疑大蔵委員会 3060
- S28.8.3質疑・討論・修正案趣旨説明・附帯決議・採決・修正案大蔵委員会 3143
- S28.8.6委員長報告・採決本会議 3591
提案理由
愛知揆一 政府委員(大蔵政務次官) 昭和28年6月24日只今議題となりました税法関係十件の提案の理由を御説明申上げます。
第一が所得税法の一部を改正する法律案でございます。
政府は、昭和二十八年度において税制の一般的改正を予定し、すでに酒税の税率引下げ物品税の負担調整の措置を講じたのでありますが、その他のものについては、前国会へ提出した税制改正案を原則として踏襲する所存であります。即ち、目下暫定措置として実施している所得税の軽減措置を平常化するほか、更に所得税、法人税、相続税等につき一層負担の軽減合理化を図り、国民生活の安定、資本の蓄積に資するとともに課税の簡素化に努めることとしているのであり、差当りここに関係十法律案を提出した次第であります。
第一に、所得税法の一部を改正する法律案について、その大要を申上げます。
所得税におきましては、先ず、先に臨時特例法によつて実施いたしております控除及び税率の改正を平常化することといたしました。即ち、基礎控除額を五万円から六万円に、扶養控除額を最初の一人について二万円から三万五千円に、給与所得についての控除の限度額を三万円から四万五千円に、それぞれ引上げると共に、社会保険料を所得から控除するこことし、又税率については最低税率を二〇%から一五%に引き下げております。なお、今回富裕税を廃止することに伴い、新たに課税所得金額のうち、三百万円をこえる部分について六〇先、五百万円をこえる部分について六五%の税率を設けることといたしました。
次に、資本蓄積の促進に資するために、有価証券の譲渡所得に対する課税を廃止し、又生命保険料の控除限度額を四千円から八千円に引上げることといたしております。
更に、医療費控除については、現在医療費が所得金額の一〇%を超える場合にその超える部分について十万円を限度として控除しているのでありますが、これを所得金額の五%を超える場合にその超える部分について十五万円を限度として控除することといたしております。又退職所得についての控除額も、十五万円から二十万円に引上げることとしております。
次に、青色申告者について認められている専従者控除の限度額を五万円から六万円に引上げると共に、専従者の範囲を十八歳以上の者から十五歳以上の者に拡張することといたしております。
更に、山林所得、不動産等の譲渡所得及び一時所得の負担の軽減と課税の簡素化を図ることとし、山林所得は十五万円を控除し、五分五葉の方式によつて他の所得と合算して課税し、又不動産等の譲渡所得及び一時所得は、その合計額から十五万円を控除した後の半額を他の所得と合算して課税することとしております。
これらの措置により、所得税の負担は相当軽減されるのでありまして、特に低額所得者につきましては、かなり顕著な軽減となるのであります。なお、この機会において課税の適正化を図るため、匿名組合契約等に基く利益の分配について源泉徴収を行うこととし、又企業組合その他これに準ずる法人に対する課税関係について所要の規定を設けることといたしております。
第二に、富裕税法を廃止する法律案について申上げます。
富裕税は、その実施の状況等に鑑み、負担の調整と税制の簡素化を図るため、昭和二十八年分から廃止することといたしております。
第三に、法人税法の一部を改正する法律案について申上げます。
法人税につきましては、資本蓄積の促進に資するため、企業合理化促進法及び租税特別措置法による特別償却の適用範囲の拡張及び価格変動準備金制度の改善、貸倒準備金の限度引上げ等の措置を講ずると共に、貿易の振興に資する等のため、輸出契約取消準備金制度の新設及び海外支店設置費の特別償却を認めることとしておりますが、これらの措置は近く提案を予定いたしております租税特別措置法の改正案又は関係命令の改正によつて実施することを考慮しております。而して法人税法の改正案におきましては、個人の有価証券に対する譲渡所得課税の廃止に伴い、法人の解散等の場合における剰余金に対する課税を、曽つて行なつていたように法人の清算所得課税によつて行うこととしております。更に、外国で生じた所得に法人税を課税する場合には、法人税額からその所得に課せられた外国の税額を控除することとして国際二重課税の防止を図るほか、課税の適正簡素化のため所要の改正を行うことといたしております。
第四に、相続税法の一部を改正する法律案について申上げます。現在相続税は、相続、遺贈又は贈与によつて取得した財産について、取得者の一生を通じて累積課税いたしているのでありますが、今回実行上の難点等を考慮してこれを相続税と贈与税とに分けて課税することとし、負担の一層の軽減、合理化と課税の簡素化を図ることとしたのであります。即ち、相続税は、相続及び包括遺贈によつて取得した財産についてその都度課税し、贈与税は、贈与及び特定遺贈によつて取得した財産について、一年間分を合算して課税することといたしております。
次に、基礎控除額は、相続税については従来の三十万円を五十万円に引上げ、贈与税については十万円を控除することとし、又死亡保険金及び退職金についての控除額は、それぞれ二十万円から三十万円に引上げております。
更に、税率につきましては、相続税にあつては、最高税率の七〇%は据置いておりますが、課税価格三千万円以下の税率をそれぞれ五%ずつ引下げると共に、階級区分に若干の調整を加えて負担の軽減を図ることとし、又贈与税にあつては、負担の権衡を考慮して、相続税の税率より若干高めとし、おおむね現行税率と同程度といたしております。
以上のほか、相続税の納付を容易にするため、延納の条件を緩和する等の措置を講じております。
第五に、有価証券取引税法案について申上げます。
政府は、今回有価証券の譲渡所得に対する課税を廃止することとしているのでありますが、有価証券の取引を行う者の担税力等に顧み、この機会において有価証券取引税を創設し、有価証券の譲渡があつた場合に、軽度の税率により課税することとしている次第であります。
有価証券取引税は、公社債券、株券、出資証券、証券投資信託の受益証券、貸付信託の受益証券等の有価証券の譲渡があつた場合に、その譲渡価額を課税標準とし、その譲渡者を納税義務者として課税することとしているのでありますが、短期国債及び国民貯蓄債券等の譲渡につきましては、その性質に顧みて課税しないこととしているのであります。更に、公社債券等の譲渡につきましては、その取引の現状等を考慮して、今後一年間は課税しないこととしているのであります。
次に税率は、有価証券の取引を阻害しないこと等を考慮して、公社債券及び貸付信託の受益証券については万分の七、株券、出資証券及び証券投資信託の受益証券については万分の十五とし、又有価証券の譲渡者が証券業者である場合には、その譲渡が頻繁に行われる点等を考慮して右の税率をそれぞれ万分の三及び万分の六としているのであります。なお、証券投資信託の信託財産に属する株券の譲渡については、証券投資信託の育成の見地から、今後二ケ年間を限つて、万分の六に軽減することといたしております。
次に納税につきましては、極力その簡素化に努め、証券業者が取扱う場合における税額は、証券業者が毎月分をとりまとめて納付するものとし、その他の場合における税額は、譲渡の際有価証券取引書に印紙を貼付して納付することとしているのであります。
第六に、砂糖消費税法の一部を改正する法律案について申上げます。
砂糖消費税につきましては、他の消費税との負担の権衡等を考慮して、分蜜白糖等につき税率を二割程度引上げると共に、含蜜糖について、その種別に応じて負担の調整を図る等、所要の改正を行うこととしているのであります。
第七に、登録税法の一部を改正する法律案について申上げます。
登録税につきましては、登記所等において登録税の納付に使用された印紙が偽造等不正のものであることを発見したときは、これを税務署に通報させ、これに基いて国税徴収法の規定により登録税を追徴することができることとする等の改正を行うこととしておるのであります。
第八に、揮発油税法の一部を改正する法律案について申上げます。揮発油税につきましては、酒税及び物品税等の場合と同様に、滞納税額に対して日歩四銭の利子税を徴収する等、規定の整備を図ることとしたのであります。
第九に、国税徴収法の一部を改正する法律案について申上げます。
本改正案におきましては、過誤納金の還付を促進するため、税務署所在地内の納税者に対しても、最寄の郵便局において還付を行うことができることとし、なお、延滞加算税額の計算の簡素化を図る等のため、所要の改正を行うこととしているのであります。
第十に、納税貯蓄組合法の一部を改正する法律案について申上げます。
現行制度におきましては、納税貯蓄組合の預金を納税以外の目的のために引出した場合には、その部分の利子について所得税を課税することとしているのでありますが、今回この場合においても、一定の利附期間内に引出された金額の合計額が五万円以下であるときには、その利子に対しては課税しないことに改め、納税貯蓄組合制度の普及に資することとしているのであります。
以上十法律案の大要を申上げた次第でありますが、昭和二十八年度の租税及び印紙収入の総額は七千百六十億九千七百万円でありまして、今回の税制改正による減収額は、酒税及び物品税の改正分を含め総額千二十三億六千七百万円であります。このうち所得税の減収額は、特別減税国債の購入による減収額十五億円を含め総額九百二十四億円余、富裕税の減収額は十九億円弱、法人税の減収額は、特別減税国債の購入による減収額二十九億円余を含め百十億円余、相続税の減収額は十一億円弱となつております。なお、有価証券取引税の収入額は約十三億円であります。
何とぞ御審議の上速かに賛成せられるよう切望する次第であります。
これに引続きまして只今議題となりました国際復興開発銀行等からの外資の受入に関する特別措置に関する法律案の提案の理由を御説明いたします。
外資の導入によりわが国の経済基盤の強化拡実を図ることは、政府のかれがね強調して参つたところでありまして、特に国際復興開発銀行からの外資の受入について鋭意努力を重ねて参つたのでありますが、電力設備合理化のための資金の借入について近く実現を期待し得るに至りました。この法律案は、国際復興開発銀行等からの外資の受入を促進するため、関係諸法律の特例規定を設けようとするものであります。
その内容を簡単に申し述べますと、先ず第一に、国際復興開発銀行又は外国政府金融機関から外資を受入れようとする場合には、その外資の特質に鑑み、当該貸付を受けようとする者が主務大臣の認可を受けたときは、その認可をもつて外資に関する法律の規定による認可を受けたものとみなして、国際復興開発銀行等に対する元利金等の支払の場合における外貨送金を保証するものとしたことであります。
第二に、日本開発銀行又は日本輸出入銀行が国際復興開発銀行等からの資金の借入契約に基き外貨で支払わなければならない債務について、予算の定めるところにより、政府が保証契約をすることができることといたしました。
第三に、日本開発銀行又は日本輸出入銀行が国際復興開発銀行等からの外貨資金の借入契約に基き債券を引渡す必要がある場合、その借入金額を限り債券を発行することができることといたしました。
以上がこの法律案の要点であります。
何とぞ御審議の上、速かに御賛成あらんことをお願いいたします。
第16回国会参議院大蔵委員会会議録第6号1頁(昭和28年6月24日)〔愛知揆一政府委員発言・発言番号2〕 会議録 国会会議録検索システム
附帯決議
出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=101601063)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。