外務省設置法等の一部を改正する法律案
参議院 外務委員会
昭和29年法律第11号
審議経過
右の数字は会議の発言数提案理由
小滝彬 政府委員(外務政務次官) 昭和29年3月3日外務省設置法等の一部を改正する法律案の提案理由及びその内容を説明いたします。
本案は、外務省設置法の一部改正、在外公館の名称及び位置を定める法律の一部改正、特別職の職員の給与に関する法律の一部改正及び在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部改正の四点にわかれております。
第一に、本案第一条の外務省設置法の一部改正について説明いたします。第一条の要旨は、国際連合日本政府代表部の設置及び名誉領事館に関する規定の改正の二点であります。
まず国際連合日本政府代表部設置について説明いたします。国際連合に対する協力は、政府の基本方針でございます。政府は、昭和二十七年六月、国際連合に対し正式に加盟申請をいたしましたが、今日に至るまで遺憾ながら加盟は実現しておりません。しかしながら、わが国は同年十月オブザーヴアーの地位を認められて以来、国連の各種会議に出席するとともに、国連の経済、社会分野における諸事業、すなわち国連児童基金、拡大技術援助計面等に積極的に参加しており、また、国連の専門機関には全部正式参加を認められるに至りまして、国連におけるわが国の地位は、実際上逐次確立されつつあります。政府といたしましては、昭和二十七年十月以来、在米大使館から所要の人員をニユーヨークに駐在せしめ、対国連関係事務を処理せしめて来たのでありますが、わが国の対国連関係事務がまずく増大し、かつ、わが外交上その重要性も加わつて参りまするので、在外公館の一として国際連合日本政府代表部をニユーヨークに設置することといたした次第であります。
本条におきましては、現行外務省設置法第二十二条第二項中に国際連合日本政府代表部を加え、同じく第二十四条に第四項を設け、国際連合日本政府代表部をアメリカ合衆国ニユーヨークに置く旨及び第二十五条第二項中に国際連合日本政府代表部の長は特命全権大使とする旨規定いたしました。
次に、名誉領事館に関する規定の改正について説明いたします。名誉領事制度とは、大、公使館または領事館が設置されていない土地の親日家、有力者、徳望家等の適任者に対して、領事事務の一部を委嘱し、主として通商航海に関するわが国の利益の維持増進等のための職務を行わせるものであります。
政府は、平和条約発効後、大、公使館及び領事館の設置に主眼を置いて参りましたので、いまだこの制度を活用するに至つておりません。しかるに、名誉領事任命の必要も漸次具体化して来る一方、戦前わが国の名誉領事であつた者で再任方を希望して来る者もあり、また、わが在外公館長からも候補者の推薦がありますので、政府といたしましては、昭和二十九年度から、必要な箇所に適当な人を名誉領事として任命したい所存であります。
現行外務省設置法は、名誉領事館を大、公使館及び領事館と同様在外公館の一として規定し、法律をもつて名誉領事館を設置して後、名誉領事を任命する建前をとつております。
しかるに名誉領事は外国人であり、身分上、国家公務員でも外務公務員でもありませんので、本任の領事に比しその職務は当然制限されており、従つて名誉領事の勤務する名誉領事館を領事館と同様在外公館として規定することは必ずしも必要でなく、かつ名誉領事制度の運用上はなはだ不便であります。そこで今般の改正の趣旨は、名誉領事制度の実体に即してその運用を簡便ならしめるため、名誉領事館を在外公館として法律をもつて設置せずに、名誉領事を任命し得るようにするものであります。
すなわち本条におきましては、現行外務省設置法第二十二条第二項から名誉総領事館及び名誉館事館を削除し、また同第二十五条第二項から名誉総領事及び名誉領事を削除し、新たに第六章として、第三十一条第一項に名誉総領事及び名誉領事任命の根拠を明らかにし、同第二項において職務その他について必要事項を外務大臣が定める旨規定したものであります。
第二に、本案第二条の在外公館の名称及び位置を定める法律の一部改正について説明いたします。第二条の要旨は、在外公館十二館の設置及びエジプト公使館の大使館への昇格に伴い、これら在外公館の名称及び位置を定めることであります。政府は平和条約発効後、わが国外交施策の実施に必要な箇所に在外公館を設置して参りました。本年一月末までに開設済みのものは大使館十八館、公使館二十一館、総領事館十六館、領事館十館、在外事務所一館、合計六十六館であります。このうち九館は兼轄公館であります。
政府といたしましては、特にわが国の経済外交推進の見地から、昭和二十九年度における新設公館につき慎重検討を加えました結果、在ホンデユラス、在エル・サルヴアドル、在コロンビア、在アフガニスタン、在イラク、在シリア、在レバノンの七公使館及び在シドニー、在ハンブルグの二総領事館並びに在トロント、在メダン、在レオポルドヴイルの三領事館、合計十二館を設置し、また在エジプト公使館の大使館への昇格方針を決定いたしました。
なお、右新設予定の十二館のうち、在ホンデユラス及び在エル・サルヴアドル各公使館は在メキシコ大使館に、また在アフガニスタン公使館は在イラン公使館に、それぞれ兼轄させるものでありまして、この三館につきましては、当面人員と予算を必要といたしません。
本条におきましては、在外公館の名称及び位置を定める法律、(昭和二十七年法律第八十五号)の表に、前に述べました十二館及びエジプト大使館を加え、同表中からエジプト公使館を削除いたしました。なお、本条において、同法本則中在外公館から国際連合日本政府代表部を除く旨規定しておりますが、これは、本案第一条によりまして、国際連合日本政府代表部の名称及び位置が外務省設置法に規定せられるためであります。
第三に、本案第三条の特別職の職員の給与に関する法律の一部改正について説明いたします。
大使及び公使の俸給月額は、特別職の職員の給与に関する法律、(昭和二十四年法律第二百五十二号)の別表第二の通り、一号から三号までおのおの三段階におかれておりますが、政府といたしましては、官民双方から新進気鋭の士を抜擢し、大使または公使に任命しやすくするため、大使及び公使の現行一号俸の下に、それぞれ新たに低い号俸を設けようとするものであります。
本条におきましては、特別職の職員の給与に関する法律(昭和二十四年法律第二百五十二号)、別表第二を改め、新たに大使一号体を七万二千円とし、従来の一号俸七万八千円を二号俸とし、以下順次号俸数を繰上げ、また新たに公使一号俸を六万六千円とし、従来の一号俸七万二千円を二号俸とし、同様号俸数を繰上げた次第であります。
第四に、本案第四条の在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部改正について説明いたします。
本案第一条の、国際連合日本政府代表部の設置、第二条の、在外公館十二館の設置、及びエジプト公使館の大使館への昇格に伴いまして、これらの在外公館に勤務する外務公務員に支給すべき在勤俸の額を定める必要がありますので、本条におきまして、在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律(昭和二十七年法律第九十三号)の別表に、前に述べました各在外公館に勤務する者の在勤俸の額をつけ加え、エジプト公使館に関する部分を削除いたしました。なお、これらの在勤俸の額は、既設の在外公館分について算定いたしましたのとまつたく同じ方法に基き算定いたしたものであります。
以上をもちまして、本案本文についての説明を終ります。
なお、本案附則におきまして、本案の施行期日を四月一日といたしておりますが、在コロンビア、在アフガニスタン及び在イラク各公使館に関する部分につきましては、国交回復後、政令で定める日から施行するよう措置いたしました。
以上をもちまして外務省設置法等の一部を改正する法律案の提案理由並びにその内容の説明を終ります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御採択あらんことをお願いいたします。
第19回国会衆議院外務委員会議録第12号3頁(昭和29年3月3日)〔小滝彬政府委員発言・発言番号2〕 会議録 国会会議録検索システム
出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=101901062)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。