利息制限法案
参議院 法務委員会
昭和29年法律第100号
審議経過
右の数字は会議の発言数衆議院法務委員会
提案理由
三浦寅之助 政府委員(法務政務次官) 昭和29年3月22日利息制限法案について提案の理由を説明いたします。
現行の利息制限法は、明治十年の公布にかかり、その後明治三十一年及び大正八年の二回にわたり改正され、今日に至つているものでありますが、この間におきましてわが国の経済情勢は著しく変遷し、ことに戦後においてはその旧態を一変したのでありまして、その結果、利息制限法は、今日の国民経済生活に適合しないものとなつたのであります。そこで、政府は、現下の経済情勢にかんがみ、金融機関一般の金利の実情及び動向を参酌いたしまして、新時代の国民経済生活に適合するように利息の限度を改め、その他これに関連する規定を新たにするため、現行利息制限法を廃止し、これにかえて新たな利息制限法を制定するのを適当と考えまして、この法律案を立案したのであります。
この法律案の要点は、次に述べる四点であります。
先づ、第一は、金銭を目的とする消費貸借上の利息の最高限を改めたことであります。
現行法におきましては、大正八年の改正以来金銭消費貸借上の利息は、元金百円未満は年一割五分、元金百円以上千円未満は年一割二分、元金千円以上は年一割をもつて制限され、この限度を越えては裁判上請求できないことになつておりますが、この制限は今日の経済生活の実情に適しないものでありますので、元本十万円未満の場合には年二割、元本十万円以上百万円未満の場合には年一割八分、元本百万円以上の場合には、年一割五分をもつて制限することにいたしたのであります。
改正の第二は、利息を天引した場合に関し新たに規定を設けたことであります。
従来、利息制限法の制限を越える利息を天引した場合の効果につきましては、利息制限法の適用上疑義心あつたのでありますが、この際この疑義を一掃するため、天引額のうち、債務者の受領額を元本として正規の利率により計算した金額を越える部分は、元本の支払いに充てたものとみなすことといたしました。
改正の第三は、金銭消費貸借に関し債権者が受けた元本以外の金銭は、原則として利息とみなしたことであります。
巷間往々にして金銭消費貸借に関し、貸主が元利金のほかに、礼金、割引金、手数料、調査料等の名義で金銭を徴するものがあるのでありますが、これらの金銭は、一面におきまして、実質上利息とみられる点があり、他面、このような名義で、多額の金銭を徴し、利息の制限を潜脱する手段ともなつているのであります。従つて契約締結の費用とか弁済の費用とか、利息に該当しないことの明かな費用は別とし、債権者が消費貸借に関し債務者から受けた元本以外の金銭は、利息とみなすこととしたのであります。
改正の第四は、金銭消費貸借上の債務の不履行による賠償額の予定についての制限を設け、違約金の定めについてはこれを賠償額の予定とみなしたことであります。
金銭消費貸借上の債務の不履行による賠償額の予定及び違約金の定めについては、現行法におきましては、その額が債権者の事実受けた損害に比し不当であると裁判所が思料したときに、相当の減額をすることができることとなつており、これは商事には適用されないことになつているのでありますが、賠償額の予定または違約金に名をかりて利息の制限を免れることが容易に行われる弊害があり、債務者の保護に欠けるところがありますので、これをも制限するこことしたのであります。
以上がこの法律案の提案理由の大要であります。何とぞよろしく御審議のほどをお願いいたします。
第19回国会衆議院法務委員会議録第24号1頁(昭和29年3月22日)〔三浦寅之助政府委員発言・発言番号2〕 会議録 国会会議録検索システム
出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=101901106)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。