金融機関再建整備法の一部を改正する法律案
衆議院 大蔵委員会
昭和29年法律第106号
審議経過
右の数字は会議の発言数提案理由
河野通一 政府委員(大蔵事務官(銀行局長)) 昭和29年3月24日まず金融機関再建整備法の一部を改正する法律案について御説明いたします。
戦後金融機関は、金融機関経理応急措置法、及び金融機関再建整備法に基いて、その旧勘定に属する資産及び負債の整理を行うこととなり、昭和二十三年、その大多数は、資本及び第二封鎖預金等の切捨てを行い、さらに相当数のものは政府の補償を受けることにより、旧勘定の最終処理を完了したのでありますが、その際、これらの金融機関は、旧勘定の整理に伴う事後調整のために新たに調整勘定を設け、前に旧勘定に属した資産負債の処分その他によつて生じた損益を、この勘定で経理することと相なりました。その後、この調整勘定の利益金は、予想以上に蓄積され、相当数の金融機関は、右利益金を政府補償の返済、旧預金者に対する分配等に充てて来たのでありますが、この際、右調整勘定の処理を一層促進するとともに、当初金融機関の再建整備にあたり、その対象からはずされた在外店舗にかかる資産及び負債についても、可能な限りすみやかにその処理を促進するため、今般金融機関再建整備法の改正を行うごととした次第であります。
次にこの法律案のおもな内容につきまして、その概要を御説明申し上げます。
まず第一に、金融機関は、前に旧勘定に属した資産につき再評価を行つた後にこれを処分したときは、その処分益に新たに再評価差額をも含めてこれを調整勘定で経理することとし、この場合には再評価積立金をとりくずさなければならないことといたしました。
第二に、金融機関は、前に旧勘定に属した資産及び負債についてその整理の促進をはかるため、新たに確定評価基準を設け得ることとし、これによる評価を行つた場合にも調整勘定を閉鎖することができるものといたしました。
第三に、金融機関は、その調整勘定を閉鎖する際、同勘定に利益金の残額があるときは、確定損を負担した株主に対し、その負担額及び利息に相当する金額を分配することができることといたしました。但し、在外店舗を有した金融機関につきましては、この部分は後に申し上げます在外資産負債処理勘定にまず繰入れて、在外負債の支払い財源に充て、さらにこの在外勘定を閉鎖する際、同勘定に資産の浅額があるときは、旧株主へ分配するということにいたしました。
第四に、金融機関の在外資産負債につきまして、さきに在外財産問題調査会が内閣総理大臣あて提出いたしました答申の趣旨にのつとり、いわゆる未払い送金為替や、在外預金の支払いの道を開くことといたしました。
すなわち金融機関は新たに在外資産負債処理勘定を設けまして、当該金融機関への帰属が確定した在外資産、調整勘定利益金の残額等を同勘定の資産の部に計上し、これら資産の範囲内で、その金融機関が本邦内に住所を有する者、閉鎖機関または在外会社に対して負つている未払い送金為替及び外地預金等の在外債務を支払うことといたしました。しかしながら当面この在外資産負債処理勘定の資産の部に計上されるものは、一、二の銀行を除いてはきわめて僅少にとどまると存ぜられますので、特に未払い送金為替につきまして、一件の金額五万円までの部分は優先的にこれを支払うこととし、その不足する支払、資金を調整勘定から借り入れることができることといたしました。なお以上未払い送金為替、外地預金等の債務または債権のうち、現地通貨建ないし外貨建のものについては、その額の本邦通貨への換算につきまして別表の規定を設けました。
以上要するに今回の改正は、営業を続けながら整理を進めるという金融機関再建整備法の立法の趣旨を尊重しつつ、できるだけ関係者間の利害の調整をはかろうとするものであります。従つて在外資産負債の関係で調整勘定利益金の分配を今日まで認めなかつた銀行につきましても、ただいま申し述べました諸措置と並行して、旧預金者に対する分配を認める方向で考えております。
第19回国会衆議院大蔵委員会議録第27号7頁(昭和29年3月24日)〔河野通一政府委員発言・発言番号2〕 会議録 国会会議録検索システム
出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=101901108)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。