日本国における国際連合の軍隊の地位に関する協定の実施に伴う刑事特別法案
参議院 法務委員会
昭和29年法律第151号
審議経過
右の数字は会議の発言数提案理由
三浦寅之助 政府委員(法務政務次官) 昭和29年4月13日ただいま議題となりました日本国における国際連合の軍隊の地位に関する協定の実施に伴う刑事特別法案につき提案の理由を御説明申し上げます。
本法案は、去る二月十九日署名されました日本国における国際連合の軍隊の地位に関する協定の実施に伴う国内手続についての規定を定めたものであります。
日本国に駐留する国際連合の軍隊に対する刑事裁判権の行使につきましては、すでに昨年十二月二十六日署名された日本国における国際連合の軍隊に対する刑事裁判権の行使に関する議定書の発効に伴い、その国内手続につき日本国における国際連合の軍隊に対する刑事裁判権の行使に関する議定書の実施に伴う刑事特別法が公布施行されているところでありますが、今回締結されました右の協定は、その第十六条におきまして右議定書とまつたく同様の規定を設けており、日本国との間にこの協定の効力が発生した国に属する国際連合の軍隊に対する刑事裁判権の行使につきましては、爾後この協定によつて規律されることになつているのであります。そこでこの協定の発効に伴いまして、一九五〇年六月二十五日、六月二十七日及び七月七日の国際連合安全保障理事会決議並びに一九五一年二月一日の国際連合総会決議に従つて朝鮮に軍隊を派遣したアメリカ合衆国以外の国で、日本国との間にこの協定の効力が発生した国が右の諸決議に従つて朝鮮に派遣した陸軍、海軍及び空軍の日本国にある間におけるものに関しましては、右協定の趣旨にのつとり、刑事上の手続法につきまして若干の特別規定を設ける必要が生じましたため、この法律案を提出することにいたしたものであります。
申すまでもなく、これらの軍隊の構成員、軍属または家族に対しましても、わが国既存の法令は、原則としてその適用を見るのでありますが、右協定の刑事裁判権に関する条項によりまして刑事手続関係の法令につきましては若干の特別措置を必要といたしますので、その必要最小限度の規定をこの法律案に、取入れた次第であります。従いまして、この法律案に特別に規定していない事項につきましては、原則として既存の各法令が適用されることと相なるわけであります。
この法律案は第一章総則、第二章刑事手続の一章十二箇条と附則からなつて奉るのでありますが、ここにこの法律案の主要点を申し上げます。
まず、第一章総則の章は、一箇条でありましてこの法律において使用する語の定義を定めたのであります。この定義は、日本国における国際連合の軍隊の地位に関する協定第一条に定められている定義にのつとつたものであります。
次に、第二章刑事手続の章は十一箇条よりなり、国際連合の軍隊の構成員または軍属が国際連合の軍当局において裁判権を行使する第一次の権利を有する罪を犯した場合における同軍隊への身柄の引渡し、国際連合の軍隊がその権限に基いて警備している国際連合の軍隊の使用する施設内における施設内における逮捕その他人身を拘束する処分及び差押え、捜索等の処分の執行、同施設内等において逮捕された者に対する日本側の受領手続、派遣国の軍事裁判所または国際連合の軍隊の当局の刑事手続に対するわが国の当局側の協力及び派遣国の軍事裁判所または国際連合の軍隊による抑留または拘禁についての刑事、補償法の適用等いずれも刑事手続に関する現行の法令をもつてしては処置し得ない問題を取上げて特別の規定を置いたものであります。これを要するに、日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定に伴う刑事特別法及び日本国における国際連合の軍隊に対する刑事裁判権の行使に関する議定書の実施に伴う刑事特別法の場合とほとんど同趣旨の刑事手続を規定したものであります。
以上この法律案につきまして概略御説明申し上げたのでありますが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いいたす次第であります。
第19回国会衆議院法務委員会議録第38号2頁(昭和29年4月13日)〔三浦寅之助政府委員発言・発言番号2〕 会議録 国会会議録検索システム
出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=101901141)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。