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国会審議›第22回国会›閣法第72号
閣法第22回国会 第72号成立修正あり

けい肺及び外傷性せき髄障害に関する特別保護法案

昭和30年法律第91号 けい肺及び外傷性せき髄障害に関する特別保護法
提出昭和30年5月23日 内閣
付託衆議院 社会労働委員会
参議院 社会労働委員会
衆議院 社会労働委員会公聴会
成立
昭和30年法律第91号
審議会議 13回・発言 1,000(政府答弁等 342)

審議経過

右の数字は会議の発言数

衆議院社会労働委員会・社会労働委員会公聴会

  1. S30.5.24趣旨説明社会労働委員会 12112
  2. S30.6.3質疑社会労働委員会 1864
  3. S30.6.7質疑社会労働委員会 19209
  4. S30.6.8質疑社会労働委員会 2060
  5. S30.6.9公聴会社会労働委員会公聴会 1154
  6. S30.6.10公聴会社会労働委員会公聴会 243
  7. S30.6.22質疑社会労働委員会 26145
  8. S30.6.29修正案趣旨説明・討論・附帯決議・採決(修正)社会労働委員会 3153
  9. S30.7.1修正案・採決(修正)・委員長報告本会議 3616
  10. S30.11.1附帯決議本会議 1

参議院社会労働委員会

  1. S30.7.12趣旨説明社会労働委員会 2598
  2. S30.7.25質疑社会労働委員会 31105
  3. S30.7.26質疑・討論・採決社会労働委員会 3297
  4. S30.7.27採決・委員長報告本会議 4176

提案理由

高瀬傳 政府委員(労働政務次官) 昭和30年5月24日

ただいま議題となりましたけい肺及び外傷性せき髄障害に関する特別保護法案につきまして、その提案理由を御説明申し上げます。わが国における業務上の疾病の予防とその疾病にかかった者に対する補償につきましては、労働基準法及び労働者災害補償保険法において、これを保障しているところであります。しかしながらこれら労働立法において保障せられております業務上疾病のうち、けい肺につきましては、他の業務上の疾病に比し、きわめて重篤な疾病でありまして、金属鉱山等遊離けい酸粉塵を発散する場所で労働する者が、この粉塵を吸入するため、肺に特殊の結節を生じ、このため呼吸が困難となり、結局死に至る不治の病気でありまして、その病状はまことに悲惨なものであります。また外傷性脊髄障害につきましては、鉱山における落盤、高所よりの墜落などにより脊性髄を損傷し、ために神経系統の麻痺を来たす病気でありまして、これまたけい肺と同様に不治で、その症状のはなはだ悲惨なものであります。

 このように、これら二つの特殊の業務上の疾病は、労働者が職場において罹患し、ついに回復することのできないままに死に至るものでありまして、先年までは一般の認識が薄く、また治療と予防の対策のないままに放置され来たったものであります。しかるところ、終戦後これに関する関係方面の関心が急速に高まり、政府といたしましても、これら特殊の業務上の疾病については、一般の業務上の疾病に対する対策のほかに、特別の保護を与えて患者の生活の安定をはかることが緊要であると存じ、人道的見地に立って愛情ある保護の手を差し伸べるべく、さしあたりその前提として、昭和二十三年以来けい肺罹患の実態把握のため、けい肺巡回健康診断を行い、また労災病院の一環として、けい肺専門病院を設置いたしますとともに、けい肺試験室を設けその予防と治療について研究してきたところであります。さらに昭和二十四年には、労使及び学識経験者からなるけい肺対策審議会を労働省に設置し、けい肺全般についてその対策と樹立と行政的保護措置の推進に努めて参ったのであります。

 また一方、民間におきましても、金属鉱山関係を初め、この病気に関係のある方面におきましては、早くからけい肺の治療と予防とが大いに問題となって、人道的社会問題としてその重要性を認識されて参り、国会におきましても、御承知の通り、いろいろと論議のあったところであります。政府は、これら諸般の情勢を勘案し、けい肺対策審議会に具体的結論を得られるよう要請しておりましたところ、昨年十月審議会から政府に対し、一部につき労使の意見対立を包含した中間報告が行われたのであります。しかし、政府としては、事態を延々と放置すべきにあらずと認め、審議会の中間報告その他を勘案し、諸般の資料に基き法案の作成を急いでおりましたところ、本年四月に至り法案要綱の決定を見るに至りました。よってけい肺対策審議会及び社会保障制度審議会に法案要綱につき諮問いたしましたところ、これについて両審議会としてはいろいろ議論はありますが、今日の段階において、これにより立法手続をとることを全員が了承いたし、その旨の答申を受けたのであります。よって政府は、けい肺及び外傷性脊髄障害に関する特別保護法案を策定し、ここに提案の運びとなった次第でございます。

 次にこの法案の概要について申し上げます。

 第一に、この法律施行後、まず政府がみずから関係労働者についてけい肺健康診断を行い、症状の厳正適確な把握と給付の確実性を期することをいたしております。次いで使用者は関係労働者を新規に雇い入れる時と、原則として三年に一回、けい肺健康診断を行わせることといたしております。

 第二に、けい肺健康診断の結果については、使用者からその資料を都道府県労働基準局長に提出いたしまして、けい肺審査医の診断または審査により、けい肺の症状を決定するのでありますが、これはけい肺症状の決定が一般には困難であるためと、症状の決定により、この法律上の効果として作業の転換の勧告が行われ、また転換給付、療養給付、休業給付が支給されることとなりますので、公けの立場において公正に適確に症状の決定をいたすこととしたのであります。

 第三に、けい肺健康診断の結果、けい肺の症状が進行して第三症度または特別に早く第二症度にかかった者に対しましては、都道府県労働基準局長が作業の転換を勧告して、療養を要する段階に至らぬよう、病勢の進行を及ぶ限り防止する措置を講ずることとし、この勧告に従って作業を転換した労働者には、通常、賃金が不利となるのであろうことにかんがみ、一カ月分の賃金相当額を転換給付として支給することといたしております。

 第四に、作業の転換が企業間において行われがたく、ためにやむを得ず離職した労働者に対しましては、政府は職業紹介、職業補導等について、できるだけ適切な措置を講ずるよう努力いたしますとともに、他面、さらに進んでこれら離職した労働者のために、就労のための適当な施設を政府において設置、経営して、その生活の安定をはかるよう努力いたすこととしております。

 第五に、けい肺第四症度、すなわち休業して療養を要する段階に至った労働者につきましては、現在労働基準法または労働者災害補償保険法で三年間の休業補償と療養補償とを事業主の全額負担において行なっておるのでありますが、この法律により、さらに引き続いて政府が二カ年の休業給付と療養給付とをすることとしております。外傷性脊髄障害にかかった者についても、これと同様の給付をいたすこととなっております。

 第六に、転換給付、療養給付及び休業給付に要する費用につきましては、その三分の一は国庫が、その三分の二は使用者が負担することといたしまして、使用者の負担金の徴収につきましては、原則として労災保険の保険料の徴収に準じて政府が徴収することにいたしております。

 第七に、この法律の施行に万全を期するために、新たに中央、地方を通じ、けい肺診査医を置きまして、けい肺健康診断等について公正を期しますとともに、労働省にけい肺審議会を設置し、けい肺に関する重要事項を調査審議することとし、法施行に遺憾なきを期しております。

 なお、この法案におきましては、休業給付、療養給付等の諸給付につきまして、労働者の生活に不安なからしめるため、公租公課の賦課、差し押え等を禁止し、あわせて不服申し立ての道を開くことにより一段とその保護を厚くいたしております。

 以上がこの法案提案に至る理由と経過及びその概略の内容でありますが、不治で悲惨な症状を呈するけい肺と外傷性脊髄障害にかかった労働者に対して、一日も早く現状に即し、できるだけの特別の保護を加えたく念願する次第であります。

 何とぞ、御審議の上すみやかに可決せられんことをお願い申し上げます。

第22回国会衆議院社会労働委員会議録第12号10頁(昭和30年5月24日)〔高瀬傳政府委員発言・発言番号2〕 会議録 国会会議録検索システム

附帯決議

衆議院 社会労働委員会昭和30年6月29日

本法施行に伴い、引き続きその保護の万全を期するため、政府は特に次の諸点の早期実現に努力せられんことを望む。

一法第十条所定の転換給付については、速かにその増額措置を講ずること。

二法第三十八条所定の就労施設設置のため、その予算措置を講ずること。

三本法と関連し労働基準法第十二条所定の平均賃金について、そのスライド制の実施措置を講ずること。

四船員法適用の労働者に対しても本法の趣旨に副うような措置をとること。以上の附帯決議を各党全員賛成の上、御可決あらんことを望みます。

出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=102201072)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。