地方税法の一部を改正する法律案
参議院 地方行政委員会
衆議院 建設委員会
昭和31年法律第81号
審議経過
右の数字は会議の発言数衆議院地方行政委員会・地方行政委員会運輸委員会建設委員会連合審査会・建設委員会
- S31.2.22趣旨説明地方行政委員会 1013
- S31.2.24質疑地方行政委員会 1254
- S31.2.25質疑地方行政委員会 1380
- S31.2.27質疑地方行政委員会 14169
- S31.3.1参考人招致地方行政委員会 16104
- S31.3.5質疑地方行政委員会 1761
- S31.3.6質疑地方行政委員会 18103
- S31.3.7質疑地方行政委員会運輸委員会建設委員会連合審査会 1143
- S31.3.8質疑地方行政委員会運輸委員会建設委員会連合審査会 263
- S31.3.13質疑地方行政委員会 2182
- S31.3.16質疑地方行政委員会 2441
- S31.3.16申入建設委員会 1717
- S31.3.22申入地方行政委員会 259
- S31.3.30質疑地方行政委員会 2849
- S31.4.3質疑地方行政委員会 29161
- S31.4.4質疑地方行政委員会 30276
- S31.4.5質疑地方行政委員会 31207
- S31.4.6質疑・修正案・修正案趣旨説明・討論・採決・附帯決議地方行政委員会 32265
- S31.4.10委員長報告・修正案趣旨説明・討論・採決・修正案本会議 3243
- S31.6.3附帯決議本会議 1
参議院地方行政委員会・地方行政・運輸委員会連合審査会
- S31.2.28趣旨説明地方行政委員会 685
- S31.3.23補足説明地方行政委員会 1359
- S31.4.6参考人招致地方行政委員会 18114
- S31.4.10質疑地方行政・運輸委員会連合審査会 197
- S31.4.12質疑地方行政委員会 19178
- S31.4.13質疑地方行政委員会 20112
- S31.4.16質疑地方行政委員会 22137
- S31.4.17質疑地方行政委員会 2334
- S31.4.19質疑地方行政委員会 24165
- S31.4.20質疑地方行政委員会 2581
- S31.4.23委員長報告・採決本会議 3924
- S31.4.23討論・附帯決議・採決地方行政委員会 2616
- S31.6.3附帯決議本会議 1
提案理由
太田正孝 自治庁長官 昭和31年2月22日ただいま議題に供されました地方税法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び内容の概略を御説明申し上げます。
政府は、明年度において地方財政の再建並びにその健全化をはかることを重要施策の一つといたしているのでありますが、この方針のもとに、あとう限り自主財源の充実等を期すべく、地方税制の面におきましても、鋭意検討を加えて参りましたところ、昨年十二月地方制度調査会及び臨時税制調査会から明年度地方財政に関連して地方税制改正についての答申がありましたので、その趣旨をも尊重いたしまして今回の地方税制の改正を企図いたした次第であります。
その改正の方針といたしますところは、第一に、非課税範囲を縮小し、租税負担の均衡化をはかりながら増収を期待することであります。きわめて特別の場合を除けば、一部の人または物等について非課税を認めることは税制上極力避けるべきであり、特に地方税の場合においてしかりでありまして、この意味におきまして、今回は、地方における自主財源充実の観点から大幅な増収を期待し得るものについて非課税範囲の縮小をはかったのであります。すなわち、従来固定資産税を課されていなかった国及び地方団体の所有する固定資産のうち国及び地方団体以外の者が使用しているもの、国有林野の土地、地方団体の所有する発電施設、日本専売公社、日本国有鉄道及び日本電信電話公社が直接その本来の事業の用に供する固定資産等に対して固定資産税相当額の負担を求めることといたしたのでありますが、これら固定資産の所有者が、国、地方団体等であることにかんがみ、特に固定資産税相当額の交付金または納付金を固定資産所在の市町村に交付しまたは納付するようにいたし、この制度につきましては、別途国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律案として御審議をお願いすることにいたしております。なお、このほか、地方税法自体におきましても、同様の趣旨により日本放送協会及び日本中央競馬会の所有する固定資産に対する非課税制度を廃止することといたしたのであります。
方針の第二は、受益者負担の制度を拡張し、施設充実に要する財源を確保することであります。国民の租税負担が一応限界に達しているとされている現在におきまして、さらに施設充実に要する財源を確保するのには、その充実した施設によって受益する者に負担を求めることはやむを得ないことであり、反面その財源は関係の事業に充てることとすることが適当であると考えられますので、この趣旨のもとに目的税制度を拡充しようとするものであります。その一は、道府県税としての軽油引取税、その二は市町村税としての都市計画税の創設であります。
方針の第三は、税務行政の規律を明確化することであります。税務行政の規律を明確にすることによって納税者の納得を得ることができ、またその取扱いに公正が期せられるのでありまして、このことは、納税秩序を確立するための基本的な条件であると考えられます。今回、不動産取得税における住宅の定義、遊興飲食税における徴収猶予の制度、自動車税における課税方式等について改正いたそうとしておりますのは、いずれもこの趣旨に基くものであります。
方針の第四は、財源調整の機能を強化するための措置をとることであります。このたびの改正によりましてかたり大幅に自主財源の増強をはかっているのでありますが、なお自主財源の不十分な地方団体に対しましては、別に提案いたしました入場譲与税法の一部を改正する法律案によりまして入場譲与税制度の持つ財源調整の機能をさらに強化し、そこから得られる財源を振り向けることとするのもやむを得ないものといたしているのであります。
以上の方針による改正のうち地方税法に関するものの内容の概略を御説明申し上げます。
第一は、総則に関する事項といたしまして、現在個人の道府県民税は原則として市町村が市町村民税とあわせて賦課徴収することとなっているのでありますが、市町村が徴収した道府県民税が過誤納となった場合、納税者及び市町村の双方の便宜をはかり他の市町村税の場合と同じくこれをその納税者の未納の市町村税に充当することができることとするものであります。特定の場合に道府県が個人の道府県民税と市町村民税をあわせて徴収した場合における事例についても同様に取り扱うことといたしております。
第二は、道府県民税及び市町村民税に関する事項といたしまして、その地方団体内に事務所、事業所を有しないが、寮、クラブ等を有する場合に均等割を課することができることといたしたのであります。これによる増収額は三百万円程度であります。また給与所得者のうち年金受給者のごとく特別徴収によることが著しく困難であると認められる事情がある者に対しては、普通徴収の方法によることができることとしたのであります。
第三は、不動産取得税に関する事項といたしまして、住宅の定義を「人の居住の用に供する家屋または家屋のうち人の居住の用に供する部分」と改めることであります。これによって併用住宅を建築した場合は常にその住宅部分について百万円の基礎控除の特典が認められることとなるのであります。
第四は、娯楽施設利用税に関するものでありますが、学生、生徒等のスケート場の利用に対しましてほすべて非課税とすることとしたのであります。これは学校によってはスケートを正科としているところもありまして、学生については、スケートを娯楽の見地から律するよりも、スポーツの見地から律する方が適当であると考えられるからであります。これによる減収額は三千八百万円程度であります。またパチンコ場等に対する本税の徴収方法について従来の申告納付のほかに道府県の選択により普通徴収の方法によることができるものとしたのであります。
第五は、遊興飲食税に関するものであります。従来遊興飲食税の徴収については発生主義の立場から行為の行われた月の翌月に、その行為にかかる税額をすべて納入することになっていたのでありますが、昨年十一月公給領収証制度の実施に伴って特別徴収義務者は遊興飲食等の行為のあったときに、料金及び税額を受け取るといなとにかかわりなく、すべて領収証又は領収証となるべきものを作成することとなりましたので、料金が売掛になっているかあるいは現実に収入になっているかは領収証制度を忠実に履行している限りは明確になっておりますので、その種のものについては売掛部分について三カ月以内の徴収猶予をすることができることとし、この部分については延滞金を免除するものとしたのであります。また、貸し倒れとなった場合等にはすでに遊興飲食税を立てかえて納入しているときは還付し、いまだ納入されていないときは、納入の義務を免除することとしております。
第六は自動車税に関する改正であります。その一は、従来揮発油には揮発油税及び地方道路税が課せられておりますのに軽油にはそれがなかったので、その間の負担の均衡を保つため軽油自動車に対する税率を揮発油自動車のそれの五割増しに定めていたのでありますが、今回軽油引取税が創設されることとなりましたので、この税率区分を廃止し軽油自動車に対する税率を揮発油自動車に対する税率まで引き下げることといたしたのであります。これによる減収額は昭和三十一年度二億九千七百万円の見込みであります。その二は、自動車の所有者が変った場合、都道府県間に異動があった場合等における従来の取扱いを改めまして、すべて月割をもってそれぞれ課税することとしたのであります。さらに、年の中途で自家用車から営業用に変更になったこと等によりその適用税率が異なることとなった場合も、それぞれの月割額の合算額で課税することとしたのであります。その三は、所有権留保付売買があった場合は、実際の使用者である買主に対して課税することができることとしたのであります。最近自動車の月割販売が相当行われているのでありますが、一旬の租税公課は買主が負担する契約をしているにもかかわらず、現行法では販売会社に課税しなければならないこととなり、実際の納税上種々の不便があったのを是正しようとするものであります。
第七は、固定資産税に関するものであります。日本放送協会及び日本中央競馬会の所有する全固定資産を非課税の範囲から除くこととし、特に日本放送協会が所有する固定資産で直接その本来の事業の用に供するものに対しては、その公共性にかんがみ課税標準は価格の二分の一、昭和三十一年度においては、激変を避けるため四分の一といたしています。この改正による増収額は昭和三十一年度八千百万円、平年度九千五百万円の見込みであります。
第八は、電気ガス税に関するものでありますが、日本国有鉄道が直接一般交通のための旅客または貨物の運送の用に供する電気に対しては、電気ガス税を課さないこととし、一般の地方鉄軌道事業者におけると同様の取扱いといたすのでありまして、これによる減収額は、昭和三十一年度四億円程度であります。
第九は目的税として軽油引取税を創設しようとすることであります。軽油引取税は、すべての都道府県が課税するものとし、特約業者からの小売人または消費者の軽油の引き取りを課税客体とし、納税義務者はその引き取りを行う者としたのでありますが、徴収は特別徴収の方法によることとして、特約業者を特別徴収義務者とし、毎月引き渡した軽油の容量を課税標準とし、営業所所在の道府県にその翌月の十五日までに申告納入することとしております。なお代金決済の実態に照し、揮発油税の徴収と同じく担保を提供した場合は、二月を限って徴収猶予を認めることとしております。税率は、一キロリットルにつき六千円であり、揮発油に対する揮発油税及び地方道路税の合計額一キロリットルにつき一万三千円の約半額であります。本税は、目的税であることから、道路との関連の有無、免税手続の難易等を勘案して免税の範囲を定めております。すなわち、船舶の主たる推進機関の動力源に供するもの、国が設置管理する航路標識の光源に供するもの、鉄道車両または軌道車両の主たる推進機関の動力源に供するものその他これに類するもの、陶磁器の製造工程における焼成用に供するものその他政令で定める事業を営む者が政令で定める用途に供するもの、農業及び林業用の機械のうち政令で定めるものの動力源に供するもの、輸出するもの等については免税措置を講じております。本税の税収入は、その徴収に要した費用に充てた残額は、すべて地方道路譲与税の場合と同様に道路に関する費用に充てるものとされるのであります。なお、五大市の長がその区域内の国道及び府県道の管理責任者とされておりますので、区大市所在の府県は、その徴収した軽油引取税を道路の面積を基準として五大市に交付することとし、五大市はその交付された額を道路に関する費用に充てなければならないこととしております。本税の収入額は、昭和三十一年度二十四億五千四百万円、平年度三十七億九千六百万円の見込みであります。
第十は、同様に目的税として都市計画税を設けようとすることであります。市町村は、都市計画事業に要する財源に充てるため、都市計画税を課することができるものとしていますので、課するかいなかは市町村の任意であります。この税は、都市計画区域として決定された区域の全部または一部の区域で市町村の条例で定めるもののうちに所在する土地及び家屋に対して課することとし、課税標準は固定資産税の場合と同様その土地及び家屋の価格とし、税率は百分の〇・二をこえることができないことといたしております。徴収については、固定資産税とあわせて行うこととにより手続の煩雑化を来たさないよう配慮いたしております。目的税でありますので、収入は全部都市計画事業または土地区画整理事業に要する費用に充てなければならないものとしております。税収入額は昭和三十一年度三十億三千九百万円、平年度三十四億三千七百万円と見込んでおります。
以上のほかなお次のような点についての改正をいたしております。
その一は、自動車損害賠償責任保険にかかわる収入金額を正味収入保険料の百分の十とすることであります。同保険が強制保険であることと、その付加保険料の割合が低いことにかんがみて、現在の百分の三十五を引き下げようとするものでありまして、これによる減収額は七百万円程度であります。
その二は、外航船舶を運航する法人の事業税の課税標準である所得の算定について特例措置を定めることであります。御承知のように海運業に対しましては、収入金額を課税標準として課税しておりましたのを、昭和二十九年四月一日以後所得を課税標準とし、その所得の計算は法人税の計算の例によって算定することに改めたものでありますが、その際、法人税の所得の計算上損金とすることを認められる減価償却額のうち、いまだ損金経理の行われていないいわゆる減価償却不足額の莫大なるものをかかえており、それは、所得を課税標準とすることになっても、事業税においては当然にただちには損金として繰り越されないため、自来法人税と事業税との間に所得の計算が異なることとなったのであります。このこと自体はただに税務行政上その所得計算を二重にしなければならないばかりでなく、そもそも海運業のわが国経済に占める特殊な地位にかんがみ、国策として海運業を助長している際でもありますので、法人税における場合と同様の取扱いをすることによって、所得課税に切りかえた時期における減価償却不足額の損金としての繰り越しを認めることとし、また欠損金の取扱いについても減価償却不足額の取扱いとの均衡をとるため、同様に法人税について認められる損金としての繰り越しは認めることとして、税額算定の簡易化をはかることにいたしたいと考えます。
その三は、国民健康保険税につきまして、被保険者一人当りの保険税額や療養給付費の増大に伴い、課税限度額を現行の三万円から五万円に引き上げることであります。
その四は、軽油引取税及び都市計画税の創設に伴い、日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定の実施に伴う地方税法の臨時特例に関する法律の一部を改正して、軽油引取税にあっては合衆国軍隊及び国際連合の軍隊等が軍隊等の用に供する軽油の引取、都市計画税にあっては軍隊等の所有するものに対しては課税しないこととしております。
以上御説明申し上げました地方税法の改正案による昭和三十一年度の増収見込額は、入場譲与税、国有資産等所在市町村交付金及び納付金を含めて百二十億三千九百万円、平年度百八十三億八千四百万円の見込みであります。
以上をもって今回提案いたしました地方税法の一部を改正する法律案の提案理由及び内容の概略の説明を終ることといたします。
何とぞ慎重御審議の上、すみやかに本法律案の成立を見ますようお願いいたす次第であります。
第24回国会衆議院地方行政委員会議録第10号14頁(昭和31年2月22日)〔太田正孝自治庁長官発言・発言番号2〕 会議録 国会会議録検索システム
立法資料のある条文
この法律案の審議で取り上げられた条(政府答弁の件数順)附帯決議
政府は、左記事項の趣旨に従い、次の国会において改正法案を提出せられたい。記
一主として自家労働を以て営む大工、左官、板金、植木業及び公衆浴場業に対する事業税については、その負担の軽減を図ること。
二地方鉄道事業及び軌道事業に対する事業税の課税標準の改正、信用金庫のうち基礎の確立しないものに対する事業税の負担の緩和を図ること。
三一般人のスケート場の利用に対する娯楽施設利用税を廃止すること。
四昭和三十年度以降新たに建設に着手する水力発電所の償却資産に対する固定資産税の課税限度額につき激変緩和の経過的な措置を講ずること。
五大規模償却資産に対する所在市町村の固定資産税の課税限度額につき、激変緩和の経過的な措置を講ずること。
六軽油引取税については、軽油の消費状況の推移をみて、負担の緩和を図ること。
七遊興飲食税につき再検討を加え、とくに公給領収証の使用義務制については、実施の状況に鑑み、改廃の措置を講ずること。
国、地方を通じ税制は累次の部分的修正によって不均衡の面を生じている。政府は、これらの不均衡の是正を含め根本的な租税体系を樹立すべきであるが、就中次の各項については最近の機会においてこれを措置すべきである。右決議する。
出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=102401069)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。