日本原子力研究所法案
参議院 商工委員会
昭和31年法律第92号
審議経過
右の数字は会議の発言数衆議院科学技術振興対策特別委員会
提案理由
正力松太郎 北海道開発庁長官 昭和31年3月6日ただいま議題となりました日本原子力研究所法案につきまして、その提案の理由及び要旨を御説明申し上げます。
原子力の開発が、将来におけるエネルギー資源を確保し、学術の進歩と産業の振興をはかり、人類社会の福祉と国民生活の水準向上にきわめて重要な意義を有するものでありますことにつきましては、今さら論を待たないところでありまして、政府におきましても原子力開発の重要性にかんがみまして、一昨年以来原子力に関する行政機構の確立と研究開発の実施機関の早急整備を意図しており、昨年末原子力基本法が制定されました後、本年一月からは原子力委員会及び原子力局の発足を見た次第であります。
研究開発の実施機関につきましては、諸外国における研究開発の進展状況にかんがみましてわが国におきましても早急に研究に着手することが望ましいこと、アメリカ合衆国との間における濃縮ウランの受け入れ協定の成立に伴いまして、これが受け入れ機関を早急に整備する必要があること等の理由から、法律の裏付を待つことなく、とりあえず財団法人として昨年十一月三十日原子力研究所を発足いたさせました。しかしながら、これは当面の措置でありまして、原子力基本法にも規定されております通り、法律に基く国家的機関としての研究所を整備いたしますことが必要であり、政府におきましても原子力委員会を中心に慎重に検討して参ったのであります。その結果この研究機関といたしましては、原子力開発がきわめて広範囲にわたる技術の総合の上に成り立ち得るものであること、高度の技術水準が要求されていること並びに広く各界にわたる協力体制を確保する必要があり、これがためには単に資金的な面ばかりでなく有能な研究技術者の交流をはかる必要序から、民間各界の協力が不可欠の要請であること等の諸要件を満たし、わが国における原子力開発のセンターとなるべき研究開発実施機関としての実質を整えるために、民間の出資をも認め、しかも政府の強い監督に服する特殊な法人とすることといたしました。
この法案は、以上の経緯及び観点に立ちまして、原子力基本法に基き、原子力の開発に関する研究等を総合的かつ効率的に行い、原子力の研究、開発及び利用の促進に寄与させることを目的といたしまして、日本原子力研究所を設立しようとするものであります。
次に、この法律案の要旨を御説明申し上ます。
まず第一に、日本原子力研究所の資本金は、政府及び政府以外の者からの出資金の合計額とし、政府は一般会計から研究所の設立の際三億五千万円を出資することになっております。また政府は出資に当っては、土地、建物等をもって現物出資することができるようにいたしております。
第二に、研究所の役員として、理事長、副理事長、理事及び監事を置くこととし、その任命につきましては、理事長にあっては原子力委員会の同意を得て、副理事長及び理事にあっては、理事長及び原子力委員会の意見を聞いて、監事にあっては、原子力委員会の意見を聞いてそれぞれ内閣総理大臣が任命することといたしております。
第三に、研究所の行う業務でありますが、日本原子力研究所設立の目的に従いまして、原子力に関する基礎的研究及び応用の研究、原子炉の設計、建設及び操作、原子力関係研究技術者の養成訓練、放射性同位元素の輸入、生産及び頒布等の業務を行わしめることといたしております。なお、研究所は、その業務を行うに当りましては、原子力委員会の議決を経て、内閣総理大臣が定める原子力の開発利用に関する基本計画に基いて行わなければならないことといたしております。
第四に、研究所の財務及び会計でありますが、研究所の予算、資金計画、事業計画、財務諸表、利益の処理、借入金、財産の処分等につきましては、内閣総理大臣の認可または承認を要することとしておりますが、これは研究所の業務の公益性によるほか、政府の出資金がその資本金の二分の一以上に当ること並びに研究所の特殊な法人としての性格上、政府以外の出資者の発言権が認められないため、内閣総理大臣がこれらの者にかわり研究所の財務及び会計に関与する必要があること等の理由によるものであります。また政府は、研究所の研究開発実施機関としての特殊性にかんがみまして、その業務に要する経費の一部を補助することができることといたしております。
第五に、研究所は内閣総理大臣の監督に服するのでありまして、内閣総理大臣は研究所に対して、監督上必要な命令をなし、また報告を徴し、所属職員をして立ち入り検査ができることにいたしました。
最後に、研究所の設立に関する事務は、内閣総理大臣が設立委員を任命してこれを処理させることにいたしておりますが、研究所の業務をなるべくすみやかに開始する必要がありますので、必要な準備を急速に行いたいと考えております。
一方現在の財団法人原子力研究所は、この研究所の成立のときにおいて解散し、その権利義務は研究所が承継するとともに、職員もそのまま引き継ぐことといたしております。
なお、登録税法及び地方税法の一部をそれぞれ改正し、研究所に対する登録税、不動産取得税、固定資産税及び電気ガス税をそれぞれ減免する等の措置を講ずることとなっております。
以上がこの法律案の提案の理由並びにその要旨であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛成あらんことをお願いいたします。
第24回国会衆議院科学技術振興対策特別委員会議録第9号4頁(昭和31年3月6日)〔正力松太郎北海道開発庁長官発言・発言番号2〕 会議録 国会会議録検索システム
附帯決議
出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=102401093)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。