住宅金融公庫法の一部を改正する法律案
衆議院 建設委員会
昭和32年法律第49号
審議経過
右の数字は会議の発言数提案理由
南條徳男 建設大臣・首都圏整備委員会委員長 昭和32年3月14日ただいま議題となりました住宅金融公庫法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその要旨を御説明申し上げます。
住宅金融公庫は、御承知の通り国民大衆が健康で文化的な生活を営むに足る住宅の建設に必要な資金で、一般の金融機関が融通することを困難とするものを融通することを目的として昭和二十五年六月に設立されたのでありますが、以来六年余にわたり約四十一万戸の住宅の建設資金を融通し、国民生活の安定と社会福祉の増進に寄与して参ったのであります。
ところで、風水害、火災等の災害によって被害を受けた住宅を復興するための資金の融通につきましては、償還方法について若干の特例がある以外には特別の規定がないため災害により損傷した住宅を補修するため必要な資金につきましては、融通の道がなく、また、災害復興のため公庫融資によって建設される住宅の貸付手続等において不備な点もあり、罹災地における被災住宅の復興に対する措置としては十分ではないのであります。
そこで、災害が発生した場合、公庫の業務として、比較的小規模な住宅の復興と損傷した住宅の補修に要する資金について、このたび新たに融通の道を開くこととするとともに、災害発生の場合、災害復興住宅の建設または補修を羅災地の実情に即してできるだけ適切かつ迅速に行うため、災害復興住宅の貸付及び回収に関する業務の一部を地方公共団体にも委託することができることといたしました。
なお、これらの災害復興住宅の貸付金につきましては、その金額の限度は政令で定めることとし、その利率は年五分五厘、償還期間は、建設資金については据置期間を含め十五年以内、補修資金については据置期間を含め八年以内といたしました。
次に、わが国における都市は、その大部分が低層の木造建築物によって占められ、かつ、年々郊外へ平面的な発展をいたしている状況であります。
かくしてわが国の各都市における土地の利用状況は、欧米諸都市に比べて、その利用度が低く、都市構成上もきわめて不合理な形態となっており、さらに火災その他の災害の防止という観点からしましても憂慮される状態にあるのであります。従いまして、都市における建築物の高層化及び不燃化を強力に促進する必要があるのであります。
以上申し上げました観点から、この際、都市における住宅難の緩和に寄与し、あわせて土地の合理的利用、災害の防止に資する中層または高層の耐火性の建築物を建設するに必要な資金の融通措置を新たに講じ、その建設の促進をはかることとした次第であります。
これらの中高層耐火建築物の建設に対する融資につきましては、従来の多層家屋に関する融資の制度を改め、原則として相当の住宅部分を有し、かつ耐火構造または簡易耐火構造の建築物で、地上階数三以上を有するものを建設する者に対し、必要な建設資金を貸し付けようとするものであります。
これによる貸付金の金額の限度は、中高層耐火建築物の住宅部分については、その建設費の七割五分、住宅部分以外の部分については、住宅部分の床面積とひとしい床面積の部分の建設費の七割五分に相当する金額とし、貸付金の利率は年六分五厘、償還期間は十年以内といたしております。
なお、以上申し上げました条件により、中高層耐火建築物について貸付を受けた者が、住宅部分について賃貸または譲渡いたします際には、その住宅の家賃、譲渡価格等の条件につきまして、主務省令で定める基準に従って行うようにいたしております。
次に、公庫の貸付金にかかる住宅の建設を容易にするため公庫が必要があると認める場合には、宅地造成事業に必要な資金の貸付を行なっているのでありますが、最近における宅地取得難の現状及び宅地造成事業の実施状況等にかんがみ、今後の宅地造成事業については貸付金にかかる住宅のための宅地造成にあわせて、これに支障のない範囲内でそれ以外の住宅のための宅地を造成する事業についても、これに必要な資金を貸し付けることといたしました。
また、現在公庫は、一戸当りの床面積が百平方メートルをこえる住宅については、資金の貸付をすることができないのでありますが、増築貸付の場合、この制限によることは既存の建物との関係上実情に沿わない場合もありますので、増築資金を貸し付ける場合に限り、貸付の対象となる住宅の床面積の限度を百二十平方メートルまで引き上げることといたしました。
次に、現在、公庫の国庫納付金は政府の一般会計の歳入とすることとなっておりますが、昭和三十二年度から公庫に対し産業投資特別会計より出資することとなっておりますので、国庫納付金の帰属する会計について所要の改正をいたしました。
次に、最近における公庫の業務内容が複雑化し、かつ増大して参りましたので、公庫の役員中理事一人を減じ副総裁一人を置くことといたしました。
以上の改正に伴い従来の住宅金融公庫法について、必要な条項を整理するとともに、関係法律について所要の改正を行うことといたしました。
以上がこの法律案の提案の理由及びその要旨でありますが、何とぞ慎重御審議の上すみやかに御可決下さるようお願いいたします。
第26回国会衆議院建設委員会議録第7号4頁(昭和32年3月14日)〔南條徳男建設大臣発言・発言番号4〕 会議録 国会会議録検索システム
附帯決議
政府は、本法制定の主旨に鑑み、住宅金融公庫の新規事業実施に際しては、特に左の点について遺憾なきを期すべきである。
一災害復興住宅に対する貸付については、業務の迅速なる処理によりその目的達成に遺憾なからしめるとともに、特に地方公共団体が公庫よりの借入金について保証を行う場合には、貸付の決定を特に迅速ならしめるよう格別の配慮をすること。
二中高層耐火建築物に対する貸付については、住宅部分以外に対しても貸付を行う点に鑑み、店舗、事務所等の部分についてはその用途等につき適当なる規制を行うとともに、貸付の審査に当っては特に慎重を期し、公庫本来の主旨を逸脱するような不当な貸付を行うことのないよう措置すること。
出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=102601082)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。