理化学研究所法案
参議院 商工委員会
昭和33年法律第80号
審議経過
右の数字は会議の発言数衆議院科学技術振興対策特別委員会
- S33.2.25趣旨説明科学技術振興対策特別委員会 76
- S33.2.27参考人招致科学技術振興対策特別委員会 835
- S33.3.5質疑科学技術振興対策特別委員会 9170
- S33.3.7質疑科学技術振興対策特別委員会 1096
- S33.3.12質疑・修正案趣旨説明・修正案・採決(修正)・附帯決議科学技術振興対策特別委員会 1120
- S33.3.19委員長報告・修正案・採決(修正)本会議 1734
- S33.4.25附帯決議本会議 1
提案理由
正力松太郎 国家公安委員会委員長・科学技術庁長官 昭和33年2月25日ただいま議題となりました理化学研究所法案につきまして、提案理由を御説明いたします。
わが国産業の発展と国民生活の向上を期するためには、その根源をなすところの科学技術の飛躍的な振興をはかる必要があることは、あらためて申し上げるまでもないところであります。そのためにとるべき方策は少くないのでありますが、なかんずく、わが国における研究活動を一段と活発ならしめるとともに、その研究成果を産業界に取り入れ、その企業化を促進することは、科学技術振興上の要諦であると考えるのであります。
周知の通り、株式会社科学研究所は、多数の優秀な技術者と研究設備を擁し、財団法人理化学研究所以来、四十年になんなんとする輝かしい歴史的伝統を持ったわが国有数の研究機関であります。また同研究所は、物理、化学及びその応用等、各研究部門の知識経験を総合結集し得るという意味においても、また基礎研究から、応用研究を経て、工業化試験までを一貫して実施し得るという意味においても、名実ともにりっぱな総合的研究所でありまして、今日まで幾多のすばらしい成果を上げて参っておるものであります。
同研究所は、昭和二十三年に財団法人組織を改組し、名称も改めて、株式会社科学研究所として発足したのでありますが、さらに昭和二十七年には、株式会社としての収益事業のために設けた製薬部門を科研化学株式会社として分離し、以来研究部門のみをもって立つところの純然たる研究機関として、研究及びその成果の普及という業務を行なってきたものであります。しかしながら、研究機関として自立採算をとるということは、資金的基礎が脆弱なため、少からぬ困難がありましたので、昭和三十年株式会社科学研究所法が制定され、それ以来毎年相当額の国の援助が行われて、今日に至っているものであります。
本法律案は、同研究所の名称を理化学研究所と改めるとともに、従来の株式会社の形態から特殊法人の形態に切りかえようとするものであります。なぜ特殊法人に切りかえをする必要があるかという点につきましては、次の二点を指摘する必要があります。
第一点は、研究機関としての性格並びにこれに対する国の援助の強化という点から見て、特殊法人を適当とすることであります。すなわち、現在の科学研究所の法律的な根拠をなしておりますところの株式会社科学研究所法に関する国会審議の際にも、株式会社という組織が当研究所にとって適当な形態であるかどうかが問題になったのでありますが、今日までの経過実情から判断しましたところ、必ずしも株式会社組織が妥当ではないという結論を得るに至ったのであります。現在のような株式会社の形態では、とかく画期的な発明の源泉をなす基礎的研究の実施、あるいは、わが国にとって必要な基礎的研究から応用研究、工業化試験への結びつけ等、営利性に合致しがたい事業を重視するわけにはいかないのみならず、研究所に対する政府の今後の援助強化の面から見ましても、また政府の方針を研究所に反映させるためにも、特殊法人の形態が望ましいと考えられるのであります。
第二点は、今般新技術の開発という国家的事業の遂行を同研究所に実施せしめようとしているのでありますが、この種の事業は、一株式会社に行わしめるのを適当とは認められないということであります。新技術の開発と申しますのは、わが国独自のすぐれた研究成果であって、企業化に伴う不安が大きいために、企業化することが困難と認められるものを、実際的規模において行うことをいうのであります。わが国には、すぐれた研究成果が少なからずあるということは一般に認められているところでありますが、残念ながらこの研究成果を産業に導入できるようなところまで発展させ、開発することに遺憾の点が多かったのが実情であります。
このたび、国の研究機関その他の研究機関において上げられた主として公共的な研究成果のうち、民間企業の危険負担によっては開発することが困難である重要な新技術を開発するとともに、その開発の成果をできるだけ広く民間企業に活用させるという新しい事業を、同研究所に担当せしめようと考えているのでありますが、このような国家的な事業の遂行は、特殊法人の形態で行わしめることを妥当とすると考えるのであります。
これを要するに、政府といたしましては、同研究所の研究機能を拡充強化すると同時に、新技術の開発の業務をこれに行わしめようとする考えでありまして、この考え方に基いて、従来の株式会社を改組して、特殊法人にしようとするものであります。
次に、本法案の概要を御説明いたします。
第一に、同研究所の設立の目的は、総合的な試験研究の実施、新技術の効率的な開発、並びにこれらの試験研究及び新技術開発の成果のわが国企業一般に対する普及の事業を行わしめることにあります。
第二に、同研究所の性格は、いわゆる特殊法人でありまして、政府は予算の範囲内においてこれに出資し得るものといたしております。
第三に、同研究所の性格にかんがみ、その定款及び業務方法について認可制をとるとともに、役員すべてを内閣総理大臣の任命といたしております。
第四として、新技術の開発業務につきましては、その円滑な運営を期するため、研究所に開発委員会を設置するとともに、開発実施計画について認可制をとっております。
第五として、同研究所に対しては、登録税、不動産取得税を非課税とする等、税制上の助成措置をとっております。
最後に、科学研究所から理化学研究所への切りかえのための措置として、科学研究所の解散等につき商法の特例を置き、また評価審査会を設ける等の経過規定を定めております。
以上、本法案の提案理由及びその内容に関する概要の御説明を申し上げました。何とぞ慎重御審議の上、御賛同あらんことを切望する次第であります。
第28回国会衆議院科学技術振興対策特別委員会議録第7号4頁(昭和33年2月25日)〔正力松太郎国家公安委員会委員長発言・発言番号2〕 会議録 国会会議録検索システム
附帯決議
出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=102801073)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。