農林漁業団体職員共済組合法案
参議院 農林水産委員会
昭和33年法律第99号
審議経過
右の数字は会議の発言数衆議院農林水産委員会
- S33.3.12趣旨説明農林水産委員会 1369
- S33.3.14補足説明・質疑農林水産委員会 1522
- S33.3.19質疑農林水産委員会 16187
- S33.3.20修正案・委員長報告・採決(修正)本会議 1848
- S33.3.20質疑・修正案趣旨説明・修正案・附帯決議・採決(修正)農林水産委員会 17106
- S33.4.25附帯決議本会議 1
提案理由
瀬戸山三男 政府委員(農林政務次官) 昭和33年3月12日ただいま上程されました農林漁業団体職員共済組合法案について、その提案の理由及び要旨を御説明申し上げます。
農林漁業団体は、農林水産業の生産力の増進と農山漁民の経済的社会的地位の向上をはかり、あわせて国民経済の発展に寄与するために設けられた農山漁民の団体であり、わが国経済の進展に貢献して参ったことは、今さら申し上げるまでもないところであります。しかしながら、これらの団体の現状を見ますと、必ずしもすべての団体が健全な発展を示しているとは言えない現状であります。国としましても、これら農林漁業者の中核的組織である農業協同組合等の農林漁業団体の農林水産政策上に占める重要性にかんがみまして、これら団体の育成強化をはかるため相当額の財政支出を行なってこれが助成を行なって参っているのであります。しかるにこれらの団体の役職員は、これと同一地域社会にあって、その職能上常に対比される立場にある市町村職員が恩給あるいは共済組合制度の恩恵に浴しているにもかかわらず、それと均衡のとれた身分保証がないため、優秀な人材を確保することが、保しがたく、このことが経営不振の団体の発生する一因ともなっているので、この際少くとも市町村職員が享受している程度の年金制度の実施はぜひとも必要であると考えられるのであります。一方、これらの団体関係者にあっても、農林漁業団体の役職員の共済制度の確立を自己の出費の増大をもいとわず熱望して参ったのであります。従いまして政府といたしましては、その必要性を認め、現在これらの団体の役職員の大部分が加入している厚生年金保険制度より相当充実した給付内容を有する年金制度を中心とする共済組合制度を設け、これらの団体関係者の永年の要望にこたえるとともに農山漁民への奉仕に十全を期することといたしたいのであります。
次に、本法案の主な内容について御説明申し上げます。
第一に、農林漁業団体職員共済組合は、農林漁業団体の役職員の相互扶助事業を行い、その福利厚生をはかり、もって農林漁業団体の事業の円滑な運営に資することを目的とする特殊法人でありまして、本法案は、この組合の設立、組織、運営、業務、経費補助及び監督等に関して必要な事項を規定しようとするものであります。
第二に、この組合は、特別の法律によって設立された農林漁業団体のうち、農業協同組合、農業協同組合連合会及び農業協同組合中央会、森林組合及び森林組合連合会、水産業協同組合及び水産業協同組合共済会、農業共済組合及び農業共済組合連合会、漁船保険組合及び漁船保険中央会、土地改良区、土地改良区連合及び土地改良事業団体連合会、都道府県農業会議及び全国農業会議所、開拓融資保証協会、漁業信用基金協会並びにこの組合に使用される役職員をもって組合員とするものでありまして、その団体数は約二万七千、その役職員数は約二十六万人であります。
第三に、この組合は、組合員であった期間が二十年以上である者が退職し、五十五才に達したときに、退職年金、組合員であった期間が六月以上二十年未満である者が退職したときに、退職一時金、組合員であった期間が六月以上である者が組合員であった間に疾病にかかり、もしくは負傷したことにより退職した場合において、その退職のときにその傷病の結果として一定の程度の廃疾の状態にあるときに、その廃疾の程度により、障害年金または障害一時金、組合員であった期間が十年以上である組合員が死亡したときに、その者の遺族に、遺族年金、組合員であった期間が六月以上十年未満である組合員が死亡したときに、その者の遺族に、遺族一時金、退職年金を受けている者が死亡した場合において遺族年金の支給を受けるべき遺族がないとき等に、年金者遺族一時金の給付を行うのでありますが、いわゆる短期給付を行わない点が他の共済組合と著しく異なるところであります。
第四に、掛金及び国の補助についてでありますが、掛金は大体千分の七十八くらいで組合員とその組合員を使用する農林漁業団体等との折半負担とし、その掛金率は厚生年金保険における掛金率の二倍余りとなりますが、給付もこれに応じ約二倍となるのであります。次に、給付に要する費用の百分の十五及び組合の事務に要する費用の全額を国庫が補助することができることとなっております。
以上のほか、組合会、役員、審査会、農林大臣の認可、組合設立手続、厚生年金保険との関係等につきまして必要な規定をいたしております。
最後に、この法律の施行期日は、昭和三十四年一月一日でありますが、それまでにこの組合の設立手続も完了し、この組合も同じくその日に成立することとしております。
以上が本法案の提案理由及び内容の大要でありますが、何とぞ慎重御審議の上すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げる次第であります。
第28回国会衆議院農林水産委員会議録第13号13頁(昭和33年3月12日)〔瀬戸山三男政府委員発言・発言番号2〕 会議録 国会会議録検索システム
附帯決議
本法は、農林漁業団体役職員の年金制度を確立することにより、これらのものが将来に対し明るい希望をいだき、全員打って一丸となり農山漁民に対する奉仕精神を振起し、組合経営刷新のため安んじて業務に専念することができる途を拓いたものであるが、更に、農山漁民あっての団体役職員である事実に着眼するとともに、国民の半ばをしめ、かつ劣勢産業の担い手である農山漁民の社会的、経済的地位を考慮し、政府は、この際すみやかに、関係当局間の協力により、その福祉を積極的に増進するに足る国民年金制度の実現をはかるために万いかんなきを期すべきである。なお、政府は本法に関しては特に左記によりその運用に当るべきである。記
一本制度による退職給付について国庫補助を行う対象年令は、五十五才以上とせられているが、将来、平均余命の延長等の理由によって、他の制限における受給開始年令が引上げられるような事態が生じたとしても、本制度においては、農山漁村の現状にかんがみ、今後使用者および組合員の負担の軽減、給付内容の改善、保養施設の充実等をはかる必要があるので、行政措置により一方的に国庫補助対象年令を六十才以上に引上げる等のことがないように注意すること。
二組合の経営事務費に対する国の補助金は、組合員一人当り百円と計算されているが、少くとも私立学校教職員共済組合と同程度を補助しうるよう所定経費の増額に努めること。
三組合員が、本制度の対象とならない他の職場、例えば市町村役場等に移動した場合には、両者間の通算を認めない仕組みとなっているが、このことより、農山漁村の実態上、いちじるしい不具合を生ずことが懸念せられるので、近い将来、その欠かんを是正するような措置すること。
四本法の制定後、掛金の負担に耐えられず折角の制度の恩典をうけることができないような団体が生じないよう、新たな角度から不振組合振興対策を再検討すること。
五各種農林漁業団体間に、著しい給与水準のアンバランスが認められるので、これを逐次是正するよう強力に指導すること。
一政府は、速かに、農山漁民に対する年金制度等社会保障制度を確立するとともに、福利厚生施設の拡充に努めること。
二政府は、木炭林漁業団体職員共済組合法の施行に当り、特に、次の措置に遺憾なきを期すること。(一) 使用者団体及び組合員の掛金負担の軽減、給付内容の充実、福祉施設の整備、転職の場合の通算その他制度の改善に対して不断の努力を払うこと。(二) この制度をあまねく関係団体役職員に及ぼすため、掛金の気担を困離とするような不振団体に対しては、これが対策について、団体当事者の自発的努力と創意工夫とを促すとともに、政府亦適切な措置を考慮すること。(三) この制度に対する国の補助を拡充すること。
出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=102801129)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。