軽機械の輸出の振興に関する法律案
衆議院 商工委員会
昭和34年法律第144号
審議経過
右の数字は会議の発言数衆議院商工委員会
- S33.12.16趣旨説明商工委員会 145
- S33.12.17質疑商工委員会 2103
- S33.12.18質疑商工委員会 3116
- S34.2.3修正案・委員長報告・採決(修正)本会議 1230
- S34.2.3修正案・修正案趣旨説明・討論・採決(修正)・附帯決議商工委員会 924
- S34.5.2附帯決議本会議 1
提案理由
大島秀一 政府委員(通商産業政務次官) 昭和33年12月16日次に、ただいま上程されました軽機械の輸出の振興に関する法律案についてその提案理由を説明いたします。
ミシン、双眼鏡を初めとするいわゆる軽機械の輸出は年額一億ドルをこえ、船舶を除く機械輸出の三分の一を占めるに至っております。しかもこれらの輸出は年々確実な増加を示し、今後の輸出拡大のホーフと目されているのでありますが、このような目ざましい輸出の拡大はこれらの経機械が中小企業を主体とするアッセンブル方式によって製造され、その工程に相当の人手を要することによってわが国がきわめて強い国際競争力を持っていることによるものと考えます。
しかしながらアッセンブル方式をとっていることから開業するだけならばほとんど設備らしい設備もなしにできるために業界の過当競争が著しく、輸出価格の著しい低落を見ておるのでありまして、この結果当然得られるべき外貨をみすみす失っているという現状になっているのであります。
また中小企業を主体とすることによって海外事情に対する知識はほとんどなく、めくら貿易に近い状況に置かれている上、このような軽機械の輸出拡大に欠くべからざる海外市場への広告、宣伝活動もほとんど行われていないという状況であります。
このような事態に対しまして軽機械の輸出の振興のために従来とられてきた方策を振り返ってみますと、過当競争防止のためには輸出入取引法、中小企業団体法等の施策があげられるのでありますが、軽機械という特殊の商品について考えますと不十分な面がなお存すると考えられますし、また軽機械の品質の向上ないし積極的な海外市場へのマーケッティングという観点についてはほとんど未開拓のまま残されてきたと言って過言ではありません。
従ってここに従来の方策を補完し、軽機械の輸出をさらに一段と発展させるべく種々検討いたしました結果、従来から特に問題の多かったミシン及び双眼鏡を当面の対象として新たなる立法を要するとの結論に達した次第であります。
この法律案の骨子は製造業者の登録制の採用と輸出振興事業協会の設立という二点に要約されるのであります。
第一に輸出向きの軽機械及び軽機械部品について製造業者の登録を行うことにより、メーカーらしいメーカーを育てていく基盤を作り、これによって軽機械の品質の向上を期するとともに、特に軽機械の組み立て業者について過当競争が著しくなりました場合には一時その登録を停止して新規開業を抑え、業界の安定をはかることにしたいと考えます。
第二には輸出振興事業協会を設立し、これを中核体として海外市場に対する調査、宣伝を活発に行い、同時に輸出向け軽機械の品質向上をはかりたいと考えております。これらはまさに輸出拡大のかぎとなるものでありながら国内における過当競争によって従来業界にその余力がなかったのでありますが、協会への負担金の納入によってこれを活発に行うことが可能になると考えます。
申し上げるまでもなく輸出の振興はわが国経済発展のための最大の要請であり、その中でも機械の占める重要性は次第に高まっているのでありますが、このような要請に当面応ずることができるのはまさに軽機械と考えるのであります。このような事情をおくみ取りの上何とぞよろしく御審議のほどをお願い申し上げます。
第31回国会衆議院商工委員会議録第1号17頁(昭和33年12月16日)〔大島秀一政府委員発言・発言番号7〕 会議録 国会会議録検索システム
附帯決議
政府は、本法の立法の趣旨にかんがみその運営を民主的に行うとともに特に左の点に留意すべきである。
一輸出振興事業協会に対し、その目的達成に必要な財政上、金融上特別の措置を講ずること。
二登録の基準を定めるに際しては、関係者の意見を充分尊重して決定すること。
三本法施行により、関係事業の従業員の整理労働の強化と賃金の低下を来さないよう、厳重に指導監督すること。
政府は本法を施行するに当り、左の点に留意して、軽機械の輸出の振興のため積極的な指導に努むべきである。
一登録制度の運用に当っては、関係者の意見を尊重し、特に零細業者及び新規業者に対し、不公正、不利益な取扱いをせざること。
二輸出振興事業協会の運営については、厳に官僚統制の弊を避け業界の総意を充分反映し得るよう配慮するとともに、他方、積極的な輸出拡大を図り得る民間の自主的体制の整備に努めること。
三ミシン、双眼鏡と類似した事情にあるトランジスターラジオその他の軽機械についても手遅れにならぬよう本法の対象とすること。で、ただいま申し上げましたうちの一番の問題につきましては、これはとにかく政府の登録制度によりまして国家権力を発動することになるわけでありまするから、それで一つ間違えば、すでに質疑の過程において問題になりましたように、考えようによっては企業整備に業者を追い込んでいく、零細業者がきわめて不利益な立場に追い込まれる、あるいは営業自由の権利に制約を加えまして新規開業が不可能になる、こういうことに陥るのであります。従って自民党の持っておるただいまの考え方からすれば、そういう点はわが日本社会党でも同様でありますが、許されないことでありますから、従って十全の措置をとられなければならないということであります。それから第二番の問題につきましても、政府が一貫して一つの考え方のもとに産業なり経済なりのコントロールをせられるということであれば、そこに体系というものがございまして、さまで混乱を起さない。国民の中に十分意見の調整をし、納得を願うことが下きると思います。しかしこういう問題だけを取り出して、そして輸出振興事業協会の運営がもし誤まるというようなことがあれば、しばしば言われる官僚統制の弊害の面だけがクローズ・アップされて、業界に不信を招き、ひいては輸出の振興に阻害をきたすというようなことになりかねないのでありまするから、こういう点については特に配慮を願いたいと思います。あと三番の問題につきましては、もう説明を要しません。読んでいただいた通りでありまするが、どうかただいま申し上げましたことは、言葉は非常に簡単で足りませんが、しかしながら問題そのものは重要なことでありまするから、十分によく理解をせられて善処せられるように強く要望いたします。皆さんの付帯決議案について御賛成をいただくように特にお願いいたしまして討論を終ります。
出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=103101030)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。