地方税法等の一部を改正する法律案
参議院 地方行政委員会
昭和34年法律第76号
審議経過
右の数字は会議の発言数衆議院地方行政委員会
参議院地方行政委員会
- S34.2.17趣旨説明・補足説明地方行政委員会 926
- S34.3.17質疑地方行政委員会 17145
- S34.3.19衆議院修正部分趣旨説明・質疑地方行政委員会 18122
- S34.3.20参考人招致地方行政委員会 1950
- S34.3.24質疑地方行政委員会 20173
- S34.3.26質疑地方行政委員会 21214
- S34.3.27質疑地方行政委員会 2299
- S34.3.31委員長報告・討論・採決本会議 2169
- S34.3.31修正案趣旨説明・討論・附帯決議・採決地方行政委員会 2318
- S34.5.2附帯決議本会議 1
提案理由
青木正 国家公安委員会委員長・自治庁長官 昭和34年2月17日地方税法等の一部を改正する法律案についてその提案理由とその要旨を御説明申し上げます。
地方税制につきましては、御承知の通り、昭和二十五年独立税主義の徹底、地方自主財源の増強等の基本方針のもとに大改正が行われ、その後数次にわたる改正によりまして、一応我が国の実情に沿うように整備がはかられて参り、また、国民の租税負担の現状にかんがみ、その負担の軽減、合理化が行われて参つたのであります。しかしながら、なおできる限り国民負担の軽減をはかることは国民の強い要望でありますので、さらに低額所得者の税負担の軽減を中心とする税制の軽減合理化を行うことといたし、今回の改正を行うことといたした次第であります。
改正の方針といたしますところは、第一は、別途国税の減税と相待ち平年度七百億円の減税を行うことを目途として、零細負担の排除と負担の均衡化を重点として地方税の減税を行うことでありまして、個人の事業税につきまして基礎控除額を引き上げ、法人の事業税につきまして軽減税率の引き下げとその適用限度額の引き上げを行い、固定資産税につきまして制限税率を引き下げ、その減収額の補てん方法を定めるとともに、免税点の引き上げを行うことといたしております。なお、このほか所得税の減税に対応する住民税の減税を昭和三十五年度以降実施することといたし、明年そのための所要の改正をいたす所存であります。方針の第二は、道路整備計画の推進に伴い、道路財源の充実をはかることでありまして、軽油引取税の税率を引き上げることにいたしております。以下その内容の概略を御説明申し上げます。
第一は、事業税に関する事項であります。その一は個人の事業税についてであります。個人の事業税の基礎控除額は現行十二万円でありますが、中小企業者の税負担の軽減をはかるため、これを年二十万円に引き上げることにいたしました。この改正によりまして年所得二十万円以下の者は非課税となるのでありますが、その数は七十七万五千人、現在の全納税義務者の四三%に及んでおります。また、年所得二十万円をこえる事業者についても年四千八百円の減税となるのであります。これによる減税額は、初年度六十五億円平年度七十一億円に上ります。その二は、法人の事業税についてであります。中小法人の負担を軽減するため、一般法人の事業税の標準税率を、現行の所得年五十万円以下八%を七%に、現行の所得年五十万円をこえ年百万円以下一〇%を八%に引き下げるほか、さらに軽減税率の適用範囲を広げて所得年百万円をこえ年二百万円までの部分を、従来の一二%から一〇%に引き下げることとし、また、これに応じまして特別法人の事業税についても、所得年五十万円以下の標準税率を七%に引き下げることといたしました。これらにより初年度二十億円、平年度三十億円の減税となるのであります。
第二は、固定資産税に関する事項であります。その一は、制限税率の引き下げ及びその減収額の補てん措置であります。現行の固定資産税の税率は、標準税率が一・四%、制限税率が二・五%でありますが、現に少からぬ市町村が二・一%をこえる高率で課税を行なっております。これらの一部の市町村の住民負担を軽減するため、この際制限税率を二・五%から二・一%に引き下げることといたしました。これによって生ずる関係市町村の減収額は六億円に達する見込みでありますが、これらの市町村はいずれも財源がきわめて菲薄ありますので、これによって生ずる減収額は、さしあたり、昭和三十四年度においては起債をもって補てんし、その元利償還金は国庫から補給することとし、そのため地方財政法の一部に所要の改正を加えることといたしました。なお、右の地方債は、国が資金運用部資金をもって全額を引き受けるものとし、その利率及び償還年限等の細目については別途政令でこれを定めることとしております。その二は、免税点の引き上げについてであります。固定資産税の免税点は、現在土地及び家屋一万円、償却資産が十万円でありますが、このうち土地及び家屋の免税点は、昭和二十五年度本税創設以来据え置かれており、他方この間において土地、家屋の評価はおおむね二倍程度上昇いたしておりますので、零細負担の排除の趣旨から、この際免税点を土地二万円、家屋三万円に引き上げるとともに、償却資産の免税点についてもこれと並行して現行の十万円を十五万円に引き上げようとするものであります。これによる減収額は、約十億円であります。
第三は、軽油引取税に関する事項であります。道路整備事業を充実させる
ことの緊要なることは申すまでもない
ことでありますが、特に昭和三十四年度以降は道路整備五カ年計画が強力に施されることとなりましたので、そ
の財源を受益者に求める趣旨から別途国税の揮発油税の税率が引き上げられることに照応いたしまして、軽油引取税におきましてもその税率を一キロリットルにつき従来の八千円を一万二千円に引き上げることといたしました。この改正による増収額は、初年度四十一億円、平年度四十六億円の見込みであります。
以上申し上げました諸事項のほか、なお次のような点について規定の整備をはかつております。その一は、国税の法人税におきまして更正の請求の制度が創設されることに伴い、法人の事業税につきましても同じ制度を創設することにいたしまして、納税者が計算の錯誤等により過額の事業税額を納付した場合においては、地方団体の長に減額更正の措置をとるべきことを請求することができることといたしました。その二は、計量法による法定計量単位が本年から実施されることとなつたことに伴いまして、それぞれ規定の整備をはかりました。
なお、所得税の減税に対応する住民税の減税につきまして御説明申し上げます。別途所得税におきまして、扶養控除の引き上げ及び最低税率の適用範囲の最高限度額の引き上げにより初年度三百八十億円、平年度四百二十億円の減税が行われることとなっておりますが、住民税所得割についてもこれに照応して減税を行うこととし、これがため所得割のうち所得税額を課税標準とするものにあつては、税率の調整を行わないこととし、また課税総所得金額または課税総所得金額から所得税額を控除した額を課税標準とするものにあつては、準拠税率に所要の改正を加えることといたしたいと存じます。もっともこの所得税の減税に伴う住民税の減税は昭和三十五年度以降の問題でありますので、右の改正は明年度においてこれを行いたいと存ずる次第であります。これらによる減税額は、昭和三十五年度において百四億円、平年度において百十八億円であります。
以上の改正によりまして、普通地方税では総額昭和三十四年度百一億円、平年度二百三十五億円の減税となり、また別途入場税法の一部改正によりまして昭和三十四年度十九億円、平年度二十三億円の地方譲与税の減収となるのでありますが、他方、軽油引取税の増収、国税の改正による地方税の増収等がありまして、自然増収と合せて結局、地方譲与税及び目的税を通計いたしますと、昭和三十四年度地方税収入見込額は五千七百四十六億円となり、昭和三十三年度当初見込み額に比し、三百十九億円の増加となるのであります。
以上が、地方税法等の一部を改正する法律案の提案理由及びその要旨でございます。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
第31回国会衆議院地方行政委員会議録第10号4頁(昭和34年2月17日)〔青木正国家公安委員会委員長発言・発言番号6〕 会議録 国会会議録検索システム
立法資料のある条文
この法律案の審議で取り上げられた条(政府答弁の件数順)附帯決議
政府は、地方財政の現状と本案施行に伴う影響に深く留意し、特に左記事項についてそれぞれ適切な措置を講ずるとともに、可及的速かに税制の全般にわたる根本的改革を行い、もって地方財政の健全化と安定化を図り、行政水準の維持向上に努むべきである。
一国と地方との財源配分に再検討を加え、地方の自主財源を強化すること。
一多額に上る住民の税外負担を解消し、公費をもって支弁すべき経費に対しては財政措置をなすこと。
一所得税の減税に伴う住民税の減収に対しては、たばこ消費税の税率引き上げ等によって財源補てんを行うこと。
一地方税制における各種の特例措置に再検討を加え、非課税制度については根本的整理を行うこと。
出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=103101153)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。