日本観光協会法案
衆議院 運輸委員会
昭和34年法律第39号
審議経過
右の数字は会議の発言数提案理由
中馬辰猪 政府委員(運輸政務次官) 昭和34年2月18日ただいま議題となりました日本観光協会法案の提案理由について御説明申し上げます。
外国人観光旅客のわが国への来訪が繁くなりこれら観光客が国内において消費する額の増加することは、わが国にとって国際収支の改善に資し、ひいては経済基盤の強化に資するところはなはだ大なるものがあると存ずるのであります。
そのため、政府は、従来、財団法人国際観光協会に補助金を交付し、外国人観光旅客のわが国への誘致宣伝、外国人観光旅客の接遇の向上等に関する業務を実施させ、もって国際観光の振興に努力して参ったのであります。他方、社団法人全日本観光連盟は、観光関係者が会員となり、日本国有鉄道、地方公共団体等の援助を受けて、観光関係機関従業員の研修、観光資源の開発及び国民旅行の健全化等に関する事業を実施してきたのであります。
本来、観光の振興に関して、国際観光と国内観光とを区別して論ずることは妥当でなく、観光を総合的に論じ、発展させていくことが必要であり、かくすることによって外客の来訪も活発となり、また国民の健全旅行にも寄与することとなると存ずるのであります。こういった観点から現在においても国際観光協会と全日本観光連盟は相互に連絡協調を密にして行動しているのでありますが、この際、さらに一歩を進めて、両者を統合して一本化をはかり、この一本化された法人において観光の振興に関する事業を総合的に実施すれば、さらに多大の効果が期待されるのであります。また、従来、日本国有鉄道、財団法人日本交通公社、東京都を初めとする地方公共団体並びに運輸業者、観光関係業者及びこれらの関連団体等から国際観光協会及び全日本観光連盟に対し、事業に要する資金を拠出しているのでありますが、これらの拠出金については、国際観光協会と全日本観光連盟とにそれぞれ拠出している例が多く、両者が一本化されれば、この一本化された法人の充実合理化に伴いその額の増加も期待されるのであります。
以上は、観光の振興に関する事業を同一法人のもとにおいて総合的に実施されなければならない理由として申し上げたのでありますが、さらに、これら観光の振興に関する事業が、企業者別及び地域別の利害得失にとらわれず、国家的見地からなされなければならないこと、事業実施の経費として政府から多額の補助金を交付すること、鶴光事業の多種多様性にかんがみ、民間の援助及び意見を必要とすること等の理由から、特別法により、日本国有鉄道、地方公共団体、運輸業者、観光関係者及びこれらの団体等を会員とする日本観光協会を設立し、運輸大臣の監督のもとに、観光の振興に関する事業を積極的、かつ総合的に実施させる必要があるのであります。
次に、この法案の要旨について御説明申し上げます。
まず第一に、日本観光協会、日本国有鉄道、地方公共団体、旅客運送業者、ホテル業者、旅館業者、旅行あっ旋業者及びこれらの団体等を会員とする法人といたしました。
第二に、協会の役員としましては、会長、副会長及び理事及び監事を置くこととし、会長、副会長及び監事は、運輸大臣が任命し、理事は、会長が運輸大臣の認可を受けて任命することといたしました。
第三に、協会に、会員が会員のうちから選挙する運営委員三十人以内をもって組織する運営委員会を置き定款の変更、会費の額及び徴収の方法及びその他定款で定める事項を議決するとともに、会長の諮問に応じ、業務の運営に関する重要事項を調査審議することといたしました。
第四に、協会の業務は、外国人観光旅客の誘致宣伝、外国人観光旅客に対する接遇の向上、その他鶴光事業に関する業務の改善に関する指導、観光に関する調査及び研究、観光に関する出版物の刊行等を行い、政府は、その事業の円滑な運営のため、予算の範囲内において補助金を交付することとし、協会の事業遂行の万全を期しました。
第五に、協会の財務及び会計については、協会は毎年、予算及び事業計画を作成して、運輸大臣の認可を受けなければならないこととしたのを初めとして、協会の財務諸表及び借入金についても承認または認可を受けなければならないこととし、また、余裕金の運用については一定の制限を付し、協会の会計の適正化をはかった次第であります。
第六に、協会は、運輸大臣の監督に服するのでありまして、運輸大臣は、協会に対して監督上必要な命令を発し、または報告を徴し、所属職員に立ち入り検査をさせることができることといたしました。
最後に、協会の設立に関する事務は、運輸大臣が任命する設立委員に処理させることといたしておりますが、設立に当りまして、国際観光協会及び全日本観光連盟の一切の権利及び義務を包括承継し、従来行なってきた観光の振興に関する事業の継続に支障を来たさないようにいたす所存であります。
なお、右のほか、協会に対する税を減免するため、各種税法の一部改正を行いまして、協会の業務の運営に遺憾なきを期した次第であります。
以上がこの法律案を提案する理由であります。
何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いいたします。
—————————————
第31回国会参議院運輸委員会会議録第6号2頁(昭和34年2月18日)〔中馬辰猪政府委員発言・発言番号6〕 会議録 国会会議録検索システム
附帯決議
日本観光協会法に対する附帯決議案我が国観光事業振興上、ホテル等受入施設の整備が極めて緊要であるに鑑み、政府は、昭和三十五年度以降、日本観光協会等に対し財政金融上の助成措置を強化拡充して、これらの事業の急速な促進を図るべきである。右決議する。
出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=103101154)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。