地方税法の一部を改正する法律案
参議院 地方行政委員会
衆議院 地方行政委員会地方税法の一部を改正する法律案等審査小委員会
昭和35年法律第56号
審議経過
右の数字は会議の発言数衆議院地方行政委員会・地方行政委員会地方税法の一部を改正する法律案等審査小委員会
- S35.2.12趣旨説明地方行政委員会 112
- S35.3.11質疑地方行政委員会 12120
- S35.3.16逐条説明地方行政委員会地方税法の一部を改正する法律案等審査小委員会 26
- S35.3.22質疑地方行政委員会 1545
- S35.3.25小委員長報告・討論・採決地方行政委員会 1612
- S35.3.29委員長報告・討論・採決本会議 1672
参議院地方行政委員会
- S35.2.16趣旨説明地方行政委員会 363
- S35.4.7補足説明・質疑地方行政委員会 17113
- S35.4.12質疑地方行政委員会 1842
- S35.4.14質疑・討論・採決地方行政委員会 1988
- S35.4.20委員長報告・討論・採決本会議 1852
提案理由
石原幹市郎 自治庁長官・国家公安委員会委員長 昭和35年2月12日ただいま議題となりました地方税法の一部を改正する法律案についてその提案理由とその要旨を御説明申し上げます。
この法律案は、国民負担の軽減をはかるために、昨年行なわれました所得税の減税に対応して、昭和三十五年度以降において住民税の減税を行なうことを主眼とし、その他、所得税法及び法人税法の改正に伴い必要な規定の整備を行なおうとするものであります。以下その内容の概略について御説明申し上げます。
第一は、所得税の減税に伴う住民税の減税についてであります。所得税におきましては、昭和三十四年度から扶養控除の引き上げ及び最低税率の適用範囲の最高限度額の引き上げによる減税が行なわれたのでありますが、住民税所得割についてもこれに照応して昭和三十五年度から減税を行なうこととし、一、これがため道府県民税の所得割の課税総額算定の基礎となる標準率及び市町村民税の所得割のうち所得税額を課税標準とするものの標準税率は、これを据え置くこととし、二、保税総所得金額を課税標準とするもの(第二課税方式)の準拠税率については、二%の税率適用範囲の最高限度額について現行五万円を十万円に引き上げ、三、課税総所得金額から所得税額を控除した額を課税標準とするもの(第三課税方式)の準拠税率については、税率適用範囲の最高限度額について従来三万円まで二%であったものを五万円まで引き上げ、また、従来八万円まで三%であったものを十万円に引き上げることとしたのであります。
以上のほか、第二課税方式及び第三課税方式のただし書きを採用する市町村については、条例によって扶養親族の数に応ずる税額控除額を引き上げるように指導する所存であります。この結果、昭和三十五年度において約百二十二億円、平年度において百三十八億円の減税となる見込みであります。なお、この減税に伴う地方団体の財政状況にかんがみ、その財政の健全化に資するため、別途御審議をいただきます臨時地方特別交付金に関する法律によって、所要の措置を講ずる所存であります。
第二は、被災たなおろし資産の損失の繰り越し控除の制度についてであります。青色申告書を提出している個人の事業税におきましては、従来とも三年間に限り損失を繰り越して控除することが認められて参ったのでありますが、昨年所得税法の一部が改正され、いわゆる白色申告書を提出している個人につきましても、震災、風水害、火災その他の災害による商品、原材料等のたなおろし資産の損失の金額については、三年間に限りこれを繰り越して控除することが認められましたので、事業税につきましても同様の措置をとることにいたしたのであります。
第三は、法人税法上の還付を受けた法人が納付すべき道府県民税及び市町村民税の法人税割の課税標準である法人税額の計算についてであります。青色申告書を提出している法人が、法人税法の規定により欠損の繰り戻しによる法人税額の還付を受けた場合には、その法人が納付すべき道府県民税及び市町村民税の法人税割の課税標準である法人税額から、当額還付を受けた法人税額を繰り越し控除することによりまして、法人税とこれを課税標準とする道府県民税及び市町村民税の法人税割との間の調整をはかって参ったのでありますが、昨年の法人税法の改正に伴い、右の方法に調整を加える必要が生じましたので、政令で調整をはかることができるよう規定の整備をはかっております。
以上のほか、「不具者」を「障害者」に、「めくら」を「失明者」に改める等所得税法及び法人税法の改正に伴い若干の規定の整備をはかることにいたしました。
以上が今回提出いたしました地方税法の一部を改正する法律案の提案理由及びその要旨でございます。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
次は、奄美群島復興特別措置法の一部を改正する法律案につきまして提案の理由並びにその内容の概要を御説明申し上げます。
奄美群島の復興事業は、奄美群島復興計画に基づき、逐次推進を見つつあるのでありますが、群島経済がはなはだ脆弱であるため産業資金の融通は円滑を欠き、これが復興の大きな隘路となっておりまして、かねてからこれに対する対策の樹立が痛感されておったのであります。これがため、さきに奄美群島復興信用保証協会を奄美拝島復興信用基金に改組し、従来の保証業務のほかに、群島内の中小規模の事業者に対して小口の事業資金の貸付をもあわせて行なうこととし、昭和三十四年度に一億円の政府出資を見たのであります。しかしながら、その運営の実態を見まするに、この資金量をもちましては、到底熾烈な資金需要に応ずることができない状況でありますので、昭和三十五年度においてさらに政府出資を八千万円追加し、融資業務に充て、産業振興の促進をはかるとともに、あわせてこの際、基金の債権保全のための抵当権設定に関する免税規定を整備しようとするものであります。
以上この法律案の提案理由並びにその内容の概要について御説明いたしたのでありますが、何とぞ慎重御審議の上すみやかに御可決あらんことをお願い申しあげる次第でございます。
次は、臨時地方特別交付金に関する法律案の提案理由とその要旨を御説明申し上げます。
昨年行なわれました所得税の減税に対応し、明年度以降道府県民税及び市町村民税についても減税を行なうため、別途地方税法の一部を改正する法律案を提案いたしているのでありますが、この減税の実施によりまして、地方税収入に百二十二億円程度の減収が生ずるものと見込まれております。明年度におきましては、経済界の好況の持続の見通しのもとに、本年度の当初地方財政計画に比し、地方税及び地方交付税にかなりの増収か見込まれるのでありますが、他方給与改訂をはじめとする給与関係経費、治山治水事業の実施に伴う地方負担等義務的支出に要する増加経費も多額に上るのであり、その他地方財政はなお幾多の不健全な要素をかかえておるのであります。現に地方制度調査会または税制調査会において、地方財源の問題についても種々検討が加えられているのでありまして、このような地方公共団体の財政の状況にかんがみ、その健全化を促進するために、減税によって生ずる地方財源の減少に対して、政府は、国税三税の百分の〇・三相当額を臨時地方特別交付金として、当分の間、地方団体に交付することといたしたのであります。
次に、この法律案の内容の要旨について御説明いたします。
第一は、臨時地方特別交付金の総額に関する事項であります。臨時地方特別交付金の総額は、所得税、法人税及び酒税の収入額のそれぞれ百分の〇・三といたしております。臨時地方特別交付金は、減税によって生ずる地方財源の減少に対し、地方財源を増額することによって、これを総体として補てんし、地方財政の健全化に資ることを目途とするものでありますから、その総額は、地方交付税制度に準じ、国税三税の一定割合とすることとしたのであります。従ってまた、国税三税に自然増減があったことにより、予算計上額との間に増減差額が生じた場合においては、翌年度以降の臨時地方特別交付金に加算し、またはこれから減額するものとしているのであります。なお、明年度の臨時地方特別交付金の総額は、二十九億八千四百万円と見込んでおります。
第二は、臨時地方特別交付金の交付に関する事項であります。すでに御説明いたしましたような臨時地方特別交付金の創設の趣旨にかんがみ、交付についても、地方交付税制度にならうことを適当と考え、その特別交付税の交付の例によることといたしております。なお、各地方団体に対する交付額につきましては、減税の実施に伴う影響その他地方団体の財政状況を総合的に勘案して算定することとしたいと考えております。
以上が臨時地方特別交付金に関する法律案の提案理由及びその要旨であります。何とぞ慎重御審議のうえ、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
第34回国会衆議院地方行政委員会議録第1号3頁(昭和35年2月12日)〔石原幹市郎自治庁長官発言・発言番号10〕 会議録 国会会議録検索システム
立法資料のある条文
この法律案の審議で取り上げられた条(政府答弁の件数順)出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=103401036)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。