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閣法第39回国会 第5号成立

特殊海事損害の賠償の請求に関する特別措置法案

昭和36年法律第199号 特殊海事損害の賠償の請求に関する特別措置法
提出昭和36年9月25日 内閣
付託衆議院 内閣委員会
参議院 内閣委員会
成立昭和36年10月31日
昭和36年法律第199号
審議会議 8回・発言 244(政府答弁等 100)

審議経過

右の数字は会議の発言数

衆議院内閣委員会

  1. S36.10.3趣旨説明内閣委員会 218
  2. S36.10.5質疑内閣委員会 3130
  3. S36.10.17質疑・採決内閣委員会 6140
  4. S36.10.19委員長報告・採決本会議 1121

参議院内閣委員会

  1. S36.10.3趣旨説明内閣委員会 235
  2. S36.10.28質疑内閣委員会 10103
  3. S36.10.31委員長報告・採決本会議 14174
  4. S36.10.31質疑・討論・採決内閣委員会 11201

提案理由

藤枝泉介 防衛庁長官 昭和36年10月3日

提案理由を説明申し上げます前に、一言ごあいさつ申し上げます。先般防衛庁長官を拝命いたしまして、まことに浅学非才でございます。内閣委員の皆様方の特別の御支援のほどをお願い申し上げる次第であります。(拍手)

 ただいま議題になりました特殊海事損害の賠償の請求に関する特別措置法案外一件の提案理由並びに内容の概要について御説明申し上げます。

 この法案は、新安全保障条約に基づく地位協定第十八条第五項(g)の規定により同項の他の規定の適用を受けないこととなる特殊の海事損害の賠償請求の円滑な解決をはかるものであります。

 旧行政協定にかわる地位協定におきましては、民事請求権に関する第十八条の規定は全面的に米国がNATO諸国と結んでおります同種協定と国様なものになったことは御承知の通りであります。従いまして同条第五項(g)におきまして、日本国にあるアメリカ合衆国軍の船舶の航行等から生じます事故によりまして第三者がこうむりました被害のうち、物的損害に関する賠償の請求につきましては、同条同項の他の規定の適用を受けないことになりまして、米国政府が直接に取り扱うことになります。すなわち旧行政協定で同じく民事請求権について規定している第十八条におきましては、その第三項によりまして、海上におけるこの種の賠償請求も陸上における場合と同様、日本の政府機関の行政措置により処理され、または日本の裁判所の裁判により解決されるのでありますが、新協定におきましては米国の政府機関または裁判所により処理されることになります。

 右のごとく改定になりましたのは、この種の海上における船舶に関する賠償請求のような特別の事案については、NATO協定のごとく取り扱われるのが国際通念であることに基づくものでありますが、米国の関係法令に十分通暁せず、また言語、慣習の相違のある日本国民に対しましては、新協定実施後も、この種請求の取り扱いについて政府が必要な援助を行なって円滑な解決をはかる必要があると存じます。

 これが本法案を提出する理由であります。

 法案の内容といたしましては、この種海事事故の被害者たる日本国民が米国政府に対して損害賠償を請求する場合には、調達庁長官がそのあっせんをすることとし、あっせんにより適正迅速なる解決をはかることとしたのが第一点であります。

 次に右のあっせんによっても被害者の満足すべき解決に至らずして、被害者が米国の裁判所に訴訟を提起するときには、訴訟費用の立てかえその他訴訟についての必要な援助を行なうことができることとしたのが第二点であります。右立てかえ金は無利息といたし、また訴訟終了時には償還を要するわけでありますが、その償還は場合により支払いの猶予、全部または一部の免除ができるように定めております。

 以上、この法律案の提案の理由と内容の概要を申し上げた次第であります。

 次に連合国占領軍等の行為等による被害者等に対する給付金の支給に関する法律案の提案理由及び概要について御説明申し上げます。占領期間中における連合国占領軍等の行為により死亡し、負傷し、または疾病にかかった被害者に対しましては、昭和二十一年五月閣議決定により見舞金支給措置を講じ、さらに昭和二十七年五月閣議了解により追給措置を講じてきたのでありますが、これについてその金額が少な過ぎるという理由をもって、被害者より政府並びに国会に対し、しばしば救済の陳情並びに請願が行なわれてきたところであります。

 政府は、昭和三十四年度に調達庁をして全国的に実態を調査せしめました結果、被害者数は占領時代前期において最も多く、なかんずく死亡者数も同様であることが判明し、かつ見舞金額も小額で、お気の毒な状況にあると考えますので、これらの者に対する救済を立法措置により講ずることが必要、かつ適切であると確信するのであります。

 以上がこの法律案を提出するにいたった理由であります。

 次にこの法律案の具体的内容についてその概要を御説明申し上げます。

 まずこの法律案による給付金は、本邦内における昭和二十年九月二日から昭和二十七年四月二十八日までの占領期間中に発生した連合国占領軍等の行為等によって負傷し、または疾病にかかった者及び連合国占領軍等の行為等によって死亡した者の遺族であって、日本国籍を有する者に対し支給することとした次第であります。

 給付金の種類といたしましては、療養給付金、休業給付金、障害給付金、遺族給付金、葬祭給付金及び打切り給付金の六種類となっており、またその支給額は、療養給付金につきましては一定の基準を政令によって定めることといたしましたほか、休業給付金につきましてはこの法律施行前の休業期間六十日未満にあっては二千円、六十日以上にあっては五千五百円、この法律施行後の休業期間にあっては一日につき百二十円を乗じた額とし、また障害給付金につきましては労働基準法に定める障害の等級に応じて定めた一万八千円から十七万八千円までの額、遺族給付金につきましては定額十五万円、葬祭給付金につきましては同様定額五千円とし、打切給付金につきましても定額十八万円といたしております。

 なお、これらの給付金を現実に支給する際には、すでに他の法令あるいは行政措置により何らかの給付を受けた者あるいは受けることができる者に対しましては、この法律による給付金の額からこれらの相当給付金額を控除した金額を支給することとした次第であります。

 さらに、この法律に基づく給付金の支給を受ける権利の認定は調達庁長官が行なうこととしたのでありますが、調達庁長官の処分に対し不服のある者は六十日以内に不服の申し立てを行なうことができることとし、再審査の方途を講じております。この再審査にあたっては被害者給付金審査会を調達庁に設置いたしまして、調査審議せしめることとし、これによって万全を期することといたしております。

 またこの法律による給付金を受ける権利の時効は三年といたしましたほか、この給付金はすべて非課税とするとともに、給付金の権利については、譲渡、担保または差し押え等の行為を禁止し、権利の保護についても十分な配慮を講じております。

 なお、遺族の順位その他手続に関する規定等必要な措置を規定し、さらに細部の必要手続については、総理府令にゆだねることといたしております。

 以上、二法律案の提案の理由及びその内容の概要を申し上げた次第であります。何とぞ慎重御審議の上、御賛成下さるようお願い申し上げます。

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第39回国会衆議院内閣委員会議録第2号11頁(昭和36年10月3日)〔藤枝泉介防衛庁長官発言・発言番号6〕 会議録 国会会議録検索システム

出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=103901005)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。