農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案
参議院 農林水産委員会
昭和38年法律第39号
審議経過
右の数字は会議の発言数衆議院農林水産委員会・農林水産委員会大蔵委員会連合審査会
- S38.2.5趣旨説明農林水産委員会 35
- S38.2.7補足説明農林水産委員会 594
- S38.2.12質疑農林水産委員会 6269
- S38.2.13質疑農林水産委員会 799
- S38.2.14質疑農林水産委員会 862
- S38.2.19質疑農林水産委員会大蔵委員会連合審査会 1235
- S38.2.20質疑・採決・附帯決議農林水産委員会 9127
- S38.2.22採決・委員長報告・附帯決議本会議 959
参議院農林水産委員会
- S38.2.5趣旨説明・補足説明・参考資料説明農林水産委員会 315
- S38.3.15質疑農林水産委員会 20182
- S38.3.19質疑農林水産委員会 21184
- S38.3.22質疑農林水産委員会 22218
- S38.3.26質疑・採決・附帯決議農林水産委員会 23233
- S38.3.27採決・委員長報告本会議 1582
- S38.5.8附帯決議本会議 1834
提案理由
津島文治 政府委員(農林政務次官) 昭和38年2月5日農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由を御説明申し上げます。
近年におきます国民経済の成長発展に伴いまして、農林漁業の構造改善をはかることがますます強く要請されておりますが、これにこたえるためには、その資金的裏づけとして、農林漁業に対する長期かつ低利な資金の融通を拡充円滑化することが特に重要となっております。このような農林漁業の体質改善をはかるための資金需要にこたえるべく、政府は従来から農林漁業金融公庫の融資ワクの拡大等に努め、特に昭和三十六年度におきましては農業近代化資金制度を創設して農業関係施設資金の供給の円滑化をはかって参ったのであります。
しかしながら、農業及び沿岸漁業の構造改善事業の実施の状況、農林漁業経営の現状等を見まするに、現行の制度金融のうちには、その貸付金利、償還期限、貸付限度額等について条件緩和を緊要とするものがあり、特に農業構造改善事業促進対策に基づく事業の実施に必要な経営近代化施設の融資については、各種の事業を総合的、計画的に、かつ短期間に実施いたします関係上、民間資金を原資とする農業近代化資金ではなく、長期低利の財政資金によるべきことが要請される等なお大幅な改善の必要が痛感されるのであります。このため、昭和三十八年度から、新たな構想のもとに、農業及び沿岸漁業の構造改善の計画的推進をはかり、農業経営及び林業経営の規模の拡大、改善と農業生産の選択的拡大を特に促進するため、これに必要な長期資金を特別に有利な貸付条件で農林漁業金融公庫から融通することを目的とする農林漁業経営構造改善資金融通制度を創設することといたしたのであります。
本制度によって融通されます資金は、農業及び沿岸漁業の構造改善事業の実施に必要な施設資金等の構造改善事業推進資金を初めとし、農業の経営規模拡大のための農地及び未墾地取得資金、農業生産の選択的拡大の方向に即応する果樹園経営改善のための果樹の植栽育成資金、乳牛または肉用牛の飼養規模を拡大して畜産経営の改善をはかるための畜産経営拡大資金、林業につきましては林業経営の改善のための森林の取得、育林に必要な資金、さらに沿岸漁業経営の近代化をはかるのに必要な沿岸漁船の整備及び沿岸漁業の協業化促進のために必要な資金が含まれておりまして、昭和三十八年度におきましては総額三百億円の融資ワクを確保することといたしております。これら資金のうちには、従来農業近代化資金制度によって貸し付けられていたものも含まれておりますが、今後は、いずれも農林漁業の構造改善の促進に特に必要なものとして、系統融資機関の資金事情等に左右されない財政資金によりまして、あとう限りの長期かつ低利の条件をもって融通することといたしたのであります。この新制度を実施するため、農林漁業金融公庫の業務の範囲を拡充し、同公庫が貸し付けます農林漁業経営構造改善資金について特別に有利な貸付条件を定めるとともに、同公庫に対する政府からの出資金を増額する等の必要がありますので、本法案を提案した次第であります。
以下、改正のおもな内容について御説明申し上げます。
第一点は、資本金の増額であります。昭和三十八年度におきまして、農林漁業金融公庫は、ただいま申し上げました農林漁業経営構造改善資金三百億円を特に低利に貸し付けることとしておりますほか、その他の農林漁業の生産基盤の強化等に必要な資金についても農林漁業施策に即応して融通の拡充円滑化をはかることとし、総額では前年度に比較して百六十億円増の八百七十億円の貸付決定を行なう予定であります。新制度の実施によります低利資金の融通とこの貸付ワクの増加とに伴いまして、政府は、昭和三十八年度におきまして、一般会計及び産業投資特別会計から二百二十億円を出資することとしておりますので、現行の資本金に関する規定を改正することといた
したのであります。
第二点は、公庫の業務の範囲を拡充することであります。農林漁業経営構造改善資金の融通を行ないますには、公庫の貸し付け得る資金の範囲を拡大する必要がありますので、公庫の業務の範囲に関する規定を改正することといたしたのであります。すなわち、従来農業近代化資金によることとされておりました農業構造改善事業推進資金を新たに公庫が特別の貸付条件で融通すること及び畜産経営の拡大のために必要な資金の貸付の道を開くことに伴いまして、果樹以外の永年性植物の植栽資金及び家畜の購入資金を公庫が貸し付け得るようにすることとし、果樹園経営の改善のための資金として新たに果樹の育成に必要な資金の貸付を公庫の業務に加えますとともに、従来自作農維持創設資金融通法によって農地または採草放牧地に限って特に公庫が貸し付け得るものとされておりました土地取得資金を、今回新たに農地または採草放牧地として利用するために必要な未墾地の取得資金をも含めて、公庫の本来の貸付業務に加えることとしております。
第三点は、農林漁業経営構造改善資金につきまして特別の貸付条件を定めることであります。従来公庫の貸付金の利率、償還期限及び据置期間は、特別な資金を除いては、法律で定められた限度の範囲内で公庫が定めることとされておりましたが、今回この貸付条件に関する規定を改正いたしまして、公庫の貸付金のらち新制度に基づいて融通される資金を特に他の一般の資金と区分し、これにつきまして一般の資金とは異なる特別の貸付条件を定めることといたしたのであります。これを具体的に申しますと、まず、農業構造改善事業推進資金は、従来年六分五厘の農業近代化資金によってまかなわれていた施設資金、家畜購入資金、果樹その他永年性植物の植栽資金について、年三分五厘という画期的な低利率を定めるとともに、その貸付期間も、農業近代化資金では果樹の植栽資金については十五年以内、その他の資金については最長十二年でありましたものを、果樹植栽資金の場合は二十五年以内、その他の資金の場合は二十年以内といたしております。沿岸漁業構造改善事業推進資金につきましても、漁船その他の施設の改良、造成、取得等に必要な資金については、農業の場合と同様、利率を年三分五厘といたしております。この貸付条件によりまして、構造改善事業の計画的推進と関係農漁民の負担の軽減に資することができるものと考えております。
次に、農地及び未墾地の取得資金並びに森林の取得資金は、農林業経営の規模の拡大を促進するため、年四分五厘とするとともに、貸付期間を二十五年以内とし、ざらに農業構造改善事業と関連する農地等の取得の場合には、利率を特に年四分とし、この面からも農業構造改善事業の円滑な推進をはかることといたしました。
また、農業経営の改善合理化にあわせて農業生産の選択的拡大の促進をはかるため、新制度資金として取り扱うことといたしました果樹園経営改善資金及び畜産経営拡大資金につきましては、従来の公庫資金または農業近代化資金よりも利率を年一分ないし五厘引き下げるとともに、畜産経営拡大資金については、家畜購入資金と施設資金とのセット融資により、従来農業近代化資金では十二年以内であった貸付期間を十五年以内に延長し、さらに沿岸漁船の整備、沿岸漁業の協業化の促進のための資金につきましても、従来の公庫融資より利率を年一分引き下げることといたしております。
なお、本制度の実施にあたりましては、貸付限度額の引き上げ、行政庁による指導の強化等により、その効果の発現に万全を期することとしておりますほか、これと関連いたしまして、公庫の資金融通の円滑化に資するため、公庫が農地等を担保に徴する場合に、その担保評価額を引き上げるとともに、別途農地法に基づく農林省令を改正いたしまして、その担保権実行の際、公庫がみずから競落人となって担保に徴した農地等を取得し得る道を開くようにし、農地等の担保力の活用をはかって参りたいと考えております。
以上がこの法律案の提案の理由及びおもな内容であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決下さいますようお願いいたします。
第43回国会衆議院農林水産委員会議録第3号5頁(昭和38年2月5日)〔津島文治政府委員発言・発言番号3〕 会議録 国会会議録検索システム
附帯決議
(案)政府は、農林漁業の構造改善事業が真に農林漁業者のものとなるよう、農林漁業者の側の呼応態勢の確立、国の責任態勢の明確化を図るために、引き続き法制上、財政上前進の姿勢をもって各般の措置の整備を図るは勿論、就中、構造改善事業の前提となる農畜水産物価格安定対策の確立、流通機構の整備、消費の拡大等に関し格段の努力を傾倒すべきである。なお、当面の融資制度に関しては、左記の各項に関し遺憾なく措置すべきである。記
一農林漁業経営構造改善資金等農林漁業の近代化に必要な長期低利資金が計画的かつ十分に確保できるよう、今後とも公庫に対する政府出資を大巾に増額すること。
二農地担保金融については、いやしくも現行農地制度の基本理念にもとることのないよう厳正にその運用を図ること。
三自作農維持資金、林業経営維持改善資金及び沿岸漁業者経営安定資金についても、農地及び森林等の取得資金に準じそれぞれその貸付条件を改善するよう検討すること。
四農林漁業経営構造改善資金制度の創設以前に事業に着手した農業及び沿岸漁業の構造改善地域が融資の面において不利益をこおむることがないよう、適切な措置を講ずること。
五農林漁業者等に対し資金が貸付けられた後において、資金融通の所期の目的が達成され償還が確保できるよう、改良普及組織の活用等、格段の創意工夫をこらし農林漁業者の経営指導等について万全を期すること。
六農林漁業に関する制度金融が極めて複雑多岐にわたっている現状にかんがみ、制度の単純化、金利体系の再調整、借入手続の簡素化等について根本的に再検討を加えること。
七農林漁業の振興と農山漁家の生活文化の向上を図ることを目的とする団体が連けい式小規模水力発電事業を行なうことができることとし、これに必要な資金について公庫からの貸付ができる途をひらくよう可及的速やかな機会に所要の措置を講ずること。
政府は、次の事項について万全を期すべきである。
一農林漁業に関する金融制度のきわめて複雑な現況にかんがみ、速かにこれを簡素効率的ならしめるよう、抜本的改善措置を講ずること。
二農林漁業資金について、可及的長期低利の資金が充分に確保されるよう、公庫に対する政府の出資を大巾に増額すること。
三農林漁溝経営構造改善資金に関し、農業及び沿岸漁業構造改善事業推進資金以外の資金についても、これら事業推進資金に準じ、それぞれ、その貸付条件の緩和改善に努めること。
出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=104301030)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。