労働災害の防止に関する法律案
衆議院 社会労働委員会
昭和39年法律第118号
審議経過
右の数字は会議の発言数衆議院社会労働委員会
- S39.2.11趣旨説明社会労働委員会 766
- S39.5.12質疑社会労働委員会 4067
- S39.5.19質疑社会労働委員会 4381
- S39.5.26質疑社会労働委員会 4696
- S39.6.2質疑社会労働委員会 4948
- S39.6.9質疑・修正案・修正案趣旨説明・採決(修正)社会労働委員会 52111
- S39.6.11委員長報告・修正案・採決(修正)本会議 3545
参議院社会労働委員会
- S39.3.12趣旨説明社会労働委員会 1264
- S39.6.11質疑社会労働委員会 3269
- S39.6.16議案(衆議院修正部分)社会労働委員会 3351
- S39.6.23質疑・採決社会労働委員会 3472
- S39.6.25委員長報告・採決本会議 3165
提案理由
大橋武夫 労働大臣 昭和39年2月11日ただいま議題となりました労働災害の防止に関する法律案につきまして、その提出理由及び概要を御説明申し上げます。
労働災害の防止につきましては、従来から労働基準法その他労働者の安全衛生に関する法令の実施を通じ、鋭意努力を重ねてきたところであります。殊に昭和三十三年八月以降におきましては、産業災害防止対策審議会の答申の趣旨に沿って、産業災害防止総合五ヵ年計画のもとに国民運動を展開いたし、これによって災害発生率はかなり低下いたしたのでありますが、他面、その間における雇用労働者の著しい増加等の事情もありまして、いまだ絶対数として相当多くの労働者が災害の犠牲となっており、かつ、重大災害の発生も見られる実情にあるのであります。
かかる実情にかんがみまして、わが国産業の進展に伴う労働災害の発生状況に対処するために、この際政府といたしましては、労働基準法等の施行と相まって、総合的かつ計画的な労働災害防止対策を講じますことはもちろん、特に民間の緊密な協力によってこの対策を一そう推進いたしたいと存じまして、労働災害の防止に関する法律案を第四十三回通常国会に提案いたしたのであります。同国会では、衆議院においては、政府原案どおり可決されたのでありますが、参議院において審議未了となりました。同国会における審議経過等にかんがみ、若干の修正を施した上、これを第四十四回臨時国会に提案いたしたのでありますが、最近における労働災害の発生状況にかんがみ、これを防止する対策を一層推進する必要が痛感せられ、そのため、この法律案に基づく措置を早急にとることが必要と考えられますので、これと同内容のものを、ここに重ねて提案いたした次第であります。
次に、この法律案の概要を御説明申し上げます。
第一に、政府は、労働災害の防止のための計画を作成し、かつ、これを公表し、関係各方面と協力して、労働災害の防止につとめることとしたことであります。
第二に、この労働災害防止計画に沿う事業主の自主的な労働災害防止活動を促進するため、労働災害の防止を目的とする事業主等の団体について定めるとともに、これらの団体に対して政府の助成措置を講ずることとしたことであります。
この法律による労働災害の防止を目的とする団体といたしましては、全産業的なものとして中火労働災害防止協会、特に労働災害の発生率が高い業種に設立されるものとして労働災害防止協会があり、それぞれ、その設立、業務、管理等について所要の準則を定めているわけであります。
これらの労働災害防止団体は、労働災害の防止に関する技術的な事項について、安全管理士及び衛生管理士をして、事業主等に対する指導及び援助を行なわせるほか、中央労働災害防止協会にあっては、事業主、事業主の団体等の行なう労働災害防止活動を促進すること、労働災害の防止に関する教育及び技術的援助のための施設を設置し、運営すること、その他労働災害の防止に関し必要な事項を全産業的規模において行なうこと、業種別の労働災害防止協会にあっては、特に当該業種の労働災害の防止に関して、労働災害防止規程を設定することを、それぞれ主要な業務といたしております。
右の労働災害防止規程は、労働災害防止協会の構成員であります事業主が、労働災害の防止のために措置すべき事項について、労働大臣の認可を得て定めるものでありまして、これによって、法令の定める基準を、当該業種の実態に即して具体的に補充し、労働災害防止措置の改善向上を行なうことを趣旨とするものであります。
なお、労働災害防止団体には、労働災害の防止に関し、学識経験を有する者を参与として置くことにより、その行なう業務の適正な運営を確保することを期しております。
以上の労働災害防止団体に対しましては、労災保険特別会計の予算の範囲内におきまして、その業務に要する費用の一部を補助することといたしております。
第三に、請負関係にある事業等につきまして特別の規制措置を講ずることとしたことであります。
すなわち、労働基準法等従来の安全衛生に関する法令におきましては、個個の使用者と労働者との関係について、労働災害の防止に関し所要の規定を設けているのでありますが、建設業等に多く見られるように、請負関係にある数個の事業が同一の場所において同時に行なわれる場合につきましては、これらの事業の労働者が同一の場所で作業することから生ずる労働災害の防止に関しまして、特別な規制を行なう必要があるのであります。そこで、この法律におきましては、これら請負関係において最も上位にある元方事業主等に対し、統轄的な安全御生管理の措置、下請負人の労働者に使用させる建設物、設備等について必要な労働災再防止措置等を講ずる義務を課するとともに、関係請負人及び労働者も一定の義務を負うべきこととしたのであります。
そのほか、労働災害発生の急迫した危険があり、かつ、緊急の必要があるときは、都道府県労働基準局長は、必要な限度において、使用者に対して作業の一時停止等の措置を命ずることができることとして、労働災害の防止に万全を期することとしたのであります。
以上がこの法律案の主要な内容でありますが、このほか、国家公務員、地方公務員、船員、鉱業等についての適用範囲ないし特例に関する規定及び所要の罰則を設けるとともに、附則におきまして、この法律の制定に伴う所要の経過措置等を定めることといたしております。
以上が本法律案を提案するに至った理由及びその概要であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛同あらんことをお願い申し上げます。
第46回国会衆議院社会労働委員会議録第7号9頁(昭和39年2月11日)〔大橋武夫労働大臣発言・発言番号3〕 会議録 国会会議録検索システム
出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=104601006)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。