TaiLexi AI日本の判例・法令
国会審議›第48回国会›閣法第2号
閣法第48回国会 第2号成立修正あり

厚生年金保険法の一部を改正する法律案

昭和40年法律第104号 厚生年金保険法の一部を改正する法律
提出昭和39年12月21日 内閣
付託参議院 社会労働委員会
衆議院 社会労働委員会
成立
昭和40年法律第104号
審議会議 13回・発言 1,056(政府答弁等 454)

審議経過

右の数字は会議の発言数

衆議院社会労働委員会

  1. S40.3.17趣旨説明社会労働委員会 7115
  2. S40.4.15質疑社会労働委員会 2039
  3. S40.4.21質疑社会労働委員会 2183
  4. S40.4.22質疑社会労働委員会 22131
  5. S40.4.27質疑社会労働委員会 24123
  6. S40.4.28質疑社会労働委員会 25166
  7. S40.4.30質疑社会労働委員会 26167
  8. S40.5.7委員長報告・修正案・採決(修正)本会議 4152
  9. S40.5.7質疑・修正案・修正案趣旨説明・附帯決議・採決(修正)社会労働委員会 27141
  10. S40.6.1附帯決議本会議 1
  11. S40.6.1参議院回付案・参議院回付案同意本会議 5330

提案理由

神田博 厚生大臣 昭和40年3月17日

ただいま議題となりました厚生年金保険法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由を御説明申し上げます。

 厚生年金保険は、昭和十七年に発足して以来今日まで二十有余年を経過し、千七百万人にのぼる民間被用者を包含する年金制度でありますが、現行の給付体系、すなわち定額部分と報酬比例部分の二本建てによる年金納付の体系が整えられたのは、昭和二十九年の改正によるものであります。その後昭和三十五年には、給付及び保険料について若干の手直しを加えたのでありますが、この改正がきわめて幅の小さいものであったため、厚生年金保険の給付水準は、昭和二十九年以後の著しい経済成長、これに伴う生活水準の大幅な上昇に取り残され、労働者の老後の生活を保障するものとしてははなはだ不十分な状態に置かれているのであります。また年金財政をまかなうため労使が負担する保険料率も、他に例を見ない低い水準のまま推移しているのであります。

 以上のような事情にかんがみ、本年度は保険料率再計算の時期でもあるところから、政府としてはこの機会に今日までの経済成長、生活水準向上の実態に即して厚生年金保険の大幅な改正をはかることが適当と考え、一昨年以来準備を進めてまいったのであります。今回の改正の主旨とするところは、まず何よりも、人口老齢化の趨勢がいよいよ明確化し、年金受給者も増加して厚生年金保険が成熟期を迎えようとする時期において、労働者の老後の生活を保障するに足る老齢年金として平均月額一万円年金を実現することを中心として、制度の内容を大幅に改善し、これに伴う所要の調整を加えるとともに、給付の引き上げ、賃金水準の上昇に応じて、保険料負担についても適正な水準にまで引き上げようとするものであります。同時に、最近普及しつつある企業年金と改正後の厚生年金との機能や負担の競合を調整し、老後の生活保障を企業の協力により一そう充実強化し得るよう、両者の調整を労使の合意によって行なう道も開くこととしたのであります。

 以下、改正法案のおもな内容につきまして逐次御説明申し上げます。

 第一に、基本年金額の引き上げについてであります。

 まず、定額部分につきましては、現行の月額二千円を五千円に引き上げ、さらに被保険者期間二十年以降三十年までは一年につき二百五十円を加算することとし、これによって三十年では月額七千五百円となるようにいたしております。

 また、報酬比例部分については、現行の平均標準報酬月額に被保険者期間一月当たり乗ずる率千分の六を千分の十に引き上げることにいたしております。

 第二に、老齢年金の支給につきまして、現行では退職しない以上は年金が支給されない仕組みとなっておりますのを、高齢労働者の生活安定の趣旨に沿って若干緩和することとし、六十五歳に達したときは在職中でも老齢年金の八割相当額を支給することとしております。

 第三に、障害年金及び障害手当金の額の引き上げについてであります。一級障害年金につきましては、現行の基本年金額に月額千円を加算する方式を改め、基本年金額の百分の百二十五相当額に引き上げ、一級障害年金につきましては、現行の基本年金額の百分の七十を百分の七十五に引き上げるほか、さらに月額五千円の最低保障を設けることとし、また、障害手当金につきましては、現行の基本年金額の百分の百四十を百分の百五十に引き上げることといたしております。

 第四に、遺族年金につきましては、妻についての年齢制限及び若年停止を撤廃し、さらに年金額については月額五千円の最低保障を設けたことであります。

 第五に、任意継続被保険者について、新たに被保険者期間中の軍政に基づく障害年金、障害手当金及び遺族年金を支給することとしたことであります。

 第六に、年金額の調整についてであります。

 年金の額は、国民の生活水準その他の諸事情に署しい変動が生じた場合には、すみやかに変動後の諸事情に応ずるための調整が加えられるべきものとしたことであります。

 第七に、標準報酬につきましては、最近の賃金水準の上昇等の実情に即し、現行の三千円から三万六千円までの二十等級を、七千円から六万円までの二十三等級に改めたことであります。

 第八に、保険料率の引き上げについてであります。

 今回の給付の大幅改善に伴い、保険料の負担につきましても、相応に増加すべきことはやむを得ないところでありますが、厚生年金保険におきましては、従来いわゆる修正積み立て方式のたてまえをとっており、五年ごとに再計算することとして暫定的な料率を採用しておりますが、今回もこの方式を踏襲いたし、急激な負担の増大を避けるため、とりあえず第一権被保険者(一般男子)については、現行の千分の三十五を千分の五十八に、第二種被保険者(女子)については、現行の千分の三十を千分の四十四に、第三種被保険者(坑内夫)については、現行の千分の四十二を千分の七十二に、第四種被保険者(任意継続被保険者)については、現行の千分の三十一五を千分の五十八にそれぞれ引き上げ、さらにこれらの料率については、将来にわたって段階的に引き上げていくこととしたのであります。

 第九に、既裁定年令の引き上げについてであります。

 現に支給中の年金が、所得保障の趣旨から見て著しく低水準にあるところから、既裁定年金につきましても今回の改正方式を適用いたし、改正後の計算例によってこれらの年金額を大幅に引き上げることといたしております。

 第十に、旧陸軍工廠の工員などの旧令共済組合員であった期間を厚生年金の被保険者期間に算入し、通算老齢年金に準じた特例老齢年金を支給することとしたことであります。

 第十一に、厚生年金の老齢年金及び通算老齢年金のうち、報酬比例部分につきましては、民間職域において設立されたいわゆる企業年金で一定の要件を備えるものについては、申請により厚生年金基金を設けてその代行給付を行なう道を開いたことであります。

 厚生年金基金は、事業主及び被保険者で組織される特別法人とし、一定数の被保険行を使用する事業主がその被保険者の二分の一以上の同意を得て規約をつくり、厚生大臣の認可を受けて設立することとなりますが、その行なう事業は、厚生年金の給付のうち、老齢年金及び通算老齢年金の報酬比例部分の代行として少なくともそれを上回る額の年金給付を行なうほか、任意給付として、死亡または脱退に関して一時金の支給を行なうことができるものとしております。

 また、厚生年金基金は、信託会社または生命保険会社と給付の支給目的として、信託または保険の契約を締結しなければならないほか、その事業に要する費用に充てるため、掛け金を徴収することとしたのであります。

 なお、国庫は、年金給付に要する費用のうち、老齢年金及び通算老齢年金の報酬比例分相当額に要する費用の一五%(坑内夫たる加入員期間に対応する部分についで、は、二〇%)を負担することといたしております。

 第十二に、厚生年金基金は厚生年金基金の中途脱退者にかかる年金給付を共同して行なうため、厚生年金基金連合会を設立することができることといたしております。

 最後に、実施の時期につきましては、諸般の準備等もあり、主たる部分については、昭和四十年五月一日からといたしております。

 以上が、この法律案の提案理由でありますが、何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことを望みます。

第48回国会衆議院社会労働委員会議録第7号33頁(昭和40年3月17日)〔神田博厚生大臣発言・発言番号9〕 会議録 国会会議録検索システム

附帯決議

衆議院 社会労働委員会昭和40年5月7日

政府は、厚生年金保険制度の改善拡充に一層努力し、特に左記事項については特段の考慮を払い、早急に適切な措置を講ずるべきである。記

一年金に対するスライド方式の確立については、その具体的方式を検討するため、審議会等により、なるべく速やかに結論を出す措置を講ずること。

二定額部分の増大については、今後一層努力すること。

三五人未満事業所に対する厚生年金保険の適用については、改正法公布後二年を超えない期間内に立法化を図るよう努力すること。なお、日雇労働者に対しては、その雇用の実態を勘案し、これが適用についても速やかに検討すること。船員保険法の一部を改正する法律案に対する附帯決議政府は、船員保険制度の改善拡充に一層努力し、特に左記事項については特段の考慮を払い、早急に適切な措置を講ずるべきである。記

一年金に対するスライド方式の確立については、その具体的方式を検討するため、審議会等により、なるべく速やかに結論を出す措置を講ずること。

二年金の定額部分の増大については、今後一層努力すること。以上の附帯決議をそれぞれ両案に付したいと存じますが、これに賛成の諸君の起立を求めます。〔賛成者起立〕

参議院 社会労働委員会昭和40年6月1日

まず、その案文を朗読いたします。厚生年金保険法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案政府は、厚生年金保険制度の改善拡充に一層努力し、特に左記事項については特段の考慮を払い、早急に適切な措置を講ずべきである。記

一年金に対するスライド方式の確立については、なるべく速やかに結論を出す措置を講ずること。

二定額部分の増大については、今後一層努力すること。

三五人未満事業所に対する厚生年金保険の適用については、改正法公布後二年を超えない期間内に立法化を図るよう努力すること。なお、日雇労働者に対しては、その雇用の実態を勘案し、これが適用についても速やかに検討すること。

出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=104801002)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。