精神衛生法の一部を改正する法律案
参議院 社会労働委員会
昭和40年法律第139号
審議経過
右の数字は会議の発言数衆議院社会労働委員会
- S40.3.18趣旨説明・質疑本会議 1932
- S40.3.25趣旨説明社会労働委員会 11126
- S40.5.17参考人招致社会労働委員会 33195
- S40.5.18委員長報告・修正案・採決本会議 4675
- S40.5.18質疑・修正案・附帯決議・修正案趣旨説明・採決(修正)社会労働委員会 34224
- S40.6.1附帯決議本会議 1
参議院社会労働委員会
- S40.5.19趣旨説明・衆議院修正部分趣旨説明・議案(衆議院修正部分)社会労働委員会 2186
- S40.5.25質疑社会労働委員会 22112
- S40.6.1委員長報告・採決本会議 2492
- S40.6.1附帯決議本会議 1
- S40.6.1質疑・採決・附帯決議社会労働委員会 2376
提案理由
神田博 厚生大臣 昭和40年3月18日精神衛生法の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明申し上げます。
精神衛生施策は、近年とみにその重要性を加えてまいったのでありますが、最近における向精神薬の開発等精神医学の格段の発達とも相まって、必ずしも現行精神衛生法は新しい事態に即応し得なくなってまいったのであります。したがいまして、政府といたしましても、精神障害者に関する発生予防から社会復帰までの一貫した施策をその内容とする法改正をかねがね準備中のところ、その機運が熟してまいったため、今回精神衛生法の一部改正を行なおうとするものであります。
改正の第一点は、都道府県が精神衛生センターを設置することができることとした点であります。従前、都道府県等は、精神衛生に関する相談指導等を行なうための施設として、主として保健所に精神衛生相談所を併設していたのでありますが、この程度のものでは、とうてい現下の精神衛生施策の進展に即応するものとはいえませんので、今回これを廃止し、別に新たに都道府県における精神衛生に関する総合的技術センターたる精神衛生センターを設けて、知識の普及、調査研究を行なうとともに、保健所が行なう精神障害者に関する訪問指導について技術援助を行なおうとするものであります。
改正の第二点は、警察官、検察官等の精神障害者に関する申請通報制度を整備することにより、精神障害者の実態を把握し、都道府県知事が行なう入院措置に遺漏なからしめるとともに、その医療保護に万全を期することとした点であります。
改正の第三点は、新たに緊急の場合における措置入院制度を設けた点であります。精神障害者は、その疾病の特質上、間々自傷他害の著しい症状を呈することがあり、社会公安上及び本人の医療保護のためゆゆしい問題を生じますので、都道府県知事は、精神衛生鑑定医の診察を経た上で、四十八時間を限り、これを緊急入院させ得ることとしたのであります。
改正の第四点は、向精神薬の著しい開発等精神医学の発達により、精神障害の程度のいかんによっては必ずしも入院治療を要せず、かえって通院による医療を施すことがきわめて効果的となった事情にかんがみ、精神障害者につき、新たにその通院に要する医療費の二分の一を公費負担することとした点であります。
改正の第五点は、在宅精神障害者に関する訪問指導体制の充実をはかった点であります。そもそも在宅精神障害者の把握とその指導体制の整備は、精神衛生施策の展開をはかる上できわめて緊要なことでありまして、第四点の通院医療費の公費負担制度の新設と表裏一体の関係にあり、今回の法改正の主要点をなすものであります。この見地から、新たに保健所の業務として、地域における精神障害者の訪問指導等を加え、また、保健所にもっぱら精神衛生に関する相談、指導等に当たる職員を配属し、その実をあげることとしたのであります。
改正の第六点は、最近における施設の整備状況等にかんがみ、従来認められていた精神障害者の私宅監置制度たる保護拘束制度を廃止し、それらの患者はすべて精神病院に収容することとして、その医療保護に遺憾なきを期することとしたのであります。
以上をもって、この法律案の趣旨の説明を終わります。
次に、母子保健法案について、その趣旨を御説明申し上げます。
政府は、かねてより児童福祉行政の一環として妊産婦、乳幼児の保健指導等の母子保健対策を講ずることにより、その健康の保持増進につとめてまいったところでありますが、先進諸国に比べて、わが国の妊産婦死亡率はいまだに高率にとどまり、また、戦後著しく改善向上を見た乳幼児の死亡率、体位、栄養状態等についても、その地域格差が依然として縮小されない等、なお努力を要する課題が残されております。
このような状況にかんがみ、今後、母子保健の向上に関する対策を強力に推進してまいりますために、健全な児童の出生及び育成の基盤ともなるべき母性の保護のための措置を講ずるとともに、乳幼児が健全な成長を遂げる上で欠くことのできない保健に関する対策の充実強化をはかる必要があると考え、この法律案を提出した次第であります。
次に、母子保健法案の内容について、その概略を御説明申し上げます。
最初に、この法律案におきましては、母子保健に関する原理として、健全な児童の出生及び育成の基盤ともなるべき母性の保護及び尊重並びに心身ともに健全な人として成長してゆくための条件ともなるべき乳幼児の健康の保持増進がはかられるべきことを明らかにするとともに、国及び地方公共団体は、母性及び乳幼児の保護者とともに、母性及び乳幼児の健康の保持増進につとめるべきことを明確にいたしております。
次に、母子保健の向上に関する措置の第一として、母子保健に関する社会一般の知識の啓発及び従来児童福祉法において都道府県知事または保健所長の事務とされておりました妊産婦、乳幼児の保健指導、健康診査、新生児の訪問指導等につきましては、今回これを市町村長が行なうべき事務とすることにより、母子保健事業が住民により密着した行政として一そうその効果が期待できるように配意するとともに、いわゆる未熟児に対する訪問指導及び養育医療については、その事業の特殊性にかんがみ、都道府県知事または保健所長において行なうようにいたしております。
第二に、妊産婦及び乳幼児に対する栄養の摂取に関し、市町村が必要な援助につとめることを規定いたしております。
第三に、妊娠または出産に支障を及ぼすおそれのある疾病にかかる医療についての妊産婦に対する援助でありますが、これは妊娠中毒症対策を中心とする母体または胎児の保護のために必要な援助につき都道府県が努力すべきことを明らかにしたものであります。
最後に、母子保健施設に関する規定でありますが、これは、従来から、市町村における母子保健事業の拠点として重要な役割りを果たしております母子健康センターについて、市町村がその設置に努力すべきことといたしております。
以上が、母子保健法案の趣旨でございます。(拍手)
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精神衛生法の一部を改正する法律案(内閣提出)及び母子保健法案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
第48回国会衆議院会議録第19号5頁(昭和40年3月18日)〔神田博厚生大臣発言・発言番号17〕 会議録 国会会議録検索システム
附帯決議
精神衛生法の一部を改正する法律案に対する附帯決議わが国の精神障害者対策が諸外国に比し、著しく遅れている現況にかんがみ、精神衛生審議会の答申を尊重し、今後早急にこれが改善をはかり、精神障害者の福祉の増進を期すべきである。政府は、とくに次の点については格段の努力をなすべきである。
一精神障害の定義については、更に検討すべき点があると思われるので、これにつき結論を出すこと。
二措置入院患者以外の入院忠君及び外来患者に対しても、速やかに医療費保障の実現を図ること。
三精神障害者の社会復帰促進のための訓練、療法を施す施設を設置すること。
四精神衛生鑑定医制度については、速やかに意見の調整をはかり、所要の改善に努めること。
五通報制度の拡大については、その運用にあたり適切を欠くことなきよう一層の慎重を期すること。
出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=104801085)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。