閉鎖機関令等の規定によってされた信託の処理に関する法律案
衆議院 大蔵委員会
昭和40年法律第85号
審議経過
右の数字は会議の発言数提案理由
平島敏夫 議員(発議者) 昭和40年5月11日(平島敏夫君) ただいま議題となりました閉鎖機関令等の規定によってされた信託の処理に関する法律案につきまして、提案の理由を発議者として御説明申し上げます。
終戦に伴い、閉鎖機関令により、その本邦内における業務を停止し、また、その本邦内にある財産の清算をすべきものとして指定された閉鎖機関につきましては、最初は閉鎖機関整理委員会、その後は特殊清算人より清算が進められてきたのでありますが、債権者の所在不明等の理由で、いつまでも特殊清算を結了できないでいる閉鎖機関につきましては、昭和二十九年五月の閉鎖機関令の一部改正により特殊清算人が債権者のために弁済すべき財産を信託することによって、その債務を免れる道が開かれたのであり、この信託をすることによって、その後は、その信託の受託者から、債権者に対する支払いの事務が続行されて来たのであります。これらの債務のうち、役職員の給与、賞与、強制貯蓄金、積み立て金、退職手当等に関しましては、昭和三十八年に至り戦傷病者戦没者遺族等援護法の一部改正及び戦傷病者特別援護法の制定により一定の条件下で満鉄等の職員が軍人軍属としてこれらの法律の適用対象とされ、また、恩給法等の一部改正により満鉄その他の外国特殊法人における一定の在職期間が恩給及び公務員関係共済年金各法による年金の基礎としての期間に算入されることとなり、これに伴い、これらの法律適用上の経歴確認を機として従来不明であった役職員の所在も次第に判明してきているのであります。ところが、信託契約では、当該信託行為の定めるところにより、その存続期間の満了の近いものがあり、残余の短時日では、現に判明している債権者に対しても、また今後判明してくる見込みの債権者に対しても、弁済を完了することは手続的に不可能なことが予想されるのであります。
一例をあげますと、満鉄関係で現在所在のはっきりしておりますところの退職手当の支払いを受ける権利のある者でまだ未払いの者が二万五千人ばかりあるわけであります。
他方、これらの信託契約におきましては、その存続期剛の満了の際に債権者に対する支払いができないため残っている財産は国庫に帰属する旨を定めており、国もその利益享受の意思表示をして権利は発生しているのでありますが、この権利は本来積極的な理由により国に発生したものではありませんので、前に述べました事情と考え合わせますと、信託の受託者においてその意向がある限りは、なおしばらくは引き続き信託事務を行なわせ、それでも支払いを終わらなかったものについて国庫に帰属させることとするのが適当だと思われます。また、閉鎖機関令による信託のうちには右に述べました給与等以外の債権のものもありますが、これを形式上区分することは困難であるほか、終戦に伴う混乱のために弁済を受けることができないでいる債権者を特に除外するのも一不適当と考えるので、同様の扱いとし、さらに旧日本占領地域に本店を有する会社の本邦内にある財産の整理に関する政令の規定による信託に関しても、同様の事情があるので、同様とするのを相当と考えます。ところが、この措置を講ずるには、財政法第八条の規定により、法律を必要としますので、ここにこの法律案を提出することとなった次第であります。
以上がこの法律案の提案の理由であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。
第48回国会参議院大蔵委員会会議録第26号1頁(昭和40年5月11日)〔平島敏夫議員発言・発言番号3〕 会議録 国会会議録検索システム
出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=104803016)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。