中小企業近代化資金助成法の一部を改正する法律案
衆議院 商工委員会
昭和41年法律第27号
審議経過
右の数字は会議の発言数衆議院商工委員会
- S41.3.1趣旨説明商工委員会 950
- S41.3.22質疑商工委員会 1782
- S41.3.23質疑商工委員会 18255
- S41.3.25質疑商工委員会 19170
- S41.3.29委員長報告・採決・附帯決議本会議 3349
- S41.3.29質疑・採決・附帯決議商工委員会 20157
提案理由
三木武夫 通商産業大臣 昭和41年3月1日ただいま提案になりました中小企業近代化資金助成法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及びその概要を御説明申し上げます。
政府におきましては、従来より、わが国経済における中小企業が占める地位の重要性にかんがみまして、中小企業近代化資金助成法に基づき、工場、店舗の集団化等中小企業構造の高度化に必要な資金、中小企業者の設備の近代化に必要な資金の貸し付け制度を設け、中小企業の近代化の推進につとめてきたところであります。
ところで、工場、店舗の集団化等を行なうことは、中小企業者にとってきわめて大きな事業でありまして、資金操り面に困難を来たしている状態にありますので、これを緩和ずるため、中小企業高度化資金の貸し付け条件等について、助成内容の一そうの充実をはかることが必要であります。また、中小小売り商業の近代化を積極的に推進するためには、従来の制度に加え、新たに、小売り商業連鎖化事業を行なおうとする者に対して、資金面の助成を行なうことが必要であります。
次に、従来の資金貸し付け制度におきましては、中小企業者の自主的な事業の実施と、必要な資金の調達とを前提としておりましたが、それらの能力に乏しい中小企業者、とくに小規模の企業者にとりましては、これらの制度を利用することが困難な面があり、それらの近代化が立ちおくれているうらみがあります。そこで、政府といたしましては、これらの小規模企業者等の工場の集団化、及び設備の近代化を強力に推進するため、従来の資金貸し付け制度による助成措置に加え、新たに施設の譲渡または貸し付け等の物的な貸与制度による助成措置を設ける必要があると考えるものであります。
さらに、従来、中小企業構造の高度化の推進は、主として資金の助成により行なってまいりましたが、これを円滑に推進するためには、中小企業の自己資金の蓄積が強く要請されるところであります。かかる観点から、中小企業の組合が構造改善事業を進めるための資金を積み立てる場合には、新たに税制上の優遇措置を講ずる必要があると考えるものであります。これにより、資金の助成と税制上の優遇とを車の両輪として、今後、中小企業の構造高度化が一そう強力に推進されるものと考えております。
以上のような趣旨に基づきまして、今回、中小企業近代化資金助成法の一部を改正しようとするものでありますが、その概要は次のとおりであります。
第一は、中小企業高度化資金貸し付け制度のうちに、新たに小売り商業連鎖化資金貸し付け制度を設け、事業協同組合等の行なう小売り商業連鎖化事業を助成の対象とすることにしたことであります。
第二は、中小企業高度化資金の償還期間を七年から十年に、中小企業高度化資金及び中小企業設備近代化資金のうち公害防止施設にかかる貸付金の償還期間を九年から十二年に延長するとともに、個別組合員に対する工場等集団化資金の貸し付け対象に、事業の共同化に著しく寄与する設備を追加することにしたことであります。
第三は、中小企業共同工場貸与制度を新たに設けまして、都道府県が事業協同組合等に対し、小規模企業者の工場集団化に資するための共同工場を貸与する場合に、その都道府県に対し、国が所要資金の一部を貸し付けることができることとするほか、中小企業共同工場貸与事業に関し、必要な規定を設けることとしたことであります。
第四は、中小企業設備貸与制度を新たに設けまして、中小企業の近代化に著しく寄与する設備の貸与事業を行なう公益法人に対し、都道府県が、中小企業設備近代化資金を貸し付けるとともに、中小企業金融公庫が長期資金を貸し付けることができることとし、あわせて中小企業設備貸与事業に関し、必要な規定を設けることとしたことであります。
第五は、事業協同組合等が行なう中小企業構造改善事業について、政府が承認する規定を新たに設け、この承認に基づいて構造改善事業を行なう場合には、法人税または所得税の課税について、特別の措置を講ずることとしたことであります。
最後に、以上の改正に伴いまして、本法律の題名を中小企業近代化資金等助成法に改めるとともに、目的の一部を改めることとしたことであります。
以上が、この法律案の提案理由及びその概要であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛同くださいますようお願いを申し上げます。
第51回国会衆議院商工委員会議録第9号3頁(昭和41年3月1日)〔三木武夫通商産業大臣発言・発言番号2〕 会議録 国会会議録検索システム
附帯決議
政府は、本法の施行にあたり、左の事項につき必要な措置を講ずべきである。
一小売商業連鎖化に対する助成にあたっては、零細小売商の切捨てとなることのないよう運用するとともに、助成対象とならない連鎖化事業に対しても必要な指導を行なうこと。
二機械貸与機関が貸与する機械から当分の間建設業用機械を除くこと。
三企業組合が中小企業構造改善事業を行なう場合も本法による課税の特例と同様の優遇措置が受けられるよう早急に措置すること。以上が案文でございます。三案の趣旨説明を行なうにあたり、中小企業政策実施の基本姿勢について、一言政府に要求いたします。わが国経済の安定的発展を達成するためには、すみやかに中小企業の革新的近代化をはかることが絶対に不可欠の要件であります。そのため、われわれも中小企業基本法を制定し、中小企業の進むべき道を明らかにしておりますが、政府は中小企業近代化施策の推進にあたって、従来から地方自治体に多くの負担と協力義務を課しております。すなわち、現在の制度では中小企業の高度化、近代化に関する国の施策が積極的に進めば進むほど、地方自治体の財政負担量も増加するのであります。したがいまして、中小企業政策が地方財政を圧迫することになるという問題が今後ますます深刻化してまいるのであります。この観点から、私は中小企業政策は国の責任において進めるという姿勢がきわめて重要であることを指摘し、これを大前提として中小企業近代化施策の進め方について、再検討すべきことを強く政府に要請するものであります。それではまず第一に、中小企業投資育成株式会社法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案について申し上げます。中小企業投資育成株式会社の投資実績を見ますと、設立以来今日までの投資決定企業は、三社合わせて百企業を数えております。しかしこれを地域的に見ますと、東京都、大阪府及び愛知県だけで五十八企業にのぼり、投資決定企業の半数以上が大都市に集中している実情であります。また投資決定状況を見ますと、優良な中小企業に重点を置き過ぎる傾向もうかがわれるのであります。したがってこの際、中小企業に株式資本を供給して保護、育成をはかるという本法制定の趣旨からも、また地域格差を縮小するという見地からも、投資の対象とする中小企業を広く選定し、後進地域、産炭地域の中小企業に対しても投資を行なうよう、中小企業投資育成株式会社を指導することが必要であります。これとともに、このような観点から、中小企業投資育成株式会社については本法制定の際の附帯決議において現在の三都市以外への配置も考慮するよう要望をした経緯もあるので、必要に応じ既存三社の機構の整備を行なうことが必要であり、場合によっては新会社を設立することも考慮すべきであります。次に、中小企業近代化促進法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案について申し上げます。今回、本改正案によりまして企業組合が中小企業者の定義に加えられ、新たに企業組合が固定資産に対する減価償却の特例、及び合併等の課税の特例の恩典を受けられることになるのでありますが、事業協同組合はこの優遇措置の対象から除外されております。しかしながら、中小企業の近代化のために事業協同組合が果たしつつある役割りはきわめて重要であり、また企業組合と同様に、中小企業等協同組合法に基づく自主的な組織であることを考えますならば、事業協同組合も本法による税制上の優遇措置が受けられるよう、早急に措置する必要があると存ずるのであります。次に、中小企業近代化資金助成法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案について申し上げます。第一点は、小売り商業連鎖化に対する助成についてであります。現在、中小小売り商は百五十万の多数にのぼり、中小企業全体の過半数を占めている実態でありまして、その相当部分を連鎖化によって近代化するのは容易なことではありません。特に本法による助成には予算上の制約もあり、当面の助成対象はごく一部の小売り商に限定されますので、勢い、ある規模以上の小売り商が早く連鎖化し、零細小売り商は連鎖化に参加することができないような事態が懸念されるのであります。政府はこの点をよく認識し、本法による助成が、結果として零細小売り商の切り捨て上なるがごとき事態は厳に避けるよう運用すべきであります。なお、本制度の対象とならなかった連鎖化事業あるいは対象となり得ない連鎖化事業に対しましても、右と同趣旨の指導その他中小商業対策上必要な指導について万遺憾なきを期する必要があります。第二点は、機械貸与制度についてであります。本改正案によって、とりあえず数カ所の貸与機関が設置されることになりますが、現在、すでに土木建設機械の貸与を業とする企業が約二千存在しており、これとの競合が問題化しております。この問題に関しまして、無用の混乱を避けるために、当分の間、建設業用機械は、中小企業設備貸与制度の対象から除外することが必要と存ずるのであります。第三点は、中小企業構造改善事業についてであります。本制度は、組合員への賦課金を組合が数年間積み立て、それによっていわゆる高度化のための事業を行なう場合に、賦課金に対しても積み立て金に対しても非課税措置を講ずるものでありますが、組合員に対する賦課を前提とするため企業組合は本制度の対象とならないのであります。しかしながら、企業組合においても、本制度の構造改善事業と同趣旨の事業のために、資金を積み立てることは十分考えられるところでありまして、この点、本制度は片手落ちの感なきにしもあらずであります。企業組合が事業協同組合等と同様、中小企業者の相互扶助の精神に基づく組織でありますことにかんがみ、政府は企業組合の行なう構造改善事業も税制上の優遇措置の対象となるよう早急に措置すべきであります。なお、中小企業近代化資金助成制度の運用に関しまして、冒頭に申し上げました根本問題に付言して二、三指摘いたします。まず、団地の土地を組合員が組合から譲渡を受ける場合の課税の問題であります。団地の造成が終わって組合員が自己の使用する土地を組合から譲渡される際、組合が取得した価格より値上がりした評価価格によって不動産取得税が課税せられることがありますが、この場合は、当然組合が取得した時点の評価に基づく課税がなさるべきでありますので、すみやかにこの点について地方税制の整備改善をはかるべきであります。次は、団地資金の貸し付け条件についてであります。今回の改正によって償還期間が延長されるほか、土地、建物の貸し付け単価も引き上げられることになっておりますが、なお団地内の企業にとっては、旧資産の処分のおくれ、運転資金の資金繰りの悪化、道路、上下水道向け投資の増大等、困難な問題が山積しておりますので、さらに一そうの条件緩和について、政府は今後も努力を続けるべきであります。以上、三つの決議案の趣旨について御説明いたしましたが、
出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=105101094)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。