道路交通法の一部を改正する法律案
衆議院 地方行政委員会
昭和45年法律第86号
審議経過
右の数字は会議の発言数参議院地方行政委員会
衆議院地方行政委員会・地方行政委員会運輸委員会交通安全対策特別委員会連合審査会
- S45.4.16趣旨説明・補足説明地方行政委員会 18169
- S45.4.17質疑地方行政委員会 19125
- S45.4.23質疑地方行政委員会運輸委員会交通安全対策特別委員会連合審査会 1161
- S45.4.23質疑地方行政委員会 2055
- S45.4.24質疑・附帯決議・採決地方行政委員会 21128
- S45.4.28委員長報告・採決・附帯決議本会議 2382
提案理由
荒木萬壽夫 国家公安委員会委員長・行政管理庁長官 昭和45年3月17日ただいま議題となりました道路交通法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明いたします。
この法律案は、最近における道路交通の実情にかんがみ、交通事故の防止をはかり、その他交通の安全と円滑をはかるため、酒気帯び運転に関する規制および罰則を強化し、悪質な運転者の運転免許の取り消し後の欠格期間を延長することができることとし、並びに少年に対し交通反則通告制度を適用するとともに、都市交通規制のための規定を整備し、交通巡視員の制度を新設すること等をその内容としております。
以下、各項目ごとに御説明いたします。
第一は、悪質事犯の排除の徹底をはかるための規定の整備であります。
その一は、酒気帯び運転に関する規制及び罰則の強化でありますが、これは、酒気帯び運転の禁止の範囲を拡大すること、酒酔い運転の罰則を強化するとともに、酒気帯び加重の制度にかえて一定の程度以上にアルコールを保有して運転した場合を処罰する規定を新設すること、酒気帯び運転をするおそれがある者に対する呼気検査について規定すること及び酒気帯び運転をするおそれがある者に酒類を提供し、または飲酒をすすめることを禁止すること等がその内容であります。
その二は、運転免許の取り消し等を受けた後の運転免許の欠格期間の延長でありますが、これは、現在一年となっているこれらの期間を、公安委員会が政令で定める基準に従い三年をこえない範囲内で定めるように改め、悪質な運転者の排除を徹底しようとするものであります。
その三は、酒酔い運転、無免許運転等を命じ、または容認した安全運転管理者等に対する罰則を、これらの運転をした運転者に対する罰則と同一の程度に引き上げることであります。
第二は、交通反則通告制度の適用対象者の範囲の拡大であります。
その一は、少年に対する交通反則通告制度の適用でありますが、これは、少年に対しても交通反則通告制度を適用し、反則金を納付した少年は、家庭裁判所の審判に付されないこととするとともに、反則金を納付しない少年について、家庭裁判所が、反則金の納付を指示することができるようにすることをその内容としております。
その二は、現在反則者とされず、交通反則通告制度の適用を受けていない運転免許の行政処分の前歴者のうち、比較的軽微な反則行為をした者を反則者としようとすることであります。
第三は、都市交通規制等のための規定の整備でありますが、これは、最近における都市の大型一方通行規制などに対処するため、次の交差点で進行する方向による通行区分の指定、進路の変更の禁止等の規制を行なうことができるようにすること等がその内容であります。
第四は、交通巡視員制度の新設でありますが、これは、都道府県警察に、歩行者の通行の安全の確保、駐停車の規制の励行その他の交通指導を職務とする交通巡視員を置くこととするとともに、この職員に対して、手信号による交通整理、歩行者に対する通行方法の指示、違法駐車に対する是正の措置及び駐停車違反に対する告知の権限を付与することがその内容であります。
第五は、歩行者及び自転車の保護のための規定の整備でありますが、これは、通学通園バスが児童幼児等の乗降のため停車している場合の、他の車両等の運転者の義務について規定すること及び最近建設が進められている自転車道が設けられている道路における通行区分に関する規定を整備するとともに、自転車の歩道通行を認めることができるようにすることであります。
第六は、自動車運転者の資質の向上をはかるための規定の整備であります。
その一は、指定自動車教習所に対する指導監督を強化するため、指定の基準に適合しなくなった指定自動車教習所に対しては、現行法における指定の解除のほか、卒業証明書の発行の禁止の処分を創設するとともに、この場合には改善命令をすることができるようにすることであります。
その二は、この法律に基づく政令、総理府令等を改正する場合等には、必要な経過措置を設けることができるようにすることでありますが、これによって、総理府令の改正によりマイクロバスを大型自動車にする際に必要な経過措置を設けることができるようにしようとするものであります。
第七は、故障車両による交通の妨害の排除のための規定の整備でありますが、これは、故障等により駐車禁止に違反して駐車した車両を警察官等が移動することができることとし、その費用をその車両の運転者等に負担させること及び高速自動車国道等においては、燃料の不足等のため停止するおそれがある自動車の運転を禁止することがその内容であります。
なお、この法律は、公布の日から三月をこえない範囲内において政令で定める日から施行することとしております。
以上がこの法律案の提案理由及びその内容の概要であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛同を賜わらんことをお願いいたします。
第63回国会参議院地方行政委員会会議録第6号1頁(昭和45年3月17日)〔荒木萬壽夫国家公安委員会委員長発言・発言番号2〕 会議録 国会会議録検索システム
立法資料のある条文
この法律案の審議で取り上げられた条(政府答弁の件数順)附帯決議
政府は、現下の交通事故激増の深刻な事態に対処し、人命を尊重し、交通事故防止の徹底を期するため、左の諸点についてその対策に遺憾なきを期すべきである。
一市民生活と密接不可分な本法の性格にかんがみ、国民に十分な理解をうるよう、その表現を平易にし、また、副読本等の普及をはかるなどその周知徹底に努めること。なお、常時、必要に応じ、広く関係方面の意見を聴取することに努めること。
二車輌の増加、道路整備の進展に比して著しく立ち遅れている信号機や標識の増設・高度化等交通管制システムの増強整備を義務ずけうるよう十分な財源措置を講ずること。
三酒気帯び運転に関する規制の強化にともない、酒を飲めば絶対に運転せず、運転をする者には酒を飲ませない慣習が国民の間に定着するよう、実効ある措置を講ずること。
四自動車の運転者の資質の向上をはかるため、安全運転管理者制度の強化、安全運転学校の拡充強化、更新時講習等の充実など、運転者教育の徹底をはかるとともに、少年運転者に対する安全教育についても、その指導につき十分に配慮すること。
五交通巡視員制度の運用にあたっては、取締りに偏しないことはもちろん、歩行者、運転者への安全指導が適正に行なわれるよう十分に指導すること。
六指定自動車教習所の果す役割の重要性にかんがみ、早急にその保護育成に努めること。
七交通事故の原因の科学的究明のため、調査機関の設置を検討すること。
出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=106301083)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。