勤労青少年福祉法案
衆議院 社会労働委員会
昭和45年法律第98号
審議経過
右の数字は会議の発言数衆議院社会労働委員会
- S45.5.6趣旨説明・質疑・採決社会労働委員会 17288
- S45.5.7委員長報告・採決本会議 2463
提案理由
野原正勝 労働大臣 昭和45年5月6日ただいま議題となりました勤労青少年福祉法案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
わが国の経済が高度の成長を続ける中で今後における労働行政の課題は、経済の成長と勤労者の福祉の調和をはかることにあると考えますが、なかんずく、勤労青少年は明日の社会をになう者であり、その福祉の増進をはかることが重要であることはあえて多言を要しないところであります。
〔委員長退席、伊東委員長代理着席〕
特に、今後わが国がさらに高度の産業社会として発展していくためには、勤労青少年がすこやかに成長し、希望と意欲を持って勤労に従事し得るようにすることがきわめて重大な課題であります。
ところで、勤労青少年の職業生活の現況を見ますると、最近における経済、社会の急速な変動は勤労青少年の生活にも多くの影響を及ぼし、勤労青少年の中には職業生活に十分に適応することができず、あるいは孤独感に悩み、あるいは安易に離転職を繰り返すなど幾多の憂慮すべき現象が見られるところであります。また、近年これら勤労青少年問題に対する社会の関心は著しく高まってまいっております。
政府といたしましては、このような現在の勤労青少年問題に対処するためには、この際、勤労青少年の福祉に関する立法措置を講じ、もって勤労青少年の福祉の増進をはかることが最有効かつ適切な方策であると考え、婦人少年問題審議会にもはかり、この法律案を提案した次第であります。
次に、この法律案の内容につきまして、その概要を御説明申し上げます。
第一に、この法律の目的は、勤労青少年の福祉に関する原理を明らかにするとともに、勤労青少年について、職業指導の充実、職業訓練の奨励、福祉施設の設置等の措置を計画的に推進し、もって勤労青少年の福祉の増進をはかるものであることを明らかにいたしました。
第二に、勤労青少年の福祉に関する原理を明らかにするために、勤労青少年の福祉の基本的理念及び関係者の責務について規定いたしました。
すなわち、勤労青少年の福祉の基本的理念といたしまして、勤労青少年が充実した職業生活を営むとともに、有為な職業人としてすこやかに成育するように配慮されるべきであり、他方、勤労青少年は、勤労に従事する者としての自覚を持ち、みずから進んで有為な職業人として成育するようにつとめなければならないことを明らかにいたしました。
さらに、事業主、国及び地方公共団体がそれぞれ勤労青少年の福祉を増進する責務を有することを明らかにしております。
第三に、広く国民が勤労青少年の福祉についての関心と理解を深め、かつ、勤労青少年がみずから進んで有為な職業人として成長しようとする意欲を高めるため、勤労青少年の日を設けることといたしました。
第四に、勤労青少年の福祉に関する施策を計画的に推進するため、労働大臣は勤労青少年の福祉に関する施策の基本となる方針を定めるものとし、都道府県知事はこれを参酌して都道府県における勤労青少年の福祉に関する事業の基本となる計画を策定するようにつとめなければならないことといたしました。
第五に、勤労青少年の福祉に関して、国、地方公共団体及び事業主が講ずる措置について規定いたしました。
その一は、勤労青少年が職業に適応することを容易にするため、職業安定機関における勤労青少年その他関係者に対する相談指導の業務を、その業務について熱意と識見を有する者に委託することができることとしたことなど職業指導の面の充実をはかったことであります。
その二は、勤労青少年が職業に必要な技能を習得することを促進するため、国、都道府県及び雇用促進事業団は、勤労青少年その他の関係者に対し、職業訓練に関する啓蒙宣伝を行なうなど必要な措置を講ずるようにつとめなければならないこととしたことであります。
その三は、事業主は、その雇用する勤労青少年が職業訓練の受講または定時制高等学校等への通学のための時間を確保することができるような配慮をするようにつとめなければならないこととしたことであります。
その四は、事業主は、事業場ごとに、事業内において相談、指導、レクリエーション等の事項を担当する勤労青少年福祉推進者を選任するようにつとめなければならないこととしたことであります。
その五は、勤労青少年の勤労の余暇の有効な活用を促進するため、国及び地方公共団体は、レクリエーションその他の事業が実施されるようにつとめるとともに、勤労青少年の健全なクラブ活動を援助する等必要な措置を講ずるようにつとめなければならないこととしたことであります。
第六に、勤労青少年のための福祉施設について規定いたしました。すなわち、地方公共団体は、勤労青少年ホームを設置するようにつとめなければならないことを明らかにしております。勤労青少年ホームは、地域の勤労青少年の余暇活動、生活指導の拠点となるものでありまして、その設置及び運営についての望ましい基準は、労働大臣が定めることとしております。また、勤労青少年ホームには、勤労青少年に対する相談及び指導の業務を担当するにふさわしい勤労青少年ホーム指導員を置くようにつとめなければならないこととしております。
なお、雇用促進事業団が、勤労青少年にかかわる福祉施設の設置及び運営を行なうにあたっては、勤労青少年の職業生活の動向及び生活の実態に即応するように配慮しなければならないことを明らかにいたしました。
その他、船員及び船員になろうとする者に関しては、運輸大臣が所管するものとするなど所要の規定を置くことといたしております。
以上この法律案の提案理由及びその概要につきまして御説明申し上げました。
何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
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第63回国会衆議院社会労働委員会議録第17号15頁(昭和45年5月6日)〔野原正勝労働大臣発言・発言番号63〕 会議録 国会会議録検索システム
出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=106301098)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。