首都圏整備法等の一部を改正する法律案
衆議院 建設委員会
昭和47年法律第87号
審議経過
右の数字は会議の発言数衆議院建設委員会
- S47.3.17趣旨説明建設委員会 587
- S47.5.31質疑建設委員会 21121
- S47.6.7質疑・採決・附帯決議建設委員会 23182
- S47.6.9委員長報告・採決・附帯決議本会議 3776
参議院建設委員会
- S47.6.12趣旨説明・補足説明・質疑建設委員会 21204
- S47.6.16質疑・採決建設委員会 22200
- S47.6.16委員長報告・採決本会議 21156
提案理由
西村英一 建設大臣・近畿圏整備長官・中部圏開発整備長官・首都圏整備委員会委員長 昭和47年3月17日ただいま議題となりました首都圏整備法等の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその要旨を御説明申し上げます。
首都圏の既成市街地における工業等の制限に関する法律は、首都圏整備法を母法といたしまして、既成市街地への産業及び人口の過度集中を防止するため、既成市街地のうち、東京都区部、武蔵野市及び三鷹市を工業等制限区域とし、この区域内においては、一定規模以上の工場、学校は制限施設として、許可を受けなければ新設できないこととして、昭和三十四年四月施行されたものであります。
その後、同法の一部を改正して、昭和三十七年十月には、制限施設の規模を引き下げるとともにに、新設のみならず増設をも制限することとし、さらに、昭和四十年一月には、工業等制限区域を横浜市、川崎市及び川口市の既成市街地の一部にまで拡大することとして、制限の強化をはかり、今日に至っております。
政府は、この法律の施行とともに、その他の産業、人口の過度集中防止対策をもあわせて実施してまいったのでありますが、既成市街地及びその周辺の現状を見ますと、なお過密の弊害は著しいものがあります。
さらに、これを首都圏の既成市街地内の工業等制限区域で見ますと、大規模な工場の新増設は規制されているので、これらの工場は年々減少の一途をたどっていますが、反面制限基準面積に満たない中小規模の工場の新増設は、なお顕著であります。これらの増加は、工業等制限法による産業、人口の集中抑制効果を弱めるだけでなく、住工混在等、土地利用の混乱を助長し、生活環境の悪化をもたらすなど放置できない状態になっております。
このような既成市街地における都市環境の悪化に対処するためには、現行法の目的を改正して、既成市街地への産業及び人口の過度の集中を防止することにあわせて、都市環境の整備及び改善をはかることを加え、制限施設の基準面積を引き下げる等の措置を講ずる必要があると考えるものであります。
以上がこの法律案を提案する理由でありますが、次にその要旨について御説明申し上げます。
まず第一に、首都圏整備法の改正についてでありますが、工業等制限法の母法である首都圏整備法の第二十七条に規定する工業等制限区域の指定の目的につきまして、従来は、単に既成市街地への産業及び人口の過度の集中を防止するためとなっておりましたが、近年における環境問題の重大性にかんがみ「都市環境の整備及び改善を図るため」を改えるとともに、制限施設の範囲を拡大しようとするものであります。
また、首都圏整備審議会の委員は、現在、首都圏整備委員会が任命する委員四十六人以内で組織することとなっていますが、四月一日より川崎市が政令指定都市となることに伴い、関係指定都市の市長及び議会の議長としての二名の委員定数を追加するため所要の改正を行なおうとするものであります。
第二に、首都圏の既成市街地における工業等の制限に関する法律の改正でありますが、まず第一条の本法の目的についても、首都圏整備法の場合と同様、「既成市街地への産業及び人口の過度の集中を防止し、都市環境の整備及び返書を図ること」というように改めるとともに、制限施設の範囲を拡大しようとするものであります。
次に、工場の制限基準面積、すなわち制限の対象となる作業場の規模につきましては、従来、工場の種類に従って千平方メートル以上で政令で定める面積となっておりましたのを、五百平方メートル以上で政令で定める面積に改めようとするものであります。
また、本法第四条ただし書きの規定により知事等が例外的に制限施設の新増設を許可することができることとなっておりますが、その許可の基準について強化をはかることといたしております。
すなわち、従来は法第八条第一項第一号では、工業等制限区域内における人口の増大をもたらさないと認められる場合は、制限施設の新設または増設が許可できることとなっておりますが、今回は単に人口の増大をもたらさないと認められるだけでなく、当該制限施設の移転によって、都市環境の整備及び改善に寄与すると認められる場合でなければ、許可できないこととするものであります。
また、従来、住民や他の事業者の著しい不便が排除されると認められる場合、あるいは申請者が工業等制限区域外において事業を経営することが著しく困難と認められれば、新増設が許可できることとなっておりましたのを廃止し、新たに公害の防止や産業廃薬物の処理のために必要な新増設を許可することができるようにするものであります。
次に、知事等が、許可または不許可の処分をしようとする場合は、現在はすべてあらかじめ首都圏整備委員会その他の関係行政機関の長の承認を受けなければならないこととなっておりますが、今回新設または増設後の作業場の床面積の合計が三千平方メートル未満の工場については、承認を要しないこととしようとするものであります。
第三に、首都圏の既成市街地における工業等の制限に関する法律の一部を改正する法律の改正でありますが、昭和二十七年以来東京都の工業等制限区域内に所在する大学の理工系学部または高等専門学校の教室の増設については、当分の間、工業等制限法の適用を除外する経過措置が講ぜられておりましたが、今回これを廃止しようとするものであります。
以上がこの法律案の提案の理由及びその要旨でありますが、何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに御可決くださるようお願い申し上げます。
第68回国会衆議院建設委員会議録第5号12頁(昭和47年3月17日)〔西村英一建設大臣発言・発言番号72〕 会議録 国会会議録検索システム
附帯決議
案文はお手元に配付してあります。御承知のとおり、本案は、首都圏の既成市街地における都市環境の悪化に対処するため、工業等の制限に関する制度について所要の改善措置を講じようとするものでありますが、本法の施行にあたっては、制限区域を拡大する場合の都市計画との斉合、自治体の主体性の尊重、工場の改築制限、大学の地方分散の推進、事務所規制の中期法制化、公害発生のおそれのある小工場の新増設、移転工場のあと地利用等について十分配慮する必要があると考えられますので、ここに附帯決議を付し、政府に対し強く、要望しようとするものであります。以上で趣旨の説明を終わります。委員各位の御賛同をお願いいたします。―――――――――――――首都圏整備法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)政府は、本法の施行にあたつて次の諸点について留意し、その運用に遺憾なきを期すべきである。
一工業等制限区域の範囲を近郊整備地帯等に拡大する場合においては、都市計画との斎合性を図るとともに関係地方公共団体の主体性を尊重すること。
二工場の移転分散を促進し、都市開発の整備、改善を図るとめ、工場の改築制限について、前向きに検討すること。
三大学等の地方分散を図るため、学園都市の建設、地方大学の拡充及び助成の強化等の諸施策を推進すること。
四既成市街地における事務所の増加が、過度集中に大きな比重を占めている現状にかんがみ、事務所規制について、すみやかに所要の法制を整備すること。
五規制対象外の小規模工場の新増設に際し、公害発生のおそれのあるときは特別の配慮をすること。
六移転工場跡地の利用については、当該地域の環境保全に資するよう配慮すること。
出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=106801079)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。