海上交通安全法案
参議院 交通安全対策特別委員会
昭和47年法律第115号
審議経過
右の数字は会議の発言数衆議院交通安全対策特別委員会
- S47.4.14趣旨説明交通安全対策特別委員会 511
- S47.4.20質疑交通安全対策特別委員会 6159
- S47.4.25派遣委員報告・質疑交通安全対策特別委員会 7130
- S47.4.26参考人招致交通安全対策特別委員会 883
- S47.5.10派遣委員報告・質疑・派遣委員報告書交通安全対策特別委員会 9132
- S47.5.11質疑・附帯決議・採決交通安全対策特別委員会 10110
- S47.5.12採決・委員長報告・附帯決議本会議 2836
提案理由
丹羽喬四郎 運輸大臣 昭和47年4月14日ただいま議題となりました海上交通安全法案の提案理由につきまして御説明申し上げます。
最近の海上輸送の活発化に伴い、わが国の主要港湾の多くを有する東京湾、伊勢湾及び瀬戸内海においては船舶交通がきわめてふくそうしてきており、これらの海域における衝突、乗り上げ等の海難は全国沿岸におけるそれの約半数にものぼっております。
一方、近時は船舶の大型化が著しく進んでおり、これらの海域において一たん海難が発生いたしますと、甚大な災害を引き起こすおそれがあります。
このような海難を防止するため、船舶交通の安全を確保するための現行法律といたしましては、海上衝突予防法と港則法とがありますが、海上衝突予防法は、海上一般における船舶交通の基本原則を定めた国際規則を国内法化したもので、多数の船舶がひんぱんに航行する海域における交通規制法規としては不十分なものでありますし、また、港則法は、限られた港内のみに適用される法律でありますので、東京湾等の船舶交通がふくそうしている海域については、いまだ船舶交通の安全をはかるための法制が十分に整備されていないのが実情であります。
このような現状にかんがみ、東京湾等の船舶交通がふくそうしている海域における船舶交通の規制を行なうため所要の法制を整備することが緊急に必要であると考えられます。
このような観点から、これらの海域における船舶交通について特別の交通方法を定めるとともに、その危険を防止するため特別な規制を行なうこととしたものであります。
次に、この法律案のおもな内容について御説明申し上げます。
第一に、この法律案は、東京湾、伊勢湾及び瀬戸内海の三海域に適用することといたしております。
第二に、これらの海域内の浦賀水道航路、中ノ瀬航路、伊良湖水道航路、明石海峡航路、備讃瀬戸東航路、宇高東航路、字高西航路、備讃瀬戸北航路、備讃瀬戸南航路、水島航路及び来島海峡航路の十一航路について次のような交通方法を定めることといたしております。
まず、すべての航路に適用される一般的交通方法として、航路に出入し、または航路を横断する船舶は、航路を航行している他の船舶の進路を避けなければならないことといたしております。なお、漁労に従事している船舶、工事・作業を行なっている船舶等は、長さが二百メートル以上の船舶である巨大船が航路を通航している場合に限ってその進路を避ければ足りることといたしております。また、一定の大きさ以上の船舶は、航路を航行しなければならないこと、航路の一定の区間において速力を制限し、及び横断を禁止することができること、航路内においては、錨泊を禁止すること等安全確保のため必要な規制を行なうこととしております。
次に、各航路ごとの実情に応じ、それぞれの航路について右側通航、一方通航等の交通方法を定めることとしております。
また、巨大船、危険物積載船等の特殊な船舶に・ついては、これらの船舶が航路を航行する予定時刻等をあらかじめ通報させることとし、これらの船舶に対しては、必要に応じ、航行予定時刻の変更等を命ずることができることとしております。
第三に、船舶交通に対する危険を防止するため、航路及びその周辺で工事等を行なおうとする者は、許可を受けること、その他の適用海域において工事等を行なおうとする者は、届け出を要することとするとともに、工事・作業の施行等に際しては、必要に応じ臨時の交通制限を行なうことができることといたしております。
また、適用海域内の狭水道においては、必要により、その水道を航行する船舶の航行に適する経路を指定することができることといたしております。
その他、船舶が表示すべき燈火及び標識、この法律の施行に関する重要事項についての海上安全船員教育審議会への諮問、罰則等について所要の規定を整備することといたしております。
以上が、この法律案を提案する理由であります。
何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに御賛成いただきますようお願い申し上げます。
第68回国会衆議院交通安全対策特別委員会議録第5号7頁(昭和47年4月14日)〔丹羽喬四郎運輸大臣発言・発言番号6〕 会議録 国会会議録検索システム
附帯決議
政府は、本法の施行にあたり、東京湾、瀬戸内海、伊勢湾等における船舶航行の現状が、すでにふくそうその極に達していることにかんがみ、海上交通安全対策施策を総合的に推進して、所期の目的を達成するよう遺憾なきを期するとともに、とくに左に掲げる措置を強力に推進すべきである。
一外海の適地に中継基地を設けパイプライン網の整備を急ぐ等、船舶航行ふくそうの緩和をはかると共に将来長期的に巨大船舶の内海航行について、上限規制等歯止めの措置を講ずること。
二将来法指定航路におけるふくそうの増大化によりいかにしても船舶の航行安全と漁業操業とが実態的に両立しがたい場合においては、国の責任において漁業者に対する補償の制度を確立すること。
三加害者不明の漁船に対するあて逃げ、あるいは油害等による漁業の損害については、これを救済するための有効なる制度の確立をはかること。
四政省令の改廃あるいは施行にあたつては、関係者の意見を尊重するよう特に配慮すること。
五船舶交通のふくそうする海域における旅客船の航行安全については、人命尊重の観点から、一層安全対策の充実強化に努めること。
六交通ふくそう、海域の汚染等による漁場の減少並びに漁業操業の制約に伴い関係漁民のこうむる影響にかんがみ、内湾漁業の保護並びに振興に関する基本的水産政策を早急に確立すること。
政府は、本法の施行にあたり、左に掲げる諸点につき適切な措置を講じ、その運用に遺憾なきを期すべきである。記
一経済の成長に伴い石油需要が今後とも増大する情勢にあることにかんがみ、臨海工場の計画的再配置並びに中継基地及びパイプライン網による原油輸送システムの整備をはかり、内海における船舶交通の輻輳を緩和すること。
二前項の施策の進捗とあいまつて、トン数制限を実施する等超大型船舶の内海航行を規制する措置を講ずること。
三将来、法指定航路における船舶交通の著しい輻輳により、いかにしても船舶の安全航行と漁業操業の調整がつけがたい場合には、適切な補償措置、代替漁場の提供等によつて国の責任において漁業者の生活権の保護をはかること。
四海域の汚染、船舶交通の輻輳等により関係漁民が被る影響にかんがみ、内海漁業の保護及び振興をはかるための水産政策を強力に推進すること。
五加害者不明の船舶、油等による漁業被害については、これを救済するための有効な制度の確立をはかること。
六政省令の改廃あるいは施行にあたつては、関係者の意見を尊重するよう特に配慮すること。
出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=106801101)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。