国民生活安定緊急措置法案
参議院 物価等対策特別委員会
昭和48年法律第121号
審議経過
右の数字は会議の発言数衆議院物価問題等に関する特別委員会
- S48.12.8趣旨説明物価問題等に関する特別委員会 212
- S48.12.10質疑物価問題等に関する特別委員会 345
- S48.12.11質疑物価問題等に関する特別委員会 4187
- S48.12.12参考人招致・質疑物価問題等に関する特別委員会 5232
- S48.12.13参考人招致・質疑物価問題等に関する特別委員会 6293
- S48.12.17質疑物価問題等に関する特別委員会 7189
- S48.12.18質疑・修正案・修正案趣旨説明・討論・採決(修正)・附帯決議物価問題等に関する特別委員会 8155
- S48.12.18委員長報告・修正案・討論・採決(修正)・附帯決議本会議 727
参議院物価等対策特別委員会・商工委員会、物価等対策特別委員会、地方行政委員会、大蔵委員会、農林水産委員会、運輸委員会、建設委員会連合審査会
- S48.12.14趣旨説明・質疑本会議 464
- S48.12.19趣旨説明・衆議院修正部分趣旨説明・参考人招致・質疑物価等対策特別委員会 3379
- S48.12.20質疑商工委員会、物価等対策特別委員会、地方行政委員会、大蔵委員会、農林水産委員会、運輸委員会、建設委員会連合審査会 1483
- S48.12.21質疑・修正案趣旨説明・討論・採決・附帯決議・修正案物価等対策特別委員会 4318
- S48.12.21委員長報告・討論・採決本会議 537
- S49.1.25附帯決議本会議 864
提案理由
内田常雄 経済企画庁長官 昭和48年12月8日ただいま議題となりました国民生活安定緊急措置法案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
物価の安定は、わが国経済の当面する最重要課題であります。世界的な景気上昇と農産物不作等による輸入価格の高騰、国際収支黒字と民間信用の増大から生じたいわゆる過剰流動性、国内需要の急速な拡大と供給の制約が重なって、昨年秋以来卸売り物価が高騰し、消費者物価も本年に入り、急上昇を続けておりますこと御承知のとおりでございます。
こうした情勢に対処して政府は、総需要の抑制をはかるという見地から財政執行の繰り延べ、累次にわたる金融引き締めの強化などを行うとともに、生活関連物資の買占め及び売惜しみに対する緊急措置に関する法律に基づき、灯油、紙などを特別の調査を要する生活関連物資として指定いたし、買い占め売り惜しみの防止につとめるほか、関係業界に対し、緊急増産や出荷の指導を実施するなど個別物資の需給の調整措置を講じてまいりました。
しかしながら、最近の石油供給の制限と輸入価格の上昇は、新たな物価上昇圧力となり、現下の物価問題を一そうむずかしいものといたしております。
このような状況のもとに、当面総需要抑制政策を堅持し、事態の推移に応じこれを強化するとともに、市場機構を通じて資源の適正な活用をはかり、これを克服していくことが基本でありますが、同時にまた、いかなる事態が生じても国民経済の混乱と国民生活への影響を未然に防止し、物価の安定と必要物資の安定的供給を確保するための備えをしておくことは、国の責任であると考えます。
この法律案は、このような観点から物価の高騰その他の経済の異常な事態に対処し、生活関連物資及び国民経済上重要な物資につきまして、標準価格の設定、生産、輸入及び保管に関する指示その他の価格の安定及び需給の調整等に関する緊急措置を定めることにより、国民生活の安定と国民経済の円滑な運営に資せんとするものであります。
以上がこの法律案を提出する理由でありますが、次にこの法律案の要旨を御説明申し上げます。
まず、この法律案は、物価が高騰し、または高騰するおそれがある場合に、特定の条件のもとで次の各般の措置をとることができるものとしております。
第一は、指定物資についての標準価格の設定とこれを越えて販売する者に対する価格引き下げの指示及び公表であります。
生活関連物資等の価格が著しく上昇し、または上昇するおそれがあるときは、物資を政令で指定し、標準価格を定めるとともに、これを越えてその指定物資を販売したときは、価格の引き下げを指示し、正当な理由なくこれに従わなかったときには、その旨を公表することができることとしております。
第二は、特定物資の指定、特定標準価格の設定と課徴金の徴収であります。
指定物資のうち特に価格の安定を確保することが必要な物資を特定物資として政令で指定し、特定標準価格を設けるとともに、これを越えて特定物資を販売したときには、特定標準価格と販売価格との差額を課徴金として徴収することといたしております。
第三は、生産、輸入、保管に関する指示及び公表であります。
生活関連物資等の供給が不足することによりまして、国民生活の安定または国民経済の円滑な運営が著しく阻害され、またはそのおそれがある場合には、物資を政令で指定いたし、生産を指示するとともに、指示に従わなかったときには公表することができるものとしております。輸入の促進または保管によりこれに対処する必要があると認められますときについても、同様の趣旨の規定を設けております。
また、生活関連物資等の地域的な需給の不均衡に対処して、緊急に不足物資をその地域に供給するために売り渡し、輸送、保管をなすべきことを指示し、その指示に従わない者については、その旨を公表することができることといたしております。
第四は、設備投資の抑制に関する指示及び公表であります。
国民生活の安定または国民経済の円滑な運営を確保するため設備投資に関する需要の抑制をする必要があるときは、政令で指定された期間中の大規模な建築物の工事計画及び多額を要する設備投資計画を届け出させ、工事計画及び設備投資計画の実施の延期等の抑制措置を指示し、正当な理由なぐその指示に従わなかったときは、その旨を公表することができることといたしております。
第五は、割り当て、配給、使用制限等についてであります。
物価が著しく高騰し、または高騰するおそれがある場合で、生活関連物資等の供給が著しく不足し、かつ、需給の均衡回復が相当の期間きわめて困難であるというきびしい事態が生じました場合においては、政令で割り当て、配給、使用制限等の措置をとることができることといたしております。
その他、帳簿の記載をさせ、報告徴収及び立ち入り検査をできることといたしておりますほか、地方公共団体の長などに対する権限の委任、経過措置、罰則等に関する規定を定めております。
さらに附則におきまして、物価統制令の発動要件の改正を行なうとともに、生活関連物資の買占め及び売惜しみに対する緊急措置に関する法律についても、特定物資の範囲の拡大、売り渡し命令の創設など所要の改正を行なうことといたしております。
以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。
何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに御賛同あらんことをお願いをいたします。(拍手)
第72回国会衆議院物価問題等に関する特別委員会議録第2号5頁(昭和48年12月8日)〔内田常雄経済企画庁長官発言・発言番号4〕 会議録 国会会議録検索システム
附帯決議
政府は、本法施行にあたり、特に次の諸点について、適切な措置を講じ、その運用に遺憾なきを期すべきである。
一国民生活の安定を旨とし、特に生活必需物資の安定的供給の確保に努めること。
二標準価格の決定等に当たっては、その価格が国民生活に及ぼす影響の重大性にかんがみ、いやしくも高位安定となることのないよう配慮すること。
三流通機構の一層の改善を図り、生活関連物資等の価格の安定に努めること。
四売渡し、輸送又は保管の指示を行うに当たっては、特に国民生活及び公益に関連度の高い部門の優先を旨として行うこと。
五私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律に抵触することのないよう努めること。
六政府は国民生活安定審議会を積極的に活用し、その建議については、これを十分尊重すること。
七地域住民の苦情処理等については、政府機関及び地方公共団体の相談所、消費生活センター等の活用、整備を図り万全を期すること。
八地方公共団体への委任事務に対する財政負担等の問題を含め、実施体制の整備強化を図ること。なお、地方公共団体は、委任事務の執行に当たって、消費者の意見を十分尊重するよう措置を講ずること。
九政府は中小企業者の立場を十分尊重すること。
一政府は標準価格及び特定標準価格の決定にあたつて、先取り的値上げの利益、高値安定を排除し、物価高騰以前の水準に定めるよう努めること。
一政府は特定標準価格について、各項目ごとに算定の基礎と決定の経過を公表すること。
一政府は現在の物価高騰に対処し、独占禁止法の厳正な運用に一層努めるとともに、公正取引委員会に寡占企業に対する分割命令及び価格カルテル排除にあたつての価格引下げ命令等の権限をもたせ得るような方向で独占禁止法の改正問題に早急に着手すること。
一政府は生活必需物資の確保、価格の安定等当面する物価対策を強力かつ機能的に推進するため、機構、人員、予算等各般にわたり充分措置すること。
出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=107201003)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。