輸出保険法の一部を改正する法律案
参議院 商工委員会
昭和49年法律第61号
審議経過
右の数字は会議の発言数提案理由
中曽根康弘 通商産業大臣 昭和49年3月22日輸出保険法の一部を改正する法律案につきまして提案の理由及びその要旨を御説明申し上げます。
わが国経済が今後とも世界経済と調和のとれた発展を遂げていくためには、重要物資の安定的供給確保をはかるとともに、輸出構造の高度化を進めていかなければなりません。なかんずく今後の輸出構造の高度化の中核をなすところのプラント類の輸出につきましては、発展途上国の発展に寄与し、国際的な摩擦を惹起しない輸出であると考えられますが、これらの輸出は発展途上国の資金不足等から代金の回収が長期間にわたるため、流動的な国際通貨情勢の影響を全面的にこうむる状況にあります。したがって、これらの輸出取引の安定化をはかるため、外国為替相場の変動にかかわる危険を担保する道を開く必要があります。
また、国内資源に乏しいわが国においては、原油等鉱物のほか、国民生活に不可欠な羊毛、綿花、木材その他の農林畜水産物の長期かつ安定的な輸入の確保が重要な問題となってきておりますが、そのため海外投融資の推進が必要であると考えられます。
輸出保険制度は、輸出、海外投資等の対外取引に伴って生ずる種々の危険負担を分散し、軽減することによってわが国対外取引の健全な発達をはかろうとするものでありますが、現行の制度は、以上述べたような今日の国際環境下におけるわが国対外取引の実態に十分対処し得ない面があり、かねてよりその拡充の必要性が痛感されていたところであります。
このような実情にかんがみ、現行の輸出保険制度に所要の改正を加えることとし、本改正案を提案した次第であります。
次に改正案の内容を御説明いたします。
改正点の第一は、為替変動保険の新設であります。
代金等の回収が長期にわたる貨物の輸出または技術の提出もしくはこれに伴う労務の提供をした場合に、特定の外国通貨建てのものについて、その輸出取引等の安定化をはかるため、西ドイツ、フランス等においてすでに実施を見ている為替変動保険を新設することといたしました。これは保険契約の締結の申し込み後決済期限までに外国為替相場が三%をこえて円高になった場合に、輸出貨物の代金等について受ける損失を一定の範囲内においててん補しようとすることを主たる内容とするものであります。
改正点の第二は、海外投資保険の拡充であります。
現行におきましては、付保の対象となる海外投資は、経営参加株式の取得、経営参加外国企業に対する融資等のほか、長期契約に基づき輸入される鉱物の開発のための現地企業に対する融資等に限られておりますが、鉱物以外の重要物資につきましてもその開発のための融資等を新たに付保の対象とすることといたしました。
以上がこの法律の提案理由及びその内容の概要であります。
何とぞ慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願いいたします。
次に、地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、工業品検査所の出張所の設置に関し承認を求めるの件につきまして、提案理由及びその要旨を御説明申し上げます。
工業品検査所は、東京の本所をはじめとして全国に十二カ所の事務所を置き、繊維製品以外の工業品について通商産業行政上必要な検査、商品テスト等を行なっておりますが、当初輸出検査を主体に発足したため、東北地方及び北海道には事務所を置いておりません。
近年、商品に関する消費者の苦情の増加に伴い、これら地方においても種々の商品テストの実施、商品テスト技術情報の提供等の要請が増大していますが、その要請に十分こたえられない実情であります。
また、消費生活用製品安全法の施行に伴い、特定製品の検定等の事務が新たに生じてまいりましたが、検定等のたびに東京から検査員が出向く場合には、事務処理上支障があるばかりでなく、受検者の負担を必要以上に加重することになります。したがって、製品の安全性の確保等に関し検査・検定体制等の充実をはかることにより、消費者保護行政を強化するため、東北地方及び北海道にそれぞれ工業品検査所の出張所を設置する必要があります。
本件は、これらの出張所を設置することについて、地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、国会の承認を求めようとするものであります。
何とぞ慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願いいたします。
第72回国会衆議院商工委員会議録第19号13頁(昭和49年3月22日)〔中曽根康弘通商産業大臣発言・発言番号99〕 会議録 国会会議録検索システム
出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=107201027)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。