畜産物の価格安定等に関する法律の一部を改正する法律案
参議院 農林水産委員会
昭和50年法律第26号
審議経過
右の数字は会議の発言数衆議院農林水産委員会
- S50.2.18趣旨説明農林水産委員会 5215
- S50.2.26補足説明・質疑農林水産委員会 8231
- S50.3.4質疑農林水産委員会 978
- S50.3.13質疑・修正案趣旨説明・附帯決議・採決・修正案農林水産委員会 13199
- S50.3.14委員長報告・採決・附帯決議本会議 1155
- S50.4.15参議院回付案同意・参議院回付案本会議 1630
参議院農林水産委員会
- S50.3.20趣旨説明・補足説明農林水産委員会 7114
- S50.3.25質疑農林水産委員会 8113
- S50.3.27質疑・修正案趣旨説明・採決(修正)・附帯決議・修正案農林水産委員会 9205
- S50.3.31附帯決議・委員長報告・採決(修正)本会議 990
提案理由
安倍晋太郎 農林大臣 昭和50年2月18日畜産物の価格安定等に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。近年、国民所得水準の向上、国民食生活の高度化等に伴い、牛肉需要は着実に伸展してきたのに対し、国内生産はこれに十分には対応し得ず、輸入量は年々増加してきたところであります。また、牛肉価格は漸騰ぎみであったものの、比較的安定的に推移してきたのであります。
この間、牛肉につきましては、生産から流通、消費に至る各般の施策に加え、輸入割り当て制度による牛肉輸入の規制及び畜産振興事業団による輸入牛肉の買い入れ、売り渡し措置等によりまして価格の安定を図ってきたところであります。
しかしながら、昭和四十七年夏から四十八年秋にかけて、牛肉需要の著しい増大と国内生産の伸び悩みにより牛肉価格は急激に高騰したのに対し、昭和四十八年十一月以降においては、石油ショックに端を発する諸物価の高騰等により牛肉需要は停滞傾向を示し、供給量の増大と相まって、牛肉価格は一転して急激な暴落を示したのであります。このような事情に加えて、昭和四十八年以降、国際的な飼料穀物需給の逼迫等を反映して配合飼料価格が大幅な値上がりをいたしましたため、昨年来、肉用牛経営はきわめて困難な事態に直面いたしたのであります。
政府といたしましても、このような事態に対処して、昨年年初来、緊急措置として、輸入量の調整、生産者団体の行う調整保管に対する助成、小売価格の引き下げ指導、消費促進キャンペーン、肉用牛経営安定のための低利資金の融通等の措置を講じ、牛肉需給の安定と価格の回復並びに肉用牛経営農家のこうむった打撃の緩和に努めてきたところであります。
しかしながら、最近における肉用牛の生産事情の変化、牛肉の需要及び価格並びに国際市場等の動向から見まして、長期的に肉用牛経営の安定と牛肉生産の振興を図り、牛肉消費の安定を期するためには、この際、牛肉の価格安定に関する恒久的な制度を確立することが必要と考えられるのであります。
このため、牛肉につきましても、豚肉同様、畜産振興事業団の売買操作等による価格安定措置の対象となる指定食肉に追加することにより、その価格と需給の安定を図ることとし、ここに畜産物の価格安定等に関する法律の一部を改正する法律案を提出した次第であります。
次に、その主要な内容につき御説明申し上げます。
第一は、牛肉を指定食肉に追加することであります。
御承知のとおり、現行法の価格安定制度の対象となる指定食肉には、現在豚肉のみが指定されておるわけでありますが、先ほど申し上げましたような牛肉の価格安定の必要性にかんがみ、牛肉を指定食肉に追加するものであります。
指定食肉に追加することにより、牛肉についても、農林大臣による安定価格の決定、畜産振興事業団による売買操作、生産者団体の自主調整保管措置等の対象になることになります。
第二は、畜産振興事業団の保管する牛肉の売り渡しに関する規定の整備であります。
畜産振興事業団による指定食肉の売り渡しにつきましては、現行規定により、その価格が安定上位価格を超えて騰貴し、または騰貴するおそれがあると認められる場合に行うものとされておりますが、牛肉につきましては、通常時において畜産振興事業団が相当量の輸入牛肉を国内市場に供給する必要があるという需給事情等にかんがみ、以上の場合のほか、従来の取り扱いに準じて、その保管する牛肉、すなわち輸入牛肉及び価格低落時に買い入れた国産牛肉を、肉用牛の生産及び牛肉の消費の安定を図ることを旨として農林大臣が指示する方針に従って売り渡すことができることといたしております。
そのほか、以上の措置に関連して必要な経過措置等諸規定の整備を行うことといたしております。
以上がこの法律案を提案する理由及びその主要な内容であります。
何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願い申し上げます。
第75回国会衆議院農林水産委員会議録第5号1頁(昭和50年2月18日)〔安倍晋太郎農林大臣発言・発言番号2〕 会議録 国会会議録検索システム
附帯決議
政府は、本法の施行にあたつては、左記事項について万全の措置を講ずべきである。記
一指定食肉たる牛肉の規格に乳廃牛等の肉を含めるよう努めること。
二牛肉の安定価格については、生産費と所得に十分配慮し、肉用牛の再生産の確保が十分に図られるように決定すること。なお、価格算定に必要な統計資料を早急に整備すること。
三畜産振興事業団の指定食肉の買入れにあたつては、生産者団体の調整販売等を前提とする産地買入れを優先させるとともに生産者の手取価格が同一水準になるよう努力すること。さらに、事業団の売買を適正に実施するため、産地における牛肉処理保管施設の整備並びに牛肉規格の格付体制の強化に努めること。
四牛肉の輸入については、的確な需給見通しに基づき必要最少限度にとどめるとともに、本法施行後事業団が一元的に取り扱うよう努めること。また、輸入牛肉等の放出にあたつては、国内市況に悪影響を及ぼすことのないようその数量及び価格について慎重な配慮のもとに行うこと。
五事業団による国内産牛肉の売買操作が円滑に実施されるよう事業団に対し、国の出資を計画的に増加するとともに、事業団の繰越損が累積した場合には、政府の増資又は一般会計よりの補てんにより処理すること。
六牛肉の供給の長期的安定を図るため、いたずらに輸入に依存することなく飼料基盤の整備、肉用牛の改良増殖その他肉用牛の振興対策を積極的に講じ、自給率の向上を図ること。
七牛肉の流通機構の合理化を図るため、食肉処理保管施設及び輸送施設の整備拡充並びに卸小売業の近代化等の諸施策を強力に実施すること。特に、本制度による牛肉の卸売価格の安定の効果が、消費者価格の安定にもつながるよう小売業の経営の合理化、適正な表示の促進等について必要な措置を講ずること。
八本法の施行に関連し現行の肉用牛価格安定事業及び乳用雄肥育素牛価格安定事業等の整備拡充を図ること。
九本法の運用にあたつては、牛肉の消費の安定にも十分配慮すること。
改正する法律案に対する附帯決議(案)政府は、今後におけるわが国の食料資源に占める畜産の重要性にかんがみ、積極的に飼料基盤を開発整備し、家畜の改良増殖その他生産振興対策を推進してその自給力を高めるとともに、本法施行にあたっては、食肉処理保管施設等の整備拡充、卸小売の近代化等牛肉流通の合理化を強力に実施し、牛肉の消費の安定にも十分留意しつつ左記事項について万全の措置を講ずべきである。記
一牛肉の生産流通の実情にかんがみ、乳廃牛等の肉を指定食肉たる牛肉の規格に含めるよう努めること。
二牛肉の安定価格の決定にあたっては、肉用牛の再生産を確保しうるよう生産費及び所得に十分配慮すること。また、生産費調査等牛肉価格安定制度の適正を運用に必要な統計資料を速かに整備充実すること。
三牛肉の輸入については、的確な需給見通しにたつて必要最大限度にとどめ、あわせて改正後の法第七条の規定に基づき必要な措置を講ずること。
四畜産振興事業団の指定食肉の売買操作にあたつては、生産者の手取価格の平準化及び流通費用の節減にも資することができるようその適切な運用を期すること。
五畜産振興事業団が輸入牛肉等を放出するにあたつては、その数量及び価格が国内市況に悪影響を及ぼすことのないよう配慮して定めること。
六牛肉価格の格付体制の整備充実に努めるとともに、解体成型方法の合理化、取引形態の近代化等を図ること。
七本法の円滑な運用を図るため、現行の肉用牛価格安定事業及び乳用肥育素牛価格安定事業等の整備拡充を図ること。
八畜産経営を圧迫する諸条件の速かな改善に努めること。とくに、肉牛経営に伴う負債の整理に関し、必要な措置を検討すること。
九食肉としての比重が大きい鶏肉について、生産者の地位の安定を図るため、その生産流通の特殊性に即しつつ価格安定措置その他生産流通対策の拡充整備を検討すること。
出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=107501029)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。