労働者災害補償保険法等の一部を改正する法律案
参議院 社会労働委員会
昭和51年法律第32号
審議経過
右の数字は会議の発言数衆議院社会労働委員会
- S51.3.2趣旨説明社会労働委員会 2190
- S51.5.10質疑・附帯決議・採決社会労働委員会 5398
- S51.5.11委員長報告・採決・附帯決議本会議 1760
参議院社会労働委員会
- S51.5.13趣旨説明社会労働委員会 4359
- S51.5.18質疑・附帯決議・採決社会労働委員会 5315
- S51.5.19委員長報告・採決本会議 1246
- S51.6.11附帯決議本会議 1
提案理由
長谷川峻 労働大臣 昭和51年3月2日ただいま議題となりました労働者災害補償保険法等の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
労働者災害補償保険法は、今日まで数次にわたり給付改善のための改正を重ねてまいりましたが、最近における労働災害の動向、年金受給者の累増等を背景として種々新しい観点から解決を図るべき問題が生じてきております。このような情勢にかんがみ、労働者災害補償保険審議会は、昨年十二月、全員一致の意見に基づき、年金給付の内容の充実、保険施設の整備拡充等を中心とする建議を労働大臣に提出されたのであります。
政府におきましては、この建議の趣旨を尊重し、法律改正を要する部分について改正案を作成し、これを労働者災害補償保険審議会及び社会保障制度審議会に諮問し、了承する旨の答申をいただきました。また、船員保険につきましても、同様な改正案を社会保険審議会及び社会保障制度審議会に諮問し、それぞれ了承をいただいたところであります。これらの経緯に基づいて労働者災害補償保険法等の一部を改正する法律案をここに提案いたした次第であります。
次に、この法律案の内容の概要を御説明申し上げます。
まず、労働者災害補償保険法関係の改正についてであります。
第一は、労災保険の目的を拡充し、業務災害及び通勤災害に対する保険給付とあわせて労働者の社会復帰の促進等を図るための労働福祉事業を行うことができることとしたことであります。
第二は、療養の開始後一年六カ月を経過しても治らない病状の重い長期療養者に対しては、従来の長期傷病補償給付にかえて引き続き療養補償給付を行うとともに、障害等級第一級から第三級までの障害補償年金の額に準ずる額の傷病補償年金を支給することとしたことであります。
第三は、年金給付の額のスライドについて、現在は賃金水準が二〇%以上変動することを要することとしておりますが、この賃金水準の変動幅を一〇%以上で足りることとしたことであります。
第四は、労災保険の年金と厚生年金保険等の年金とが併給される場合における労災保険の年金額の調整について、その方法を改善整備したことであります。
第五は、労災保険の適用を受ける労働者及びその遺族の福祉の増進を図るため、現行の保険施設にかえて労働福祉事業を行うこととし、現行の保険施設の内容を整備して引き継ぐとともに、新たに賃金の支払いの確保その他適正な労働条件の確保を図るために必要な事業を行うことができることとしたことであります。
第六は、わが国の事業から開発途上地域その他海外に派遣される者にも労災保険を適用するため、これを特別加入者の範囲に加えるとともに、中小事業主、一人親方等の特別加入者も通勤災害に関する保険給付を受けることができるようにしたことであります。
第七は、最近における労働災害の発生状況にかんがみ、事業場ごとの災害率に応じた保険料の調整の範囲を拡大したことであります。
第八は、昭和三十五年三月三十一日以前に打ち切り補償費の支給を受けた者についての年金額の減額等の措置を廃止することとしたことであります。
次に、船員保険法関係の改正について申し上げます。
この改正は、船員保険の職務上の事由による保険給付の内容及び保険料の調整幅について、労働者災害補償保険法の改正に準じた改正を行うほか、障害等級表につき改正を行うこととしたものであります。
以上のほか、最近における職業性疾病の発生状況にかんがみ、その基礎的研究の拡充等を図るため、労働衛生研究所を産業医学総合研究所に改めることなど関係法律について所要の整備を行うこととしております。
なお、労働者災害補償保険法関係の施行期日は、目的の改正、労働福祉事業の新設、昭和三十五年三月三十一日以前に打ち切り補償費の支給を受けた者についての年金額の減額等の措置を廃止することなどの措置につきましては公布の日から六月を超えない範囲内において政令で定める日、一般事業に係る保険料の調整幅の拡大につきましては昭和五十一年十二月三十一日、その他給付内容等に係る改正につきましては昭和五十二年四月一日とし、また、船員保険法関係の施行期日は、障害等級表の改正につきましては公布の日、保険料の調整幅の拡大につきましては昭和五十一年九月三十日、その他保険給付の内容に係る改正につきましては昭和五十二年四月一日としております。
以上、この法律案の提案理由及び内容の概要につきまして御説明申し上げました。何とぞ、御審議の上速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。(拍手)
第77回国会衆議院社会労働委員会議録第2号28頁(昭和51年3月2日)〔長谷川峻労働大臣発言・発言番号188〕 会議録 国会会議録検索システム
立法資料のある条文
この法律案の審議で取り上げられた条(政府答弁の件数順)附帯決議
政府は、次の事項に関し所要の措置を講ずべきである。
一傷病補償年金制度の運用にあたっては、特に頸肩腕症候群、むち打ち症、腰痛症等の職業性疾病患者の療養の実情に即して、適切に行うよう努めること。
二未払賃金立替払事業のあり方については、今後、その実績に照らし、かつ、労災保険制度の建前とも関連して更に検討すること。
三特別加入対象者の範囲は、実情に即して拡大を図るとともに、その運用についても改善を検討すること。
四新制度への円滑な移行を図るため、長期傷病補償給付、休業補償給付等の受給者については十分配慮すること。
五厚生年金等との調整率を定めるにあたっては、受給者の保護に欠けることのないよう十分配慮すること。
六給付水準については、スライド制、最低額の引上げ等今後ともその改善に努めること。
七特別支給金については、今後ともその改善に努めること。
八リハビリテーションに関する措置の充実に努めること。
九労働福祉事業として行われる各種の給付金と保険給付との関係については、今後更に検討するとともに、これら給付金をめぐる論議の処理について、適切な方途を検討すること。
政府は、次の事項に関し所要の措置を講ずべきである。
一傷病補償年金制度については、職業性疾病患者の療養の実情に即して、適切な運用を図るよう努めること。
二給付水準については、スライド制、最低額の引上げ等今後ともその改善に努めること。
三長期傷病補償給付、休業補償給付等の受給者の新制度への移行が円滑に行われるよう十分配慮すること。
四厚生年金等との調整率を定めるにあたつては、受給者の保護に欠けることのないよう十分配慮すること。
五リハビリテーシヨンに関する措置を一層充実すること。
六特別支給金その他給付金については、今後ともその改善に努めるとともに、保険給付との関係について更に検討すること。
七未払賃金立替払事業のあり方については、今後、その実績に照らし、かつ、労災保険制度の建前とも関連して更に検討すること。
八職業性疾病の範囲について検討を加えるとともに、その防止について更に努めること。
出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=107701012)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。