賃金の支払の確保等に関する法律案
参議院 社会労働委員会
昭和51年法律第34号
審議経過
右の数字は会議の発言数衆議院社会労働委員会
- S51.5.10趣旨説明社会労働委員会 5398
- S51.5.11質疑・採決・附帯決議社会労働委員会 6404
- S51.5.13委員長報告・採決・附帯決議本会議 1845
参議院社会労働委員会
- S51.5.18趣旨説明・質疑・採決・附帯決議社会労働委員会 5315
- S51.5.19委員長報告・採決本会議 1246
- S51.6.11附帯決議本会議 1
提案理由
長谷川峻 労働大臣 昭和51年5月10日ただいま議題となりました賃金の支払の確保等に関する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
賃金は、労働契約の基本的な要素であり、また、労働者とその家族の生活の源資でありますから、賃金未払いという事態は本来起こってはならないものであります。そのため、労働基準法におきまして、使用者の賃金支払いについて各種の規制を加え、その履行について、労働基準監督機関が監督、指導を行ってきたところであります。現に、それによって解決された賃金未払い事案も少なくないのでありますが、企業の倒産により事業主に支払い能力がない場合はどうしても解決できなかったのが従来の実情であり、これに対する救済措置の創設が必要であるとされてまいりました。
特に、第七十四回臨時国会における雇用保険法案の御審議に際し、中小企業の倒産による不払い賃金救済制度の確立について、衆議院及び参議院の社会労働委員会におきまして附帯決議がなされた経緯もあり、また、昨今の景気の停滞は、その期間が長く、景気回復の足取りが弱いこともあって、企業倒産及び賃金未払いの発生は依然として高水準で推移しているという実情にあります。このため、政府といたしましては、この際、賃金の支払いの確保等に関する諸般の措置を講ずべきであると考えた次第であります。
そこで、まず、企業の倒産に伴う未払い賃金の救済措置を創設することとし、あわせて、賃金の支払いは本来事業主の基本的な責務であることから、賃金支払いについての規制を民事的にも刑事的にも強化するとともに、事業主の責任で退職手当の未払い等を予防するための措置を講じさせる等、賃金の支払いの確保等に関する所要の施策を展開することとし、中央労働基準審議会にもお諮りした上、具体案を取りまとめ、ここに賃金の支払の確保等に関する法律案を提案いたした次第であります。
次に、この法律案の内容の概要を御説明申し上げます。
第一は、貯蓄金及び退職手当の保全措置でありますが、これは、企業の倒産により、貯蓄金の返還不能、退職手当の未払いという事態が生ずることを防止するために、事業主に対して、所要の保全措置を講じさせようとするものであります。
第二は、退職労働者の賃金に係る高率の遅延利息制度の創設であります。
すなわち、事業主が退職労働者に賃金を支払わなかったときは、所定の方法で計算した高率の遅延利息を支払わなければならないこととしております。これは、賃金未払い事案のうち、その大部分を占める退職労働者に係る賃金未払いについて、民事的側面からその支払いの促進を図ろうとするものであります。
第三は、未払い賃金の立替払事業の創設であります。
企業の倒産により事業主から賃金を支払われない労働者に対して・未払い賃金のうち一定の範囲のものを事業主にかわって立てかえ払いをすることとしたものであり、政府は、この事業を、今国会に提案している労働者災害補償保険法等の一部を改正する法律案による労働福祉事業として行うこととしております。
なお、未払い賃金の立替払事業によって立てかえ払いされた賃金につきましては、今国会で改正されました租税特別措置法において、課税上の特例措置が講じられることとされております。
そのほか、この法律案において、船員につきまして所要の特例措置を規定しますとともに、その附則において、労働契約の締結に際し、賃金に関する事項については所定の方法により各人に対して明示することを義務づけ、さらに、賃金未払いに対する罰則を強化するため、労働基準法等について所要の改正を行うこととしております。
以上、この法律案の提案理由及び内容の概要につきまして御説明申し上げました。
何とぞ、御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
第77回国会衆議院社会労働委員会議録第5号2頁(昭和51年5月10日)〔長谷川峻労働大臣発言・発言番号6〕 会議録 国会会議録検索システム
附帯決議
政府は、次の事項について適切な措置を講ずるよう配慮すべきである。
一日雇労働者、季節、出稼労働者等の雇用の明確化と安定を図るための施策を充実強化するために、手帳制度の改善を含め、引き続き検討を行い、その具体化を図ること。
二元方事業主の下請に対する雇用管理の改善の指導について実効を確保する方途を確立すること。
三雇用促進事業団が実施する事業については、特に中小企業が十分活用できるよう配慮するとともに、その運用に当たっては関係者の意見を反映できるよう措置すること。
四小規模事業所における社会保険及び退職金共済制度の加入を促進するとともに、今後とも手続の簡素化等その内容の充実に努めること。
五不必要な重層下請制度の是正、労務供給のあり方等建設業の体質改善を積極的に進めること。
六費用の負担について、建設業の特質から中小企業のみにかた寄ることのないよう元請負事業主を含めてその負担の公正を図ること。
出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=107701026)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。