農業災害補償法及び農業共済基金法の一部を改正する法律案
衆議院 農林水産委員会
昭和53年法律第57号
審議経過
右の数字は会議の発言数衆議院農林水産委員会
- S53.4.11趣旨説明・補足説明農林水産委員会 12323
- S53.4.12質疑農林水産委員会 13252
- S53.4.18質疑・採決・附帯決議農林水産委員会 15138
- S53.4.20委員長報告・採決・附帯決議本会議 2443
参議院農林水産委員会
- S53.4.27質疑農林水産委員会 1278
- S53.5.9質疑農林水産委員会 13156
- S53.5.11質疑農林水産委員会 1442
- S53.5.12質疑・採決・附帯決議農林水産委員会 1584
- S53.5.12附帯決議・委員長報告・採決本会議 2143
提案理由
安倍晋太郎 内閣官房長官・農水大臣臨時代理 昭和53年4月11日農業災害補償法及び農業共済基金法の一部を改正する法律案につき、その提案理由及び主要な内容を御説明申し上げます。
農業災害補償制度につきましては、制度創設以来、農業経営の安定のため多大の寄与をしてまいったことは御承知のとおりでありますが、最近における農業事情の変化に対応して、すでに本制度の対象とされている麦、果樹等以外の畑作物及び園芸施設について農業災害補償の制度を創設することが関係各方面から強く要請されております。
政府におきましては、このような事情にかんがみ、昭和四十九年度以降、畑作物共済及び園芸施設共済に関する臨時措置法に基づいて畑作物共済及び園芸施設共済の制度化のための試験を行ってきたのでありますが、その実績等を踏まえて、昭和五十四年度から恒久的な畑作物共済制度と園芸施設共済制度とを創設することとし、この法律案を提出した次第であります。
次に、法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。
まず第一に、畑作物共済及び園芸施設共済の実施体制でありますが、農作物共済等の場合と同様に、農業共済組合または市町村の共済事業、農業共済組合連合会の保険事業及び政府の再保険事業により行うことといたしております。
第二に、畑作物共済の事業の内容であります。まず、対象は、バレイショ、大豆、小豆、インゲン、てん菜及びサトウキビ並びに政令で指定する農作物といたしております。次に、共済金は、気象災害、病虫害等による対象農作物の減収量が一定割合を超えた場合に、その超えた部分の数量に応じて支払うことといたしております。
第三に、園芸施設共済の事業の内容であります。まず、対象は、温室等の特定園芸施設とし、このほか、これにあわせて暖房施設等の付帯施設または施設内農作物も対象とすることができることといたしております。次に、共済金は、気象災害、火災等によりこれらの対象につき生じた損害の程度に応じて支払うことといたしております。
第四に、畑作物共済及び園芸施設共済の加入は、農業者の任意といたしておりますが、事業の安定的な運営ができるよう、農業共済組合等がその旨の議決をした場合には、関係農業者が加入義務を負うこととする道も開いております。
第五に、共済掛金の国庫負担でありますが、農家負担の軽減を図るため、畑作物共済については共済掛金の五分の三を、また、園芸施設共済については共済掛金の二分の一を国庫か負担することといたしております。
第六に、農業共済基金の業務範囲の拡大でありまして、基金は、畑作物共済及び園芸施設共済の共済金等の支払いの円滑化に資するため、必要な資金の融通等ができることといたしております。
なお、以上のほか、農業共済団体等の家畜診療施設の法的位置づけの明確化を行うとともに、所要の規定の整備を行うことといたしております。
以上がこの法律案の提案の理由及び主要な内容であります。
何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願い申し上げます。
第84回国会衆議院農林水産委員会議録第12号41頁(昭和53年4月11日)〔安倍晋太郎内閣官房長官発言・発言番号319〕 会議録 国会会議録検索システム
附帯決議
政府は、本制度が農業経営の安定と農業生産力の維持向上に果たす役割の重要性にかんがみ、左記事項について十分な検討を加え、その拡充強化を図るとともに畑作物共済及び園芸施設共済の本格実施に備え、制度の趣旨徹底を図る等その実施体制に万全を期すべきである。記
一畑作物共済対象作物については、農家の保険需要等を考慮しつつ逐次その対象を拡大すること。特に、現在調査中の露地野菜、茶、ホップ、たばこ、イ草等の農作物については本制度の早期適用を図るとともに飼料作物、そば、なたね及び果菜類等の転作裏作奨励作物についても調査対象とする等、その対象範囲を拡大すること。
二畑作物共済における単位当たり共済金額の最高額は、農家手取り価額を勘案して適正な設定を行い、基準収穫量は、いわゆる災害年の収穫量を除き通常年の収穫量を用いて設定することとし、共済掛金率は、地域の実情に適合したものとなるよう設定すること。
三園芸施設共済における共済掛金の国庫負担限度額については、施設の大型化、装置化の進展にかんがみ、試験実施の場合よりも大幅な引き上げを行うとともに特定園芸施設、附帯施設、施設内農作物の共済金額の設定及びその損害評価については適正な方法を確立し、十分な補償が得られるよう制度の運用を図ること。
四農作物共済については、足切り水準の引き下げ又は比例てん補方式等により補償水準の引き上げを図るよう努めること。
五家畜共済については速やかに馬及び肉豚等に係る共済掛金国庫負担率の改善に努めるとともに実情に即した診療点数の改定及び獣医師の待遇改善を図ること。また家畜診療所の設置運営については、本制度の趣旨に基づき産業動物の診療にあたり、いたずらに開業獣医師との間の摩擦をおこさせないよう十分な指導を行うこと。
六蚕繭共済については、春蚕繭に小蚕期制の早期適用を図るとともに最近の被害率の実態を考慮し、その補償水準の充実を検討すること。
七果樹共済については、加入の促進に努めるとともに現行制度についても根本的な見直しを行い、制度の拡充強化に努めること。
八農業共済団体の事務費に関しては、転作等に伴う水田引受けの大幅な減少を考慮し、その健全な運営に支障をきたさないよう国庫負担の充実を図るとともに最近の業務量の拡大に対処して十分な予算措置を講ずること。特に、共済団体の職員の待遇改善、損害評価員等の手当についてはなお一層の改善に努めること。
政府は、最近の厳しい農業情勢に対処し、農業の経営の安定と健全な発展に資するよう、本制度の一層の整備充実に努めることとし、今回本格実施に移行する畑作物共済及び園芸施設共済についても実効ある運用を図るため、次の事項を十分に検討し、その実現を期すべきである。
一畑作物共済については、可及的に事業実施地域及び対象作物の範囲の拡大を図り、当面露地野菜、茶、ホップ、たばこ、イ草等を実情に即して追加するとともに、共済目的の種類の細分化を合理的に行うこと。なお、調査対象作物に飼料作物、そば、果菜類、なたね等の転作裏作奨励作物をすみやかに加えること。
二畑作物共済の実施にあたつては、地域の実情に適応した推進を図ることとし、農家手取り価額を勘案した単位当たり共済金額の最高額の設定、普通作の収穫量を用いた基準収穫量の設定、適正な掛金率の設定、的確な損害評価方法を確立すること。
三園芸施設共済については、異常事故の適用基準を明確にし、特定園芸施設、附帯施設、施設内農作物について共済価額・共済金額の設定及び損害評価方法につき、その適正化に配慮するとともに、共済掛金の国庫負担限度額を大幅に引き上げること。
四農作物共済の補償内容を充実するため、農家単位引受方式の推進を図るほか、足切り水準の引き下げまたは比例てん補方式の導入、水稲損害防止給付の充実につき検討すること。
五家畜共済については、馬、豚に係る掛金国庫負担割合の改善、生産共済の制度化を検討するとともに、家畜診療所の整備対策を促進し、さらに実情に即した診療点数の改定、獣医師の待遇改善を期すること。また、産業動物の診療について、開業獣医師との連携協力を進め、地域診療体制の整備を図るよう指導すること。
六蚕繭共済については、春蚕繭に小蚕期制の早期適用を期するとともに、最近の被害率の低下傾向を考慮し、その補償内容の改善を検討すること。
七果樹共済については、本格実施移行後の事業実績の推移にかんがみ、加入の積極的促進、運営の改善に努めるとともに、制度の抜本的見直しを行うよう考慮すること。
八農業共済団体の事務費の国庫負担金については、共済職員、共済連絡員、損害評価員等の待遇改善を図ること。また、共済事業の推進・普及の特殊性を踏まえ、業務の複雑化に対処した共済職員の確保、資質の向上に資するため、職員の研修・養成を一段と強化すること。
九農業共済組合の広域合併については、今後ともその推進に努めること。
出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=108401050)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。