道路交通法の一部を改正する法律案
衆議院 地方行政委員会
昭和53年法律第53号
審議経過
右の数字は会議の発言数衆議院地方行政委員会・地方行政委員会運輸委員会交通安全対策特別委員会連合審査会
- S53.4.7趣旨説明・補足説明地方行政委員会 1014
- S53.4.25質疑地方行政委員会 18263
- S53.4.26質疑地方行政委員会運輸委員会交通安全対策特別委員会連合審査会 1364
- S53.4.27質疑・採決・附帯決議地方行政委員会 19204
- S53.4.28委員長報告・採決・附帯決議本会議 2840
参議院地方行政委員会・地方行政委員会、交通安全対策特別委員会連合審査会
- S53.5.9趣旨説明・補足説明・質疑地方行政委員会 12173
- S53.5.10質疑地方行政委員会、交通安全対策特別委員会連合審査会 1108
- S53.5.11質疑・採決・附帯決議地方行政委員会 13179
- S53.5.12附帯決議・採決・委員長報告本会議 2143
提案理由
加藤武徳 自治大臣・国家公安委員会委員長・北海道開発庁長官 昭和53年4月7日ただいま議題となりました道路交通法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明いたします。
この法律案は、最近における道路交通の実情にかんがみ、交通事故を防止し、その他交通の安全と円滑を図り、及び道路の交通に起因する障害の防止に資するため、身体障害者の通行の保護及び自転車の通行の安全の確保に関する規定を整備し、自動二輪車等の運転者の遵守事項に関する規定を整備し、その他交通方法に関する規定を合理化するとともに、副安全運転管理者の設置等安全運転管理の強化に関する規定を整備し、行政処分制度に関する規定を整備し、その他運転者対策の推進を図ること等をその内容としております。
以下、各項目ごとにその概要を御説明いたします。
第一は、交通事故の防止等を図るための規定の整備であります。
その一は、身体障害者の通行を保護するための規定の整備でありますが、これは、目が見えない者は盲導犬を連れて道路を通行することができることとすること、身体障害者用の車いすが通行している場合において、車両等の運転者はその通行を妨げないようにしなければならないこととすること等をその内容といたしております。
その二は、自転車の通行の安全を確保するための規定の整備でありますが、これは、自転車の定義を設けるほか、自転車の交通方法の特例について新たに節を設けて関係規定を整備すること、自転車は自転車横断帯により道路を横断または通行しなければならないこととし、自転車横断帯を通行している自転車の保護について規定を整備すること、歩道等を通行することができる自転車の大きさ等を定め、歩道を通行する場合における自転車の通行方法について規定を整備すること、自転車の運転者は、制動装置または反射器材を備えていない自転車を運転してはならないこととすること等がその内容であります。
その三は、自動二輪車の運転者等の遵守事項に関する規定の整備でありますが、これは、自動二輪車の運転者は所定の乗車用ヘルメットをかぶって運転しなければならないこととすること、原動機付自転車の運転者は所定の乗車用ヘルメットをかぶって運転するように努めなければならないこととすること、自動車等の運転者は二台以上の自動車等を連ねて通行させ、または並進させる場合において共同して、著しく道路における交通の危険を生じさせる行為等をしてはならないこととすること等をその内容といたしております。
その四は、高速自動車国道等における運転者の遵守事項に関する規定の整備でありますが、これは、自動車の運転者は高速自動車国道等において自動車を運転しようとするときは燃料の量、貨物の状態等を点検し、必要な措置を講じなければならないこととすること、故障等により本線車道等において運転することができなくなったときの措置について規定を整備すること等をその内容といたしております。
第二は、運転者対策の推進を図るための規定の整備であります。
その一は、安全運転管理の強化を図るための規定の整備でありますが、これは、車両等の使用者は運転者等に対し、安全運転に関する事項を遵守させるように努めなければならないこととすること、自動車の使用者は、安全運転管理者の業務を補助させるため副安全運転管理者を選任しなければならないこととすること、公安委員会は、安全運転管理者を選任している自動車の使用者等に対し報告または資料の提出を命ずることができることとするとともに、自動車の使用者等が積載制限違反等の違反行為を下命または容認した場合において運転者がその違反行為をしたときは、当該自動車の使用者に対してその違反に係る自動車の使用の制限を命ずることができることとし、この命令の実施について所要の規定を整備すること等をその内容といたしております。
その二は、運転免許制度に関する規定等の整備でありますが、これは、緊急自動車等一定の自動車を運転することができる者の資格の制限について規定を整備すること、仮免許の有効期間を三ヵ月から六ヵ月に延長すること、運転免許の行政処分を現に受けている者は国際運転免許証で自動車等を運転することができないこととすること等がその内容であります。
その三は、行政処分制度に関する規定の整備でありますが、これは、道路運送車両法第五十八条第一項の規定等に違反した者に対する運転免許の行政処分について規定を整備すること、運転者が交通事故を起こした場合において警察署長が運転免許の仮停止等の処分を行うことができる事項について規定を整備すること等がその内容であります。
その四は、副安全運転管理者に対する講習及び公安委員会の行う車両等の運転者に対する講習に関する規定の整備であります。
その五は、運転免許試験手数料等についてその限度額を引き上げることとすることであります。
その六は、罰則及び交通反則通告制度に関する規定の整備でありますが、これは、麻薬等の影響により正常な運転ができないおそれがある状態で車両等を運転した者に対する罰則を引き上げるとともに、その運転者を非反則者とすること、高速自動車国道等における自動二輪車の二人乗り行為を反則行為とすること等をその内容としております。
なお、この法律は、改正点が多く改正内容の周知徹底等に相当の日数を要するものと考えられますので、昭和五十三年十二月一日から施行することとしております。ただ、緊急自動車等一定の自動車を運転することができる者の資格の制限に関する規定は、昭和五十四年四月一日から施行することといたしております。
以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。何とぞ慎重御審議の上、速やかに御賛同を賜りますようお願いいたす次第であります。
第84回国会衆議院地方行政委員会議録第10号1頁(昭和53年4月7日)〔加藤武徳自治大臣発言・発言番号2〕 会議録 国会会議録検索システム
立法資料のある条文
この法律案の審議で取り上げられた条(政府答弁の件数順)附帯決議
政府は、現下の道路交通の実態にかんがみ、交通事故を防止し、その他交通の安全と円滑を図るため、改正法律の趣旨を国民に周知徹底せしめるとともに、特に左の諸点について遺憾なきを期すべきである。
一国民皆免許時代を迎えた今日、運転免許制度及び運転者教育のあり方に十分な検討を加え、すみやかにその改善を図ること。
二児童、生徒をふくめ歩行者に対する交通安全教育をさらに積極的に推進すること。
三自転車事故が多発する状況にあることにかんがみ、自転車の安全な利用を確保するため、関係機関による総合的な対策を積極的に推進すること。
四改正法第六十八条における共同危険行為等の禁止規定は、いわゆる暴走族の不法行為を排除するために設けられた規定であつて、いやしくも正当な政治活動、労働運動等に乱用されることのないよう慎重に配慮すること。
五積載制限違反等悪質な道路交通法違反行為が事業者等によつて助長されている状況にかんがみ、すみやかに、これが防止のため根源的かつ総合的対策を積極的に推進すること。
六道路における交通環境の一層の改善を図るとともに、道路標識等交通安全施設の整備及び保全に万全を期すること。
七沖繩県における交通方法の変更に当たつては、交通に混乱を生ずることのないよう通行方法の周知徹底、道路の改良等、交通安全確保のため適切な措置を講ずること。
道路交通の当面の課題は、交通事故をさらに抑制し、生活環境との調和をはかりつつ、交通の円滑化を実現することにある。よって政府は、改正法律の周知徹底に努めるとともに、すみやかに左の諸点に留意し、善処すべきである。
一国民皆免許の段階に即応した健全な車社会の実現を図るため、運転免許制度及び学校社会における運転、安全教育の在り方を検討し、改善をはかること。
二総合的な交通安全対策の確立をはかるため、国民各階層の意見を十分反映させるよう配慮すること。
三暴走族対策として新設された「共同危険行為等の禁止」の規定が正当な政治活動、労働運動等に適用されることは絶対許されないので、立法趣旨の徹底をはかること。
四積載制限違反等悪質な道路交通法違反行為が、事業者、荷主等によって助長されている状況にかんがみ、すみやかに、これが防止のため労働条件の改善を含め、根源的、かつ、総合的対策を積極的に推進すること。
五旅客自動車運送事業の運転者の選任については、関係法規の趣旨にてらし、適切な指導監督を強化するよう措置すること。
六道路交通の規制は、地域社会の生活・営業活動等に重大な影響を与えるものであることにかんがみ、住民の意見が十分反映されるよう措置すること。
七沖繩県における交通方法の変更に当たっては、交通に混乱を生ずることのないよう通行方法の周知徹底、道路の改良等、交通安全確保のため適切な措置を講ずること。
八聴覚言語障害者の運転免許資格については、所要の措置を講じ、安全を確認のうえ、取得できるよう努めること。
九交通の指導取締りの適正を期するため、警察官の資質の向上に努め、いやしくも「取締りのための取締り」とならぬよう周到な配慮を行うこと。
出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=108401062)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。