原子力損害の賠償に関する法律の一部を改正する法律案
参議院 科学技術振興対策特別委員会
昭和54年法律第44号
審議経過
右の数字は会議の発言数衆議院科学技術振興対策特別委員会
- S54.3.13趣旨説明・質疑本会議 1322
- S54.3.14趣旨説明科学技術振興対策特別委員会 44
- S54.3.22質疑・採決・附帯決議科学技術振興対策特別委員会 5242
- S54.3.23委員長報告・採決・附帯決議本会議 1825
参議院科学技術振興対策特別委員会
- S54.4.27趣旨説明科学技術振興対策特別委員会 9167
- S54.4.27趣旨説明・質疑本会議 1374
- S54.6.1質疑科学技術振興対策特別委員会 13131
- S54.6.4質疑・附帯決議・採決科学技術振興対策特別委員会 1442
- S54.6.6附帯決議・採決・委員長報告本会議 1733
提案理由
金子岩三 科学技術庁長官 昭和54年3月13日原子力損害の賠償に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明いたします。
原子力の開発利用を進めるに当たりましては、安全の確保を図ることが大前提であることは申すまでもありませんが、さらに万一の際における損害賠償制度を確立し、被害者の保護に遺漏なきを期することにより国民の不安感を除去するとともに、原子力事業の健全な発展に資することが必要であります。
このような観点から、原子力損害の賠償に関する法律が昭和三十六年に制定され、原子力事業者に無過失損害賠償責任を課すとともに、原子力事業者への責任の集中、損害賠償措置の義務づけ等の一連の制度を導入してまいったのであります。
しかしながら、この法律では、従来、一般人の受けた原子力損害を対象としており、原子力事業者の従業員の業務上受けた損害は、その対象とはしていなかったのであります。この点については、国会を初めとして各方面より、原子力事業者の従業員の受けた損害を対象とすべきであるとの指摘が行われており、一般人と従業員とを特に区別せず、従業員の受けた損害の賠償体系を整備することが必要と考えられます。
また、昭和四十六年の法改正時よりすでに八年を経過しようとしており、この間の情勢の変化に照らし、賠償の履行を確実ならしめるため用意されている賠償措置の額についても見直しを行う必要があるとともに、原子力損害賠償補償契約及び国の援助の制度についても、今後の原子力の開発利用を進めるに当たって、引き続きその存続を図ることが不可欠であります。
これら諸点につきましては、従来原子力委員会において鋭意検討してまいりましたが、このたびその結論が得られましたので、これに沿うて改正案を取りまとめ、ここに提出いたした次第であります。
次に、本法律案の要旨を述べさせていただきます。
第一に、現在本法の対象から除かれている原子力事業者の従業員の業務上受けた損害を本法の賠償の対象とするとともに、労働者災害補償制度による給付との間で所要の調整を行うこととしております。
第二に、現在の賠償措置額六十億円について、諸般の事情を勘案し、百億円に引き上げることとしております。
第三に、原子力損害賠償補償契約及び国の援助に関する規定の適用を延長し、昭和六十四年十二月三十一までに開始された原子炉の運転等に係る原子力損害について適用するものとしております。
以上が、原子力損害の賠償に関する法律の一部を改正する法律案の趣旨でございます。(拍手)
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原子力損害の賠償に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
第87回国会衆議院会議録第13号2頁(昭和54年3月13日)〔金子岩三科学技術庁長官発言・発言番号14〕 会議録 国会会議録検索システム
附帯決議
政府は、本法施行にあたり、本法を発動しなければならない事態を起こさないよう、安全の確保に万全を期するとともに、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。
一下請従業員を含む原子力事業従事者の被ばく線量の中央登録及び放射線管理手帳の交付、所持を義務づける制度の確立を図る等、従業員被ばく対策を強化すること。
二放射線業務に係る作業基準について、従業員被ばくの低減の見地から見直しを行うよう強力に指導すること。
三労働者災害補償保険給付に係る認定の弾力的運用を図るほか、無過失損害賠償責任の趣旨を生かし、迅速な被害者救済が行われるよう、制度の活用を図ること。
四低線量放射線の人体への影響等、放射線の影響に関する研究を一層推進すること。
五不測の事態が発生した場合の緊急医療対策等の体制整備を図ること。
政府は、本法施行にあたり、原子力開発利用における安全の確保に万全を期するとともに、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。
一賠償措置額については、今後一層の引上げに努めること。
二原子力損害の原因の認定が客観的かつ公平に行われ、迅速な被害者救済がなされるよう現行諸制度の弾力的運用を図ること。
三下請従業員も含め原子力事業従業員の被ばく対策に万全を期し、特に、被ばく線量の中央登録管理、放射線管理手帳の交付については、それらの義務付けのための検討も含め強化、整備を図ること。
四低レベル放射線の人体に対する影響に関する研究等を強力に推進すること。
五不則の事態に対処するため、速やかに原子力損害賠償紛争審査会の体制整備を図るとともに、緊急医療対策、防災対策等の充実、強化を図ること。
出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=108701009)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。