薬事法の一部を改正する法律案
参議院 社会労働委員会
昭和54年法律第56号
審議経過
右の数字は会議の発言数参議院社会労働委員会
- S54.9.6趣旨説明・質疑・採決・附帯決議社会労働委員会 1140
- S54.9.7附帯決議・委員長報告・採決本会議 451
提案理由
橋本龍太郎 厚生大臣 昭和54年9月4日次に、ただいま議題となりました薬事法の一部を改正する法律案について、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
現行薬事法は、占領下において制定された旧薬事法を昭和三十五年に全面的に改めて制定されたものであり、以後ほとんど改正が行われずに今日に至っております。
しかしながら、医薬品を取り巻く環境は、この間に大きく変化してきており、特に昭和三十六年に発生したサリドマイド事件は、世界的に大きな衝撃を与え、医薬品の有効性と安全性の確保が、各国薬事行政の最重要課題として改めて深く認識されるに至ったわけであります。
このような状況に対し、諸外国においては、薬事法の改正を行い、各種の対策を講じてきたところでありますが、わが国においては、新薬承認の厳格化等、主として行政指導により各般の施策を積極的に展開してきたところであります。
今回の改正は、これまでの行政指導による施策の実績を踏まえ、さらに、その徹底を図ることを主眼とするものであり、したがって、医薬品等の有効性及び安全性の確保がその中心課題となっております。本法案は、御承知のように、第八十七回国会において御審議を煩わしたのでありますが、審議未了となったものであります。今回は、第八十七回国会での御審議の経過を十分に尊重し、修正点を全面的に加えて、再度、御審議を煩わしたいと考え、この法案を提出した次第であります。
以下、この法案の主な内容につきまして御説明申し上げます。
第一に、薬事法は、医薬品等に関する事項を規制し、もって医薬品等の品質、有効性及び安全性を確保することを目的とすることとしております。
第二に、日本薬局方におさめられている医薬品についても原則としてその製造または輸入を承認にかからしめること、承認拒否事由を明示すること等、医薬品等の承認に関する規定を整備することとしております。
第三に、すでに承認されている医薬品と有効成分等が明らかに異なる新医薬品については、承認を受けた後原則として六年後に、厚生大臣の再審査を受けなければならないこととするとともに、この間、当該医薬品の使用の成績等に関する調査を行い、その結果を厚生大臣に報告しなければならないこととしております。
第四に、厚生大臣が中央薬事審議会の意見を聴いて公示した医薬品については、厚生大臣の再評価を受けなければならないこととしております。
第五に、厚生大臣は、薬局等における医薬品の試験検査の実施方法その他薬局開設者、医薬品の製造業者、一般販売業者等がその業務に関し遵守すべき事項を厚生省令で定めることができることとしております。
第六に、医薬品等の使用の期限の表示、一定の成分を含有する化粧品及び医薬部外品の成分の表示等医薬品等の表示に関し所要の規制を行うこととしております。
第七に、医薬品による保健衛生上の危害の発生または拡大を防止するために必要な場合に、厚生大臣が発する緊急命令に関する規定を新たに設けるとともに、承認の取り消し、回収等の規定の整備を行うこととしております。
第八に、医薬品または医療用具の製造業者、卸売一般販売業者等は、薬局、病院等の開設者または医師、薬剤師等の医薬関係者に対し、医薬品または医療用具の有効性及び安全性等に関し必要な情報の提供に努めるものとするとともに、薬局開設者等は製造業者等が行う情報の収集に協力するよう努めることとしております。
第九に、承認申請資料として必要な臨床試験成績の収集を目的とする治験の依頼に関し、治験計画の事前の届け出等所要の規制を行うこととしております。
第十に、一定の動物用医薬品について、食用に供される肉、乳等への残留を防止する観点から、使用できる対象動物、使用の時期等につき所要の使用規定を行うこととしております。
なお、この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとし、また、この法律の施行に伴い所要の経過措置を設けることとしております。
以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。(拍手)
第88回国会衆議院社会労働委員会議録第1号3頁(昭和54年9月4日)〔橋本龍太郎厚生大臣発言・発言番号8〕 会議録 国会会議録検索システム
立法資料のある条文
この法律案の審議で取り上げられた条(政府答弁の件数順)附帯決議
政府は、本法施行に当たり、次の事項につき格段の努力を払うべきである。
一医薬品の特殊性を十分考慮しつつ、本救済制度に無過失責任を導入することについて、今後とも検討を続けること。
二中央薬事審議会の判定部門については、機構の充実を図り、救済対象被害の判定が迅速かつ適正に行われ、被害者が不利にならないよう特に留意すること。なお、委員の構成については、医学、薬学の専門家のほか法律の専門家を加える等公正な判定が行われるよう配慮すること。また、判定については、主治医の積極的協力が得られるよう関係団体等に対し、本制度の趣旨の徹底を図ること。
三救済対象から除外されるがんその他の特殊疾病に使用される医薬品の範囲については、真にやむを得ざるもののみに限定するものとすること。
四救済給付の給付水準については、被害者の実情に即し、また他の諸制度も勘案し、その改善が図られるよう配慮すること。
五国は、救済基金の安定した運営が行われるよう、国庫補助その他につき適切な措置を講ずること。
六スモン患者を早急に救済するため、鑑定の迅速化を図り、一時金の支払い等を速やかに実施するとともに、投薬証明書のないスモン患者についても同様の対応策を早急に具体化し、さらに恒久対策を充実すること等によりスモン問題の全面解決を図ること。
七既発生被害の救済に関する事業については、これが円滑に行われるよう、金融面その他につき適切な措置を講ずること。
出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=108801022)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。