酪農振興法の一部を改正する法律案
衆議院 農林水産委員会
昭和58年法律第48号
審議経過
右の数字は会議の発言数衆議院農林水産委員会
- S58.4.19趣旨説明・補足説明農林水産委員会 11129
- S58.4.27質疑農林水産委員会 12226
- S58.4.28質疑・採決・附帯決議農林水産委員会 13132
- S58.5.10委員長報告・採決・附帯決議本会議 2053
参議院農林水産委員会
- S58.5.10趣旨説明・補足説明農林水産委員会 10136
- S58.5.12質疑・採決・附帯決議農林水産委員会 11141
- S58.5.13附帯決議・採決・委員長報告本会議 1440
提案理由
金子岩三 農林水産大臣 昭和58年4月19日酪農振興法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。
近年、わが国の肉用牛生産は、繁殖及び肥育の両部門を通じて規模拡大が着実に進展する等農業経営の重要な一部門として成長しつつあり、国内草資源を有効に活用する農業生産部門として、農業及び農山村の振興を図る上で重要な役割りを担っております。特に、牛肉の需要が今後とも比較的堅調に推移するものと見込まれること、水田利用再編等農業生産の再編成を進めることが必要となっていること等から、肉用牛生産を土地利用型農業の基軸として位置づけ、長期的な視点に立ってその健全な発展を図ることが農政の重要な課題となっております。
しかしながら、肉用牛生産をめぐる内外の環境は厳しく、国民に対し牛肉を安定的に供給し、肉用牛経営の健全な発展を図るためには、粗飼料給与率の向上等により生産性の向上を推進し、経営体質の強化を図ることが緊要となっております。また、近年、国内産の牛肉の七割が乳用種の牛によって占められるに至っていること、一部には乳肉複合経営が進展していること等に見られるように、肉用牛生産と酪農は密接に関連してきております。このため、酪農の発展と整合性をとりつつ、肉用牛生産の振興を図ることが必要となっております。
以上のような肉用牛生産をめぐる情勢にかんがみ、肉用牛生産と酪農との結びつきの強化に留意しつつ、肉用牛生産の振興に関する制度の整備強化を図ることとし、この法律案を提案することとした次第であります。
次に、この法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。
第一に、今回の改正の趣旨に即し、法律の題名を酪農及び肉用牛生産の振興に関する法律に改めることとしております。
第二に、現行の酪農近代化計画制度を改め、酪農及び肉用牛生産の近代化を統合的に推進するための計画制度とすることとしております。このため、国の基本方針、都道府県計画及び市町村計画の内容として、肉用牛生産の近代化を図るための事項を追加することとしております。
第三に、市町村計画の作成された市町村において酪農経営または肉用牛経営を営む者が経営改善計画を作成し、市町村長の認定を受ける制度を設けるとともに、その認定を受けた場合には、農林漁業金融公庫等から経営改善計画を実施するために必要な長期かつ低利の資金の貸し付けを行うこととしております。
この場合、肉用牛の購入または飼養に必要な資金につきましては、償還期限及び据え置き期間の特例措置を設けることとしております。
第四に、肉用子牛の価格安定制度につき法制化を行うこととしたことであります。すなわち、国及び都道府県は、肉用子牛の価格の著しい低落に際し生産者補給金を交付する事業を行う都道府県ごとの公益法人に対し、その事業の円滑な実施のために必要な助言、指導、経費の補助その他の援助を行うように努めることとしております。また、国は、全国規模の公益法人で、都道府県ごとの公益法人に生産者補給金の交付に充てるために必要な資金を貸し付ける事業等を行うものに対しても、その事業の円滑な実施のために必要な援助を行うように努めることとしております。
以上がこの法律案の提案の理由及び主要な内容であります。
何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
第98回国会衆議院農林水産委員会議録第11号20頁(昭和58年4月19日)〔金子岩三農林水産大臣発言・発言番号121〕 会議録 国会会議録検索システム
附帯決議
まず、案文を朗読いたします。酪農振興法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)大家畜生産の振興は、今後の牛肉、牛乳・乳製品の需要の堅調な伸びに応えるとともに、国内草資源の有効活用とあわせ地域農業の展開、農山村の振興を図る上で重要な課題となっている。よって政府は、大家畜生産を我が国の土地利用型農業の基軸として位置づけ、その積極的振興が図られるよう左記事項の実現に万遺憾なきを期すべきである。記
一牛肉の国内生産の維持増大と肉用牛経営の安定・合理化を図るため、繁殖経営等の規模拡大、乳肉複合経営の育成、一貫経営の推進、肥育期間の短縮等に必要な各種施策の積極的な推進に努めること。
二牛肉の輸入自由化及び枠拡大要請については、本委員会の決議の趣旨に従い、国内の畜産農家が犠牲になることのないよう対処すること。
三経営改善計画の作成に当たっては、過剰投資につながることのないよう十分指導するとともに、畜産経営拡大資金については、資金需要の実態に応じた融資枠の確保、借入手続の簡素化等に努めること。
四繁殖経営の健全な育成に資するよう、肉用子牛価格安定事業の推進に必要な予算の確保に努めること。また、これとあわせ、肥育農家に対する素牛価格の安定対策の推進に努めること。
五牛肉の流通合理化を図るため、産地食肉センター等の整備、取引規格の改善及び品質表示の普及等必要な措置を講ずること。
六肉用牛の生産振興とあわせ、酪農の固定化負債の整理等酪農経営の体質の改善強化を図る各種施策の実施に的確を期するとともに、飲用牛乳の流通については、秩序ある取引と適正な価格形成が図られるよう早急に体制の整備をすること。
七合理的な大家畜生産の基盤となる粗飼料の増産を図るため、草地開発と田畑輪換使用のための土地改良の推進、裏作の促進及び低未利用資源の活用等に必要な施策を積極的に推進すること。また、転作田による良質粗飼料の確保を図るとともに、飼料用稲に関する試験研究を推進すること。
大家畜生産の振興は、今後の牛肉、牛乳・乳製品の需要の堅調な伸びに応えるとともに、国内草資源の有効活用とあわせ地域農業の展開、農山村の振興を図る上で重要な課題となっている。よって政府は、大家畜生産を我が国の土地利用型農業の基軸として位置づけ、その積極的振興が図られるよう次の事項の実現に万遺憾なきを期すべきである。
一牛肉生産の拡大と肉用牛経営の安定・合理化を図るため、繁殖経営等の規模拡大、乳肉複合経営の育成、一貫経営の推進、肥育期間の短縮等に必要な各種施策の的確な推進に努めること。
二牛肉の輸入自由化及び枠拡大要請については、本委員会における「農畜水産物の輸入自由化反対に関する決議」に即して、国内の畜産農家が犠牲となることのないよう対処すること。
三酪農・肉用牛生産近代化計画の作成に当たっては、肉用牛経営の地域ごとの実情に十分配慮し、適切な振興合理化方策を明らかにするとともに、経営改善計画の認定、資金の貸付けに当たっては、健全な経営の確保に十分配慮した指導を行うこと。また、畜産経営拡大資金については、資金需要の実態に応じた融資枠の確保、借入手続の簡素化等に努めること。
四繁殖経営の安定に資するよう肉用子牛価格安定事業の推進に必要な予算の確保及び乳用雄子牛に係る加入率の向上に努めること。また、これとあわせ、肥育農家に対する素牛価格の安定対策の推進に努めること。
五牛肉の流通合理化を一層推進するため、産地食肉センター等の整備、部分肉取引の促進、取引規格の改善、品質表示の普及等必要な措置を講ずること。
六酪農経営の固定化負債の整理等、経営体質の改善強化を図るための各種施策を的確に実施すること。また、飲用牛乳の流通については、秩序ある取引と適正な価格形成が図られるよう適切に対処すること。
七合理的な大家畜生産の基盤となる粗飼料の供給を確保するため、草地開発と田畑輪換使用のための土地改良の推進、裏作の利用促進、低未利用資源の活用、林間放牧の推進等、地域の実態に応じた施策を積極的に推進すること。また、転作田による良質粗飼料の確保を図るとともに、飼料用稲に関する試験研究を推進すること。
出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=109801043)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。