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国会審議›第101回国会›閣法第22号
閣法第101回国会 第22号成立修正あり

健康保険法等の一部を改正する法律案

昭和59年法律第77号 健康保険法等の一部を改正する法律
提出昭和59年5月25日 内閣
付託衆議院 社会労働委員会
参議院 社会労働委員会
参議院 社会労働委員会公聴会
成立
昭和59年法律第77号
審議会議 23回・発言 3,979(政府答弁等 1,654)

審議経過

右の数字は会議の発言数

衆議院社会労働委員会

  1. S59.4.3趣旨説明・質疑本会議 1428
  2. S59.4.5趣旨説明社会労働委員会 6174
  3. S59.4.12質疑社会労働委員会 7339
  4. S59.4.19質疑社会労働委員会 9258
  5. S59.5.9参考人招致社会労働委員会 12151
  6. S59.5.10質疑社会労働委員会 13305
  7. S59.6.21質疑社会労働委員会 17284
  8. S59.6.28質疑社会労働委員会 19352
  9. S59.7.5派遣委員報告・質疑・派遣委員意見聴取社会労働委員会 21384
  10. S59.7.12質疑・修正案趣旨説明・討論・採決(修正)・附帯決議・修正案社会労働委員会 24333
  11. S59.7.13委員長報告・討論・採決(修正)・附帯決議本会議 3524
  12. S59.8.7参議院回付案同意・参議院回付案本会議 406

参議院社会労働委員会・社会労働委員会公聴会・社会労働委員会,地方行政委員会,大蔵委員会,運輸委員会連合審査会

  1. S59.7.16趣旨説明・質疑本会議 2326
  2. S59.7.17趣旨説明・衆議院修正部分趣旨説明・質疑社会労働委員会 14306
  3. S59.7.24質疑社会労働委員会 15282
  4. S59.7.25参考人招致社会労働委員会 1678
  5. S59.7.30公聴会社会労働委員会公聴会 1110
  6. S59.7.31質疑社会労働委員会 17342
  7. S59.8.2質疑社会労働委員会 18274
  8. S59.8.3質疑社会労働委員会,地方行政委員会,大蔵委員会,運輸委員会連合審査会 1224
  9. S59.8.3質疑社会労働委員会 19122
  10. S59.8.4質疑・修正案趣旨説明・討論・採決(修正)・附帯決議・修正案社会労働委員会 2064
  11. S59.8.6附帯決議・委員長報告・討論・採決(修正)本会議 2814

提案理由

渡部恒三 厚生大臣 昭和59年4月3日

ただいま議題となりました健康保険法等の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明いたします。

 我が国の医療費は、人口の急速な高齢化、疾病構造の変化、医学医術の高度化等により根強い増加傾向を示す一方、経済成長は鈍化し、今後医療費と国民の負担能力との間の乖離が拡大していくおそれがあります。

 また、厳しい国家財政の状況下で、国庫による各医療保険制度間の不均衡の調整機能を維持することが困難となってきております。このような状況に的確に対応し、本格的な高齢化社会に備え、中長期の観点に立った医療保険制度の改革を行うことは緊要の課題となっております。

 今回の改正は、このような情勢を踏まえ、医療保険の揺るぎない基盤づくりを進め、すべての国民が適正な負担で公平によい医療を受けることができるよう、医療費の適正化、保険給付の見直し、負担の公平化を三本の柱とした制度全般にわたる改革を目指したものであります。

 改正案の主要事項について、概略を御説明いたします。

 第一は、医療費の適正化のための改正であります。

 保険医療機関等の不正不当を排除するため、診療内容が適切を欠くおそれがあるとして重ねて厚生大臣等の指導を受けている保険医療機関等については、その再指定を行わないことができることとし、また、不正請求による処分を逃れるために保険医の登録を取り下げる等の場合については、再登録等を行わないことができることとしております。

 さらに、社会保険診療報酬支払基金の主たる事務所に特別審査委員会を新設し、極めて高額の診療報酬請求書等について重点的な審査を行うこととしております。

 第二は、医療保険における給付の見直しであります。

 まず、被用者保険本人の給付率を改定することとしております。

 現在、被用者保険本人の給付率は十割、その家族は入院八割、外来七割であり、また、国民健康保険の給付率は、世帯主、家族とも入院、外来七割となっております。このような給付率の格差を漸次縮小し、全国民を通じて公平化を図っていくとともに、かかった医療費の額がわかりやすくなること等により医療費の効率化が促進されるという見地から、被用者保険本人の給付率を昭和六十年度までは定率九割、昭和六十一年度からは定率八割に改めることとしております。なお、これに伴い、現行の初診時一部負担金及び入院時一部負担金は廃止することとしております。

 また、受診時の自己負担額が過大とならないよう、被用者保険本人についても、その家族や国民健康保険の被保険者と同様の高額療養費支給制度を設けることといたしております。

 次に、療養費の支給に関する改正であります。

 新しい医療技術の出現や患者の欲求の多様化等に対応し、高度医療や特別のサービス等について保険給付との調整を図るため、療養費制度を改正するものであります。これは、高度の医療を提供すると認められる特定承認保険医療機関において療養を受けた場合や、保険医療機関において特別の病室の提供等厚生大臣の定める療養を受けた場合に特定療養費を支給するものであります。なお、この療養費については、被保険者への支給にかえて、直接医療機関に支払いを行うことができることとしているほか、被保険者が支払った費用については、領収証の交付を義務づけることとしております。

 第三は、医療保険制度の合理化等による負担の公平化であります。

 まず、退職者医療制度を創設することとしております。

 事業所の退職者は、退職後、国民健康保険の加入者となるため、給付水準が低下し、また、その医療費の負担は、主として国庫と自営業者や農業者等他の国民健康保険加入者に依存することとなるという不合理と不公平が生じておりますので、これを是正するため、退職者医療制度を創設することとしたものであります。

 すなわち、これらの退職者及びその家族を対象に、市町村が国民健康保険事業の一部として事業を行い、給付率は、退職者本人は入院、外来八割、家族は入院八割、外来七割とし、また、高額療養費支給制度を適用することとしております。この医療給付に要する費用の負担は、退職者及びその家族の支払う国民健康保険の保険料と現役の被用者及び事業主が負担する拠出金により賄うこととしております。

 次に、国民健康保険の国庫補助に関する改正であります。

 退職者医療制度の創設等による市町村国民健康保険への財政影響等を考慮し、市町村に対する国庫補助を現行の医療費の百分の四十五から医療給付費の百分の五十へと変更するとともに、国庫補助の財政調整機能を強化することとしております。さらに、国民健康保険組合に対する国庫補助についても、補助対象を医療費から医療給付費に改める等所要の改正を行うこととしております。

 第四に、日雇労働者の健康保険の体系への取り入れに関する改正であります。

 日雇労働者健康保険制度を廃止し、日雇労働者を健康保険の日雇特例被保険者とするとともに、その給付内容及び保険料については、就労の特性を考慮し、一般の被保険者と実質的に均衡のとれたものとなるよう定めております。

 また、国庫は、政府管掌健康保険の事業所の日雇特例被保険者に係る給付費等について、一般の被保険者についてと同一の補助率により補助を行うこととしております。

 なお、廃止前の日雇労働者健康保険事業に係る累積収支不足については、借り入れをすることができることとし、その償還を一般会計からの繰り入れにより行うことができることとしております。

 以上のほか、保険料負担の適正を図るため、標準報酬等級について所要の調整を行うこと、船員保険法、国家公務員等共済組合法等の共済組合法についても、健康保険法に準じた改正を行うこと等の改正を行うこととしております。

 なお、この法律の施行期日は本年七月一日からとしておりますが、退職者医療の拠出金等に関する重要事項について社会保険審議会の意見を聞くこと等については公布の日から、また、標準報酬等級の改定については本年十月一日からとしております。

 以上が、健康保険法等の一部を改正する法律案の趣旨でございます。よろしくお願いします。(拍手)

     —————・—————

 健康保険法等の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑

第101回国会衆議院会議録第14号1頁(昭和59年4月3日)〔渡部恒三厚生大臣発言・発言番号3〕 会議録 国会会議録検索システム

判例が引用した会議録

附帯決議

衆議院 社会労働委員会昭和59年7月12日

政府は、次の事項につき、適切な措置を講ずるよう努力すべきである。

一高額療養費支給制度については、高額な医療費負担による家計への影響を緩和するため、家計の負担能力に適切に対応した仕組みとなるよう所要の改善を図るとともに、血友病等長期高額医療費の疾病については、患者負担の軽減等に努めること。また、融資制度の導入・活用等、現行給付方式の改善を図るよう配慮すること。

二国民健康保険の運営については、退職者医療制度の創設に伴う国庫補助の引下げ及び国庫補助基準の変更により安定的な事業運営が損なわれることのないよう配慮すること。

三退職者医療制度の運営に当たっては、被用者保険の負担が過重とならないよう適切な配慮を行うとともに、市町村においては国民健康保険事業の運営について一層の経営努力を行うこと。

四日雇労働者の健康保険については、政府管掌健康保険の健全な運営に支障をきたすことのないよう適切な配慮をするとともに、日雇労働者の就労の特性に配慮しつつ、一般の被保険者との均衡に欠けることのないよう留意すること。

五特定療養費制度の運用に当たっては、自由診療の大幅な拡大や保険診療の後退をもたらすことのないよう細心の配慮をもって運用し、高度医療についても、適正な保険医療の確保を図ること。また、従来から指摘している差額ベッド等に見られる不当な保険外負担について、一層の適正化を図ること。特に、私立医科大学における問題の解決を図ること。

六診療報酬については、技術重視の診療報酬体系を確立し、その合理化を図ること。また、家庭医の特性に応じた診療報酬について検討すること。

七薬価基準の適正化、医療機関に対する指導監査の徹底、医療費通知の充実等の医療費適正化対策を積極的に推進することにより、不適切な医療を排除し、医療費及び医療内容の適正化を図ること。

八診療報酬支払基金等におけるレセプト審査のコンピューター化の推進等、支払審査事務全般にわたる合理化を推進すること。

九医薬分業については、その基盤づくりに努めるとともに、分業実現に向けて具体的計画の策定に努めること。

十成人病の予防その他国民のライフサイクルに応じた健康づくり対策の積極的推進を図るため、保健所及び市町村の保健活動の強化に努めること。

十一地域医療の確保のため、へき地等における関係従事者及び関係施設の確保に努めるとともに、家庭医の標ぼうを認める等プライマリ・ケアについてはその制度化を含めた充実を図り、地域の実情に即した医療供給体制の体系的整備を推進すること。

十二医師、歯科医師、薬剤師及びその他の医療従事者については、今後の医療需要の動向等を踏まえて、養成確保対策を見直すこととし、適正な水準を確保すること。

十三医療機関における健全かつ安定的な経営の確保のため、経営基盤及びその環境の条件整備に努めることとし、医業経営が薬価差益に依存することのないよう関連制度の改善に努めること。

十四保険財政の状況等を勘案し分娩費等現金給付の改善を図るとともに、傷病手当金と障害年金等との併給調整について検討すること。

十五退職者の任意継続加入者の保険料納入方法に関し、前納制の導入について検討すること。

参議院 社会労働委員会昭和59年8月4日

政府は、次の事項につき、適切な措置を講ずべきである。

一国民健康保険の連営については、退職者医療制度の創設に伴う国庫補助の引下げ及び国庫補助基準の変更により安定的な事業運営が損なわれることのないよう配慮すること。また、退職者医療制度の運営に当たっては、被用者保険の負担が過重とならないよう適切な配慮を行うとともに、市町村においては国民健康保険事業の運営について一層の経営努力を行うこと。

二日雇労働者の健康保険については、政府管掌健康保険の健全な運営に支障をきたすことのないよう適切な配慮をするとともに、日雇労働者の就労の特性に配慮しつつ、一般の被保険者との均衡に欠けることのないよう留意すること。

三特定療養費制度の運用に当たっては、自由診療の大幅な拡大や保険診療の後退をもたらすことのないよう細心の配慮をもって運用し、高度医療についても、適正な保険医療の確保を図るとともに差額ベッド等にみられる不当な保険外負担の解消を図ること。

四月をまたがる入院に係る高額療養費の支給については、月越合算処理が行われるよう、関係者間の協議を進め、その実施を図ること。

五分娩費及び埋葬料の最低保障額については、実勢費用を勘案し、早急にその引上げを図ること。

六診療報酬については、技術重視の診療報酬体系を確立し、その合理化を図ること。また、家庭医の特性に応じた診療報酬について検討すること。なお、乳幼児の医療について、その特性に応じた配慮を行うこと。

七薬価基準の適正化、医療機関に対する指導監査の徹底、医療費通知の充実等の医療費適正化対策を積極的に推進することにより、不適切な医療を排除し、医療費及び医療内容の適正化を図ること。

八本人定率一部負担の導入に伴う保険請求事務の簡素化等医療機関の事務負担の軽減を図るとともに、窓口における混乱を防止するよう特段の配慮をすること。

九診療報酬支払基金等におけるレセプト処理のコンピューター化の推進等、支払審査事務全般にわたる合理化を推進すること。

十医薬分業については、その基盤づくりに努め、モデル地区による試行など具体的推進を図ること。

十一成人病の予防その他国民のライフサイクルに応じた健康づくり対策の積極的推進を図るため、保健所及び市町村の保健活動の強化に努めること。

十二へき地等における医療従事者及び医療施設の確保に努めるとともに、家庭医の標ぼうを認める等プライマリ・ケアについてはその制度化を含めた充実を図り、地域の実情に即した医療供給体制の体系的整備を推進すること。

十三医師、歯科医師、薬剤師及びその他の医療従事者については、今後の医療需要の動向等を踏まえて、養成確保対策を見直すこととし、適正な水準を確保すること。

十四医療機関における健全かつ安定的な経営の確保のため、経営基盤及びその環境の条件整備に努めることとし、医業経営が薬価差益に依存することのないよう関連制度の改善に努めること。

十五政府管掌健康保険の運営について行政努力に一層配慮するとともに、必要な人員及び予算の確保に努めること。

出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=110101022)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。