著作権法の一部を改正する法律案
参議院 文教委員会
昭和59年法律第46号
審議経過
右の数字は会議の発言数衆議院文教委員会
- S59.4.20趣旨説明文教委員会 9195
- S59.4.25質疑文教委員会 10301
- S59.4.27参考人招致・質疑・採決・附帯決議文教委員会 11210
- S59.5.8委員長報告・採決・附帯決議本会議 2337
参議院文教委員会
- S59.5.10趣旨説明・質疑文教委員会 11217
- S59.5.17質疑・採決・附帯決議文教委員会 12191
- S59.5.18附帯決議・採決・委員長報告本会議 1653
提案理由
森喜朗 文部大臣 昭和59年4月20日このたび、政府から提出いたしました著作権法の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
この法律案は、著作物、実演、レコードの複製物の貸与に関して著作者、実演家及びレコード製作者の権利を創設するとともに、私的使用のために複製する場合に公衆の利用に供される複製機器を使用することの制限及びその機器を使用させた者の責任について規定して著作者等の権利の適正な保護に資することを目的とするものであります。
昭和五十五年六月ごろ出現した貸しレコード店は、現在では全国千九百店舗を超えるまでに普及し、それに伴いレコードの販売量が減少すること等を通じ、著作者、実演家及びレコード製作者の経済的利益が大きな影響を受けるという事態が生じています。このようなレンタル業は、その他の著作物についても今後普及し、同様の問題が生ずることが予想されるところであります。
また、音楽テープの高速ダビング業、ビデオソフトのダビング業等新たなコピー業の出現により、著作物が大量かつ簡便に複製され、著作者等の利益が害される事態が生じています。
以上のような著作物のレンタル業及びコピー業の普及により生じている新たな事態に対応して、著作物等の公正な利用に留意しつつ著作者等の権利の保護を図るため所要の措置を講ずることが、今回の著作権法の一部改正の趣旨であります。
次に、本法律案の内容について申し上げます。
第一は、著作物、実演又はレコードの複製物の公衆への貸与に関する著作者、実演家またはレコード製作者の権利の創設であります。
まず、貸しレコードのように著作物をその複製物の貸与により公衆に提供することについて、著作者に新たに権利を認め、著作者の許諾を得なければ貸与できないことといたしております。
ただし、図書館、視聴覚ライブラリーにおける貸与のような非営利かつ無料の貸与は著作者等の許諾を得なくともできることとし、また、書籍、雑誌の貸与については、貸し本業が長年自由に行われている経緯等にかんがみ、当分の間、適用除外することといたしております。
また、貸しレコードについて、実演家及びレコード製作者に権利を認め、商業用レコード発売後一月から十二月の範囲内で政令で定める期間は実演家、レコード製作者の許諾を得なければ貸与できないこととするとともに、その期間経過後は報酬を支払わなければならないことといたしております。
この報酬請求権は、文化庁長官が指定する団体があるときは、当該団体によってのみ行使できることとし、この報酬の額について当該団体と貸しレコード業者との間の協議が成立しない場合には、文化庁長官の裁定を求めることができることといたしております。また、許諾に係る使用料を受ける権利についても当該団体によって行使できることとし、その場合は使用料の額について同様に文化庁長官の裁定を求めることができることといたしております。
第二は、公衆の利用に供される複製機器を使用する複製に関する改正であります。
まず、公衆の利用に供することを目的として設置されている音楽テープの高速ダビング機等の自動複製機器を用いて複製する場合は、私的使用を目的とするものであっても著作権法で許される私的使用のための複製に該当せず、著作者、実演家等関係権利者の許諾を得なければならないことといたしております。ただし、私的使用のために複製する本人については、民事上の責任を問い得るにとどめ、罰則を適用しないこととしております。
一方、営利目的でこのような複製機器を関係権利者の権利の侵害となる複製に使用させた者については、罰則を適用することといたしております。
なお、自動複製機器のうち文献複写機については、複写の分野における集中的な権利処理体制が整っていないことにかんがみ、当分の間、これらの改正の対象から除いております。
このほか、昭和四十五年の本法制定以降の物価の上昇を考慮して、著作権侵害罪等の罰金額の上限を引き上げる等所要の改正を行うことといたしております。
また、この法律の施行期日は、昭和六十年一月一日といたしております。
最後に、昨年十一月に議員立法により成立しました商業用レコードの公衆への貸与に関する著作者等の権利に関する暫定措置法を廃止し、それに伴う経過措置を講ずることといたしております。
以上がこの法律案を提出いたしました理由及びその内容の概要であります。
何とぞ十分御審議の上、速やかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。
第101回国会衆議院文教委員会議録第9号26頁(昭和59年4月20日)〔森喜朗文部大臣発言・発言番号191〕 会議録 国会会議録検索システム
立法資料のある条文
この法律案の審議で取り上げられた条(政府答弁の件数順)附帯決議
政府は、次の事項について、適切な措置を講ずべきである。
一著作者等の貸与権の行使に当っては、公正な使用料によって許諾し関係者の間の円満な利用秩序の形成を図るよう指導すること。なお、実演家等の貸与権の期間の政令を定めるに当っては、関係者の意見を十分聴取し、適正な期間とすること。
二著作隣接権保護の徹底を図るため、「実演家、レコード製作者及び放送事業者の保護に関する条約」への加入を早急に検討すること。
三コンピュータープログラムをはじめとするコンピューターソフトウエアの保護については、ソフトウェアの特性に見合い、条約を前提とした国際的整合性に留意し、また関係省庁の意見の調整を行い、適切な法的整備を行うこと。
四録音、録画機器の急激な発達普及の実態と今後の動向にかんがみ、これらの機器に対して、諸外国の制度も参考にし、著作物の私的使用等のための複製について賦課金制度の導入など、抜本的解決を図るための対応をすすめること。
五ニューメディア、データベース等新たな著作物利用手段の開発普及から生ずる課題並びに文献複写に関する問題の処理について、時宜を失することなく、制度改正を含め必要な措置を講ずること。
政府は、次の事項について、適切な措置を講ずべきである。
一著作者等の貸与権の行使に当たっては、公正な使用料によって許諾し関係者の間の円満な利用秩序の形成を図るよう指導すること。なお、実演家等の貸与権の期間に関する政令を定めるに当たっては、関係者の意見を十分聴取し、適正な期間とすること。
二著作隣接権保護の徹底を図るため、「実演家、レコード製作者及び放送事業者の保護に関する条約」への加入について検討を急ぎ、その条件の整備に努めること。
三複写機器及び録音・録画機器の急激な発達普及の実態と今後の動向にかんがみ、文献複写にかかわる著作権の集中的処理の方法の確立に努めるとともに、録音・録画機器等に対する賦課金制度の導入など諸外国の制度も参考にして抜本的解決を図るための対応をすすめること。
四コンピュータ・ソフトウエアの保護については、その特性と条約を前提とした国際的整合性に留意して早急に関係省庁の意見の調整に努め、適切な法的整備を行うこと。
五著作権法の趣旨にのっとり、著作物の公正な利用について良い慣行が育成されるよう著作権思想の一層の普及に努めること。
出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=110101062)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。