農業振興地域の整備に関する法律の一部を改正する法律案
参議院 農林水産委員会
昭和59年法律第55号
審議経過
右の数字は会議の発言数衆議院農林水産委員会
- S59.4.25趣旨説明・補足説明農林水産委員会 12254
- S59.5.8質疑農林水産委員会 13176
- S59.5.9質疑農林水産委員会 14268
- S59.5.10質疑農林水産委員会 1588
- S59.5.15質疑・討論・採決・附帯決議農林水産委員会 16248
- S59.5.17採決・委員長報告・附帯決議本会議 2623
参議院農林水産委員会
- S59.5.17趣旨説明・補足説明農林水産委員会 1710
- S59.6.26質疑農林水産委員会 20139
- S59.6.28参考人招致農林水産委員会 2169
- S59.7.3質疑・討論・附帯決議・採決農林水産委員会 22311
- S59.7.6附帯決議・委員長報告・採決本会議 2031
提案理由
山村新治郎 農林水産大臣 昭和59年4月25日農業振興地域の整備に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。
農業振興地域の整備に関する法律は、総合的に農業の振興を図るべき地域を明らかにし、土地の農業上の有効利用と農業の近代化のための施策を計画的に推進することを目的として、昭和四十四年に制定されました。以来、本法に基づき全国約三千の市町村について農業振興地域の指定、農業振興地域整備計画の策定が行われるとともに、農業の健全な発展を図るための条件を備えた農業地帯の保全・形成及び農業の近代化のための各種の施策の計画的な推進が図られてきたところであります。
しかしながら、近年、農業及び農村をめぐる情勢は、いわゆる兼業化、混住化等の進展に伴い、農業生産の基礎である土地・水に対する非農業部門からの影響が強まり、また、住民意識の多様化が進む等大きく変化しつつあります。このような情勢のもとで、農業構造の改善、農業生産基盤の整備開発等の推進を通じて、生産性の高い農業の確立を図るという課題に対処するため、今回、農業構造の改善の促進に特に留意しつつ、農業振興地域整備計画等の内容を整備拡充するとともに、その達成に資するための手法の整備を図ることとし、この法律案を提出した次第であります。
次に、この法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。
第一に、農業振興地域整備基本方針及び農業振興地域整備計画の内容の整備拡充であります。
都道府県知事の定める農業振興地域整備基本方針及び市町村の定める農業振興地域整備計画の内容として、農用地等の効率的かつ総合的な利用の促進、農業従事者の安定的な就業の促進、農業構造の改善を目的とする生活環境の整備に関する事項を新たに追加するとともに、必要な地域については農業の振興と林業の振興との関連について定めることとしております。
第二に、交換分合制度の拡充であります。
農用地区域における林地等の農用地開発適地の開発及び農業振興地域整備計画で定められた生活環境施設等の用地の生み出しを円滑に進めるための交換分合制度を新たに設けることとしております。
第三に、協定制度の新設であります。
兼業化、混住化等の進展に伴う地域の営農環境上の諸問題に適切に対処するための手法として、新たに二種類の協定制度を設けることとしております。
その一は、農業振興地域内の土地の土地所有者等が、一定の農業用施設の適切な配置を内容として締結する協定であります。この協定については、協定事項に応じ、協定参加者の土地の承継人に対する協定の適用、一定の範囲の土地の土地所有者等の一方的意思表示による協定への参加等の規定を定めております。
その二は、農業用用排水路、集会施設等の維持運営を内容として締結する協定であります。
以上がこの法律案の提案の理由及び主要な内容であります。
何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
土地改良法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。
土地改良法は昭和二十四年に制定されましたが、それ以来、本法に基づく農業生産基盤の整備は、農業の生産性の向上、農業構造の改善等に大きく寄与してきたところであります。
しかしながら、近年、農業及び農村をめぐる情勢は、いわゆる兼業化、混在化等の進展に伴い大きく変化しつつあります。特に、農業生産の基礎となる土地・水に関して非農業部門からの影響が強まっており、その農業上の利用と他の利用との円滑な調整を図り、良好な農業生産環境を確保していくことが、農業生産基盤の整備を進めていく上で最も重要な課題となっております。また、生産性の高い農業の確立、農業構造の改善等を図るため、政府は、昭和五十八年度を初年度とする第三次土地改良長期計画を策定したところでありますが、この達成のためにも、土地改良事業の一層の効率的な推進を実現することが強く要請されております。
このような農業及び農村をめぐる情勢に適確に対処しつつ、農業構造の改善をさらに強力に推進するため、別途提案しております農業振興地域の整備に関する法律の一部を改正する法律案による諸制度の改善措置と相まって、土地・水の農業上の利用と他の利用との調整手法の拡充等を図るものとし、この法律案を提出することとした次第であります。
次に、この法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。
第一に、混在化の進展等に伴い、農業用用排水の水質汚濁等が進行し、土地改良区の農業用用排水施設の適正な管理に支障が生じている事態に対処するための改善措置であります。
その一は、農業用用排水路等の管理に関する土地改良区と市町村等との協議制度の拡充を図るものであります。すなわち、土地改良区が市町村等に対しその管理方法等について協議を求めた場合において、協議が調わないときは、都道府県知事の裁定を申請することができることとしております。
その二は、土地改良区が附帯事業として行う農業集落排水施設整備事業の実施手続を明確化するものであります。土地改良区は、農業用用排水の水質の汚濁を防止し、農業用用排水施設の適正な管理を確保するため、都道府県知事の認可を受けてこの事業を実施することができることとしております。
第二に、圃場整備等の事業を通じて、優良農用地を確保しつつ、公用・公共用施設用地等の非農用地需要に適確に対応していくための換地制度の改善であります。すなわち、事業参加者全員が非農用地に充てるための土地を一律に出し合ういわゆる共同減歩の対象として、農業者の生活上または農業経営上必要な施設で、農業構造の改善を図ることを目的とするものの用地を加えることとしております。また、事前の分筆手続を要せずに、筆の一部の不換地と同様の措置をとることができるよう、事業参加者の申し出または同意による特別の減歩方式を導入することとしております。
第三に、土地改良事業の効率的推進を図るための事業実施手続の改善であります。土地改良施設の更新事業であって、その従前の機能の維持を図ることを目的とする等一定の要件に該当するものについては、同意の徴集を要しないこととする等の改善を行うこととしております。
第四に、土地改良区及び土地改良事業団体連合会の組織運営の強化のための規定の整備であります。兼業化の進行等に対応して、土地改良区の組織運営の効率化を図るため、総代会の設置要件を緩和するとともに、都道府県土地改良事業団体連合会の会員に対する指導事業の充実の実態を踏まえ、これを法律上明記することとしております。
以上がこの法律案の提案の理由及び主要な内容であります。
何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
第101回国会衆議院農林水産委員会議録第12号34頁(昭和59年4月25日)〔山村新治郎農林水産大臣発言・発言番号247〕 会議録 国会会議録検索システム
附帯決議
まず、案文を朗読いたします。農業振興地域の整備に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)最近の農業、農村をとりまく厳しい状況に対処し、食料自給力の維持強化を図り、併せて生産性の高い農業の確立と豊かな村づくりを強力に推進することが緊急の課題となっている。よって政府は、農業の振興と農村の整備に係る各種施策を総合的かつ計画的に実施するとともに、特に本法の運用に当たっては、左記事項の実現に遺憾なきを期すべきである。記
一農業振興地域整備計画の見直し等に当たっては、優良農地や農用地開発適地の積極的な確保とあわせ、不耕作地等の有効活用を図るための指導を行うこと。また、農用地開発を円滑に推進するため、里山等を対象とした交換分合制度が積極的に活用されるよう関係者に対する啓もう等に努めること。
二農用地の効率的かつ総合的な利用の促進に当たっては、市町村、農業委員会、農業協同組合等の協力体制のもとに、中核農家と兼業農家等との連携を醸成し、地域農業集団を育成強化して、農地の集積、農作業の効率化、作付地の集団化、耕種農業と畜産との連携強化を図る等農業構造の改善施策を総合的に推進すること。また、これら農業構造の改善施策とあわせ、農産物の生産流通対策及び価格対策が適切に実施されるよう十分配慮すること。
三農業従事者の安定的就業の確保のため、農村地域への工業導入、地域農林水産物の加工利用対策をはじめ地場産業の育成等に対する各種施策の強化拡充に努めること。また、これら施策の実施に当たっては、日雇い、出稼ぎ等の不安定就業改善のために特段の配慮をすること。
四農村地域における担い手の定着及びコミュニティー機能の育成等を図るため、各種生活環境施設等の整備を促進すること。また、これら施設の設置が優良農地の確保を阻害することのないよう十分配慮すること。
五農業振興地域整備計画の各種計画事項が円滑かつ整合的に実施されるよう、国は、事業の適切な採択とその実施について十分な配慮を行うこと。
六集会施設、農業用用排水路等の維持運営に係る協定制度については、非農家等を含め、関係者の幅広い参加と負担の公平化が図られるよう、集落の自治機能を助長する方法で進めること。
最近における我が国農業をめぐる厳しい情勢に対処するため、食料の総合自給力の強化を図り、あわせて生産性の高い農業の実現と活力ある農薬・農村を形成していくことが緊急の課題となっている。よって政府は、農業の振興と農村の整備に係る各種施策を総合的かつ計画的に実施するとともに、特に本法の施行に当たっては、次の事項の実現に遺憾なきを期すべきである。
一農業振興地域整備計画の変更に当たっては、優良農用地や農用地開発適地を農用地区域に積極的に確保するとともに、不耕作地等の遊休農地の有効利用を図るための指導を行うこと。
二農用地の開発を円滑かつ積極的に推進するため、農業の振興と林業の振興との関連に配慮しつつ、交換分合制度の活用等により、里山等の農業的利用が図られるよう関係者に対する啓もう等に努めること。
三農用地の効率的かつ総合的な利用の促進に当たっては、市町村、農業委員会、農業協同組合、農地保有合理化法人、普及組織等の協力体制を確立しつつ、兼業農家等を幅広く包摂した地域農業集団を育成し、農業構造の改善施策を総合的に推進すること。また、農業構造の改善施策とあわせ、生産対策、流通対策及び価格対策の適切な実施に努めること。
四農業従事者の安定的就業機会を確保するため、農村地域への工業導入施策の積極的運用に努めるとともに、地場産業の育成、観光開発等地域の実情にあった各種施策の拡充強化に努めること。また、これら施策の実施に当たっては、日雇、出稼ぎ等の不安定就業の改善に特に配慮すること。
五農村地域を定住の場として整備し、後継者の確保、嫁不足の解消、農家・非農家を包摂した新しいコミュニティーの形成を図るため、各種生活環境施設等の整備を促進するよう努めること。また、これら施設の設置に当たっては、創設交換分合制度の活用をも図りつつ優良農用地の確保に影響を及ぼさないよう十分配慮すること。
六農業振興地域整備計画の各種計画事項が円滑かつ整合的に実施されるよう、国は、事業の適切な採択とその実施について十分な配慮を行うこと。
七協定制度の運用に当たっては、地域の独自性、地域住民の自主性が十分反映され、集落の自治機能が助長されるよう指導するとともに、法律に基づく協定以外の各種の自主的取決めについても、農村におけるコミュニティー機能の活性化を図る観点から、地域の実情に応じ、その適切かつ積極的な活用が行われるよう啓もう指導すること。
出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=110101064)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。